普通の会社員の異世界冒険物語〜程々に強いがちやほやされる訳でもなく、悪い奴もそんないない異世界で必死に生きる〜

ときすでにおすし(サビ抜き)

文字の大きさ
35 / 46
第5章 上級冒険者 前編

06.ミケさんとの再開

しおりを挟む
「タケシさん、お久しぶりです」

 ギルドの食堂のテーブルに、ミケさんがちょこんと座っていた。ミケさんは、獣人なんだが、まんま直立した大きめの猫なので、喋ってるとめっちゃファンタジーに感じる。

「お久しぶりです。ミケさんどうしたんですか!?」

「カルディアさんにお願いしていたものを取りに来たんですよ。しばらく見ないうちに、逞しくなられましたね」

「いえいえ、仲間のおかげでなんとかやってけてる感じですよ」

 マークとエリサとアディさんにもミケさんを紹介していると、カルディアがやってきた。

「おう、ミケ。待たせてすまん。できてるぞ。ほれ」

「こんなに沢山、ありがとうございます」

 といって、カルディアは、リュックの中から魔石のついた棒の束を取り出してミケさんに渡す。なんだろ?杖かな?じーっと見てる俺に気が付いたのか

「これは、カルディアさんに制作をお願いしてた光属性の杖なんですよ。なかなか光属性の杖を作れる職人さんがいないもので、貴重なものなんですよ」

 そういって、白い金属をカルディアに渡すミケさん。あれって、白金貨!?うっそ。初めて見た。

「毎度あり。また欲しかったら、いつでもいってくれ」

「はい、ありがとうございます。では、失礼いたします」

 そういって、ミケさんがお辞儀して帰ろうとしている。

「あ、そうそう、タケシさん。うちの蔵で変なものを見つけたんですよ。これなんですが、あなたに渡そうとおもってたんです。かすかに、あなたと同じ匂いがするので、もしかしたら何かの役にたつかもと」

 変なものを渡すってどうなの?とか思いながら、受け取ると1冊の大学ノートだった。
 中身を開けてパラパラみると、日本語が書かれていた。懐かしいな、一瞬何語かわからなくなってたので、俺だいぶこの世界に毒されてきたな。
 中身は、さらっとみたが、誰かの日記だ。

「それでは、失礼します」

「あ、ミケさん、これ貰っていんですか・・・あれ?」

 いつの間にか、ミケさんはいなくなっていた。
 なんだ、転移か?

「タケシなんだそれ?何語だ?読めないな」

 カルディアが、すごい興味津々で覗き込んで来てる。どいて邪魔。

「これは俺と同じ世界の人間が書いた日記みたいだ。ずいぶん古いな」
 
 カルディアが勝手にすごいテンション上がって「おい、何が書いてあるんだ」「読んでくれ」「教えてくれ」とか、すごい詰め寄ってくるやめろ、あたってる。
 これは、あとでじっくり読もう。今じゃない気がする。なんか、物語が大きく変わってしまいそうな気がするし。
 カルディアには、読むのは時間がかかるとか適当に誤魔化して、とりあえずリュックにしまった。
 


 その後、アディさんの筆記試験の結果を確認したが、見事合格していた。
 これで、我が純白のコップのメンバーは、全員筆記試験通過となった。

 次は、実技試験だ。明日用のCランクの討伐依頼を適当に目星をつけてることにした。この近くの依頼に絞ると、オーク変異種の討伐と、オーガ討伐、地下墓地のゴースト退治ぐらいだった。
 オーク変異種とオーガかな。よし、みんなもそれで良さそうなので、明日これを受けて、ちゃちゃっと終わらせよう。

 ということで、ギルドを出て、アディさんも含めて、またアディオさんの修行している辛味噌ラーメン屋に向かう。アディさんは、食べたら魔界に帰るそうだ。

 ラーメン屋についたが、アディオさんがいない。
 おや?どちらへ?店主のおじさん曰く「野暮なことは聞くなよ、今休憩中だ」とのこと。
 せっかくアディさん来てるのに。アディさんも「あの子ももう子供じゃ無いんで大丈夫ですよ」とかいいながら、そわそわしてる。アディさん、兄弟のことは、結構気にしいだからな。
 とりあえず、ラーメンを食べる。うまし。


 みんな食べ終わって外にでると、ばったりアディオさんにあった。
 なんと噂の薬屋の娘さんと一緒だ。

「ね、ねぇちゃん」

「あら、アディオ久しぶり。元気そうで何より。そちらのお嬢さんは?」

「と、友達のレミーだ。レミー、あれがねぇちゃんだ」

 アディさんは、その場から消えて、すぐにアディオさんの後ろに現れて、頭をスパーンとひっぱたいた。

「ちゃんと、紹介しなさい。初めましてレミーさん。私は姉のアディよ。よろしくね。ところで、お二人はどんな関係かしら?」

「えっ」アディオ

「えっ」レミー

「えっ」俺

 え、アディさん知らなかったの!?それとも知っててやってるの!?
 ちょっと、なんとなく重い雰囲気な気がして来た。もしかして、アディさんてブラコン・・・?

