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第2章 駆け出し冒険者編

05.信頼と裏切り

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 ギルド併設の食堂兼居酒屋についた。

 今日も荒くれ者どもが、昼間から酒を飲んでやがる。
 目を合わせないようにして、カウンターに向かう。
 エールと、肉の盛り合わせとパンを頼んで、空いている席につく。

 そういえば、さっきから誰かに見られている気がするな。買取カウンターあたりからだな。

 もしかして、テンプレ的なやつか!?
 おいお前いいものもってるな的なジャンプしてみろ系か、お前調子乗ってるようだな的な出る杭とりあえず打っときますね系か・・・

 ドキドキしながら、飯を食べる。


 せっかくの飯なのになんで、こんな緊張しながら食わなきゃいけないんだ。
 ぼやきながら一口肉を食う。

 に、肉が柔らかい。
 
 なにこれ脂が少ないのに、柔らかい。いったいなんの肉だ。うまい、うまいぞ。
 そして肉にかかっているソースは、ニンニクに似た味のものがベースとなっていて、すごい美味しい。
 これは食が捗る。そして、エールによく合う。パンは普通。
 飲んで食ってを繰り返した。


 監視されていることを、忘れるほど美味しかった。
 お口を拭いて、大満足でギルドをでた。


「おい」

 出てすぐのところで、後ろから声をかけられた。

 そ、そうだった、テンプレ的なイベントが発生してたんだった。
 そして、身構えるおれ。くそ、完全に油断した。
 残っている魔素で身体強化を行う。これで戦えるはずだ。


 身構えながら、振り向くと、荒くれ者っぽいおじさんがいた。
 イベント発生、確定だ。

 こういう時、最初になめられちゃいけない。だから最初から飛ばすしかない。


「なんだテメェ、気安く声かけんじゃねーよ」

「お、おう。すまなかった」


 え、なんだこの手応えのなさは。やる気あんのかこいつは。

「なんだテメェ、何の用だ」

「す、すまなかった。冒険者なりたてだとおもって、教えてやろうと思ったんだ」

 ほらやっぱり、出る杭はとりあえず打っときますね系だな。

「お?なんだ礼儀でも教える気か、おい。かかってこいよ」

「ち、ちがうちがう、なんでそんな好戦的なんだよ。依頼の報酬そのまま持って帰ってたから、ギルドに預けられるのを教えてやろうかとおもっただけだ。なんなんだよお前、こえーよ」

 親切に教えてやろうとしたのにと、ブツブツ言いながらおじさんは、ギルドの中に戻って行った。



 どうしよう・・・




 とりあえず、速攻でギルドに戻って、おじさんにジャンピング土下座で謝罪した。
 最初は、ジャンピング土下座の意味がわかってなくて危ないやつって感じでみられたけど誠心誠意謝り、そして飯と酒代を奢らせてもらうことに。

 そして、おじさんの仲間の荒くれ者達もいたので、そちらもついでに奢らせてもらうことにした。
 みんな、「いや、いいよ。悪いよ」と嫌がるが、そこをなんとかと・・・どうか変な噂を流さないでください。


 なんで、見た目と違って、こいつらまともなんだ・・・


 せっかくなので、おじさんたちの輪に入って一緒に飲んだ。外見は厳ついが、ただののんべぇの集まりだった。
 夕方までのんでいると、ガイさんが仕事帰りだったようで合流した。
 今回の報酬全部+所持金のちょっとが飲み代に消えた。財布が・・・。

 一気に冒険者コミュニティに溶け込めた気がした。


 みんなめっちゃいいやつじゃん。
 散々のんで、店じまいで皆追い出されてお開きになり、帰る。



 帰り道。

 「まぁ、良い奴だけじゃねーわな。」


 先ほど一緒に飲んでいたやつの中に、どうやら”悪い奴”もいたようで、明らかにつけられている。
 支払いの時に財布の残金をみられたか、それとも魔法のリュックか?

 参ったな。もう魔素はない。
 体術でしのぐしかない。

 宿までもう少しというところで、明らかに追跡者が近づいてきた。
 最後の曲がり角で構えて待つ。

 険しい顔した、おじさんだった。

「なんでだよ、おじさん」

 勝手にだが、信じてたよ。
 あんなに楽しげに話してたのに。今度釣りに行こうって約束したのに・・・。
 あぁ、裏切られた気分で頭がいっぱいになる、くそ、くそ。


「ん?お前か。なんだよ、怖い顔して。ありがとうな、おごってくれて。うわ、だめだ、吐きそうだ。じゃあな、気をつけて帰れよ」

 と、よろよろしながら早足で、おじさんは月の満腹亭に入って行った。



 あっぶねぇぇぇーーーーーーーー。

 またとんでもない勘違いしていた。
 なにより、酔っていたせいか、悪即斬モードになってた。取り返しのつかないことになるとこだった。


 よし、帰ろう。
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