普通の会社員の異世界冒険物語〜程々に強いがちやほやされる訳でもなく、悪い奴もそんないない異世界で必死に生きる〜

ときすでにおすし(サビ抜き)

文字の大きさ
5 / 46
第1章 カルディアの弟子編

05.修行開始

しおりを挟む
 まだ日が昇らない薄暗い朝。
 小屋の外に立つカルディアと俺。

 俺は、昨日洗濯したTシャツとジーパンを着ている。
 早いところ、着替えを入手しないと。

 カルディアは、魔法の修行なんて久々だなといいながら、ストレッチしている。

「まずは、走り込みだな。これ持って、この森を道に沿って走るんだ」

「え、森?ドラゴンいるんじゃなかったでしたっけ?朝方活発になるって」

「大丈夫、それ持って道沿いに走ってれば」

「なんですか、この水晶みたいのは?魔除けか何かですか。そもそも、どこまで走ればいいんですか?」

「いいから、走るんだ」

「えぇ・・・」

 まじで、この森を走るのか?しかも、道なりにいけって?

 結構無茶言ってないか?いつやめて戻ればいんだ?
 つか、魔物でるだろう魔物。

 でも魔除けっぽいのを貰ったしなぁ。でも、これ本当大丈夫なんだろうなぁ。
 とりあえず、言われるがまましぶしぶ走り始めた。


 森を走り始めてすぐに1つ目の太陽が出て朝焼けになり、2個目の太陽が顔を出す頃には辺りはとても明るくなった。
 思いのほか森は見通しがよく、とても気持ちがいい。森林浴しながらトレッキングしている気分だ。
 走るのなんて、何年ぶりだろう。



 楽しかったのは最初だけだった。
 もう1時間以上、無言で走っている。ただまっすぐ走る。

 周りは木だけという変わり映えしない景色に、さすがに飽きてきた。
 それと同時に疲れが出てきて、ついには歩き始めた。

 しかし、魔物が住むはずの森なのに一匹もいない。
 意外と安全な森だな。どこまで行けばいいんだこの道。
 この先、街でもあるのかな。



 しばらく歩いていると、地面がかすかに揺れ始めた。
 地震だろうか?定期的に揺れが起こり、徐々に強くなってきた。
 ドシン、ドシンと音も聞こえてきた。


 これは、もう朝方に活発になるっていう、アイツですよね。
 それしかありえない。

 音の方角を目をこらして見てみる。
 あ、ほら、ドラゴンです。本当にありがとうございました。

 わかってた朝活発に動き回るっていう話の時点で、いつかは出くわすだろうと。
 でも、修行初日でそれが起きるのか。


「(だからいったじゃねーかぁくっそぉぉぉぉ、何が大丈夫だぁくそがぁぁぁぁ)」

 心の中で叫びながらダッシュでとにかく逃げる。
 音がきこえなくなるように。

 しかし、音は、どんどん近づいてくる。追ってきてますね、これは。

 ちらっと振り返ると、あぁ、来てます来てます。
 しっかりとした力強い2足歩行。
 そして、がっつり補足されてる俺。何したっていうんだよ!!!



 とりあえず、がむしゃらに走る。
 近い、近いよ!足音がかなり近いよ!やばいよやばいよやばいよ。

 そして、お約束の展開が発生。
 ちょっとした窪地でバランスを崩し、勢いに乗ったまま俺は前にぶっ倒れた。
 あぁ、もうだめだ、倒れながら後ろを振り返る。

 馬鹿でかい、ドラゴンがこちらをめがけて走って来ている。
 足痛い、腰がぬけて立てない。

 あ、終わった。
 ぎゅっと目を閉じた。



 しばらくしても、終わらなかった。

「派手に転んだな。大丈夫か?」

 カルディアの声がする。


 目を開けると、緑のドラゴンの巨体が目の前にある。
 そして、そのドラゴンの後ろからカルディアの声がする。

 後ろにまわると、カルディアが乗っていた。
 え、なにしてんのこいつ。まじで。


 カルディアはドラゴンに乗って、俺を追いかけて来たそうだ。
 驚かせようとしたら、まさかここまで驚くとはと。

 申し訳なさそうな顔してる。
 最近よく見るなぁこの顔、さほど申し訳なく思ってないだろこいつ。
 とりあえず、小1時間ほど、やって良いことと悪いことをお話しました。


 ちなみに、水晶みたいのは、カルディアの魔力が詰まっているそうで、魔除けの効果はちゃんとあり、この森の魔物たちはこの水晶があれば襲ってこないそうだ。
 自分がちゃんと俺の安全を考慮していたことを主張してきた。

 そして、カルディアが乗っているドラゴンは、絶対安全だとも主張してきた。
 以前この森の主のフォレストドラゴンを狩って、森の主になった時から、従属しているドラゴンだそうだ。



 主を狩ってんじゃねーよ。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳
ファンタジー
庭付き一戸建て住宅ごと召喚されたせいで、召喚に失敗。いったん、天界に転送されたジュンは、これからどうしたいかと神に問われた。 「なろう」さまにも、以前、投稿させていただいたお話です。 ペンネームもタイトルも違うし、かなり書き直したので、別のお話のようなものですけれど。

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

処理中です...