「初めまして、レミーです。アディオさんとは、お、お友達です」

 レミーさんが、ちょっとビビりながら答える。

「そう。レミーさん。アディオはこれでもうちの跡取りなの。今は自由にさせているけど、いずれ家を継ぐことになるわ。没落してるとは言え、一族の血を絶やすことはできないの。そのときに、あなた魔界にこれる?魔族として生きることはできる?」

 めっちゃ重い・・・。あれ?みんなどこ?

 カルディアは、ちょっと唐揚げに用事あるのでとかいいながら、澄ました顔でチロさんの店に向かいやがった。どんな用事だよ。お前、食いすぎだろ。ほぼ毎日食ってるぞ。
 マークもエリサも、いつの間にかいない。くそ。面倒ごとは俺に押し付けて、みんなドロンか・・・。ひでぇパーティだ。

「ねぇちゃん、今それは関係ないだろ。行こうレミー」

 アディオさんが、レミーさんの手を引っ張って、ラーメン屋の中に入って行ってしたまった。
 
 アディさんと俺が残された。
 すごい、気まずい。

「ごめんなさいね、タケシ君。へんなところを見せてしまって」

「いえ、いろいろ大変ですね」

「ほんとは好きにさせてあげたいんだけど。一族の話になると、どうしても譲れないものが出て来てしまって。タイミングを考えるべきだったわ」

「今のお話だと、ラーメン屋を魔界でやるのも、難しくなる感じですか?」

「それは大丈夫。一族復興するための事業にしようと考えているから。絶対いけるとおもうの」

「あ、そうなんですね」

 さすがアディさん強かー。

 腹ごなしに歩きながら、アディさんのお家の事情を聞くことになった。この流れは不可避。

「実は、アディオには許嫁がいたのよ。うちが没落してすぐに許嫁の家が離れて行って正式に許嫁ではなくなってるんだけど、最近向こうの家がまた許嫁に戻せと急に要求してきたのよ。なんでそんな話をもってきたのか、相手の家の意図がまったくわからなくて・・・今、色々調査してることろなの。もしかしたら、どこかから家の復興計画が漏れたかもしれない」

「自分から離れて行ったのに、また戻ってくるってのは、なんか嫌ですね」

「そうなのよ。でも、相手の家柄はとても良いのよ。このまま何もしないと、正式な許嫁に戻ってしまいそうなの。もし、レミーさんとアディオが本気なら私は応援するつもり」

「そうだったんですね。だから覚悟を聞いてたんですね。ただ、初対面でそれを聞くのは・・・」

「そうね、本当にタイミングを間違えてしまったわ」

 すごく重い空気のまま、なんといっていいかわからず、沈黙してしまった。

「ごめんなさいね。こんな話につき合わせちゃって。そろそろ、魔界に戻るわ。逃げたみんなにもよろしくって言っておいて。しばらく向こうにいるから用があったら指輪で呼んでね。ランクは、私に構わずあげちゃってね。あとで、みんなに追いついておくから」

「わかりました」

「話を聞いてくれてありがとうタケシ君。じゃぁまたね」

 こうして、アディさんは魔界に帰って行った。

 すると、どこからともなく、カルディアとマークとエリサが出て来た。
 お前ら・・・。

 マークが、澄ました顔で、家族のことだからな聞かないほうがいいかなって、とかいってる。
 俺もそう思う。でもな。何かあったらいけないでしょう。もし言い合いになったら、誰か止める役は必要なんだよ。それをお前らは、いつの間にかいなくなりやがって。
 薄情なやつらだ。


 俺が、プンプンしていると、「まぁまぁ、これでも食え。ほら、アーン」とか言いながらカルディアが、口にソース唐揚げを突っ込んできた。
 ずいぶんと強引なアーンだな。むしゃむしゃ、こんなんで、ごまかされねーからな。

 とりあえず、もう一回やってくれ。次は、優しくだぞ。いいな、アーンは優しくだ。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

処理中です...