上 下
19 / 46
第3章 王都ラーメン編

05.つけめん

しおりを挟む
 いっけね、ギルドに行かないと。拠点変更手続きしないと、いけなかったんだ。

 というわけで、急いでギルドに向かう。そして、到着。
 王都のギルドは、デカかった。総合病院のようなでかさ。受付もでかい。やっぱり、酒屋兼食堂はあるが少しおしゃれな感じだ。
 客層もおしゃれで、なんと言うかみんなちゃんとした装備してる。別にドーソンのあいつらが悪いわけじゃない。なんというか、ここは都会なんだなって感じる。

 受付の列に並ぼうとしたら、サポートっぽいおねえさんに、要件を聞かれて答えると、4番受付へどうぞと別の列を指示された。なるほど、受付によって扱う手続きが違うのか。すごいな・・・萎縮しちゃう。

 しばらくして、俺の番になる。4番受付のお姉さんはやっぱり美人だ。

「拠点変更の手続きをお願いします」

「では、冒険者証をご提示ください」

 言われるがままに、冒険者証を出してカウンターに置く。
 あ、そうだ紹介状。あれ、紹介状どこやったかな・・・あったあった。

「すみません、これもお願いします。ドーソンの冒険者ギルドからの紹介状です」

 お姉さんに渡すと、中身を確認している。
 何が書かれているの気になるが、すんなり手続きが終わった。

「タケシさん。ドーソンでの最終依頼のあとに、貢献度が追加されたようです。Eランクへのランクアップおめでとうございます」

「え、ありがとうございます」

 いつのまにかEランクに上がってた。このままだと本当に、Dまであっという間っぽい。DからCに上がる時に、厳しい試験があるそうで、その試験でアイジーの兄貴は、何度も落とされたそうだ。
 どんな試験なのかは教えてくれなかった。すごい不安だ。

 よし。とりあえず、手続きおわった。宿をさっさと見つけて、激戦区に向かわなくては。ギルドを飛び出し、宿を探し歩く。

 何軒かまわっていると、なんと24時間入れる大浴場付きの宿、その名も「スーパー宿」を発見。さすが王都。
 ちょっと高いが、ここにしよう。とりあえず、1ヶ月ぐらいはいるつもりだから、前払いではらっておいた。
 部屋に荷物を置いて、ひさしぶりの風呂だ!っと、今すぐ風呂に行きたい気持ちを抑えて、激戦区に向かう。ラーメン後に、お風呂だ。


 宿の受付の人に聞いたのだが、ラーメン激戦区は中央地区にあるらしい。
 そこに行くと伝えると、ラーメンMAPなるものをくれた。すばらしい。店がいっぱいリストアップされている。

 ただ、残念なのがカテゴリー分けされてない。なにラーメンだかわからない。
 まぁ、アガリさんの話だと、味噌ラーメンはまだ王都にないそうだから、醤油か塩か、豚骨があるかどうかだな。

 食べたら評価とジャンルを書き込んでおこう。
 というわけで、いざ出陣だ。


 すごい街並みに圧倒されつつ、中央地区についた。奥の方には、さらに門があった。
 興味本位で近づいて見た。門がでかい。門番の方がいたので、この先に何があるのか聞いてみた。

 なんでも、王都の中は階層がわかれているらしく、その階層ごとに門があるそうだ。今俺がいるのは、一般的な民がいるところ。
 その上が中層、大商人や資産家、領地をもたない下級貴族が住むところらしい。身分証があれば、特に制限なく入れるそうだ。
 そして上層が、もっと偉い人たちの世界らしい。許可なく入ることが許されない場所らしい。

 とくに、この先に用はないので、とりあえず、激戦区へ進もう。
 
 
 そして、ついに念願の激戦区に到着。
 目を疑ったが、日本で見た光景がそこにあった。ラーメン屋の前に並ぶ顔ぶれだけ違うが、無言で列に並ぶ文化は、ここにもちゃんとあった。並んでる奴らはガチ勢っぽい。
 ローカルルールとかありそうで、怖いが被弾覚悟で挑む。なんせ、らーめん食いたいから。

 そして、記念すべき第1号店は、激戦区といわれるエリアの一番端にある「つけめん まるに」。
 そう、なんといきなりのつけ麺やさんだった。もちろん、俺はつけ麺も大好きなので、どんとこいだ。

 諸先輩方を真似して黙って列にならぶ。その直後、俺の後ろにカップルみたいな奴らが並んできて「ここめっちゃおいしんだぜ」とか彼氏が喋り出したから、諸先輩方の無言の殺気だった空気がすごい。
 とりあえず。ここは静かに待とうと、心のスイッチをオフにして、ただ、ぼうっと自分の番を待った。私はじゃがいもわたしはじゃがいも。

 そして、ついに自分の番がきた。心のスイッチをいれて、諸先輩方の注文方法を聞いていたので、それを真似する。

 「まるにつけ麺大盛り固め、味玉2このせで」

 アツモリもできるそうだが、あえてスタンダードでいく。

 席に案内されて、待つこと数分。ついに、その時がきた。
 見ただけでわかる絶対うまいつけ麺が目の前に置かれた。あぁ、匂いがすごく良い。

 そして、一口食べる。

 口の中に広がる魚介系の風味。お久しぶりです。

 麺のもちもち感がたまらない。味のしみた卵の美味さときたら、あなたにも食べさせてあげたい。


 「う、うまい。うますぎる」
 
 店内なので控えめだったが、声にでてしまった。涙を流しながら。
 店員が、ありがとうございます。と言ってくれた。周りの視線は攻撃的ではなく、初心者を生暖かく見守っている感じだ。
 恥ずかしさの中、黙々と堪能する。そして、スープ割りももらい完食した。

 うはぁ、うまかったー。あっという間に食べてしまった。

 つけめん まるに、星5つ。
 魚介系のつけめん店。まるにつけ麺大盛り固め、味玉2このせを注文。スープも麺もうまい。具材は、厚切りチャーシューとメンマと思われるコリコリした奴。アツモリ可。

 うん、味気のないレポートができた。
 と、とりあえず、この1ヶ月で、全店食い歩こうと思う。

 というわけで、お腹を満たしたので。帰ろう。
 帰ったら、ゆっくり風呂入ろう。

 幸せな気持ちで、帰路についた。
しおりを挟む

処理中です...