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11.追憶 ②
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騒がしい城内で、俺はこの王座から一歩も動いてはいない。動かずとも俺の部下が今頃勇者一行に大打撃を喰らわせているだろうから。震える魔力と徐々に弱まるマナを感じながら、ただ怠惰に背もたれに体重をかける。
新たな勇者が現れる度にそのレベルも上がっているようだが、こちらもずっと長い時を生きている。いくら奴らが短い時の中足掻こうとこちらに勝てるはずがない。だというのに、無謀にも攻めてくるのだ、馬鹿の一つ覚えで学ぼうともしない――主に、勇者に命を下している人間の王が、だが。
黙って待っていれば扉が破壊されパラパラと煙と共に木屑が舞う。その向こうで、すでに傷まみれになっている姿が四人。
「魔王! 今日こそお前を討ち果たしてみせる‼」
剣先を向けそう怒鳴り込んできたのは、あの日身体を小さくさせて震えていたあの女だった。そんな姿を一切見せることなく剣を構え、立ち向かってくる。今まで見てきた『勇者』と同じ姿だった。
だが一人また一人と奴の仲間が倒れていく。それぞれをカバーできる陣形だったのだろうが、治癒を使える者をさっさと倒してしまえばあとは総崩れだ。魔法使いは体力がなく防御力も低い。盾持ちの者が中々にしぶとかったが体力は無限などではない。じわじわと嬲っていけばあっという間だ。
最後に残された勇者は、流石というべきか。一人だけ尋常ではないマナの量で最後の最後まで剣を向ける――勇者になりたくなかったと、普通に暮らしたかったと言っていた、あの女が。
「……チッ、無駄な足掻きを」
茶番だ。茶番でしたかない。いくら内にあるマナが膨大でもその身体はすでに疲弊しきっている。今まで何度でも、何度でも。勇者は仲間を引き連れて俺の前に現れたものの、俺がこうして未だにここにいるということはそういうことだ。なぜ学ばないのだろうか。なぜ大人しくしておかない。
その心臓目掛け魔法を繰り出そうとした瞬間、俺の左肩の肉が抉り取られる。ここまで傷を負わせられたのは初めてだ。瞬きをすることなく目の前にいる人間に視線を向ける――まだ戦うのか。まだそんな手を隠していたのか。
まるで一体化したかのように淡く光るその剣と身体。ここまで鍛え上げてきたのはこの勇者が初めてだ。
傷を負った俺に動揺したのか、傍に控えている部下の荒んだ声が耳に届く中、俺はただただ目の前にいる人間のみを視界に入れる。劣勢にも関わらず淀んでいないその瞳。次から次へと攻撃を繰り出してみるもそれを寸でのところで耐えている。目の端に見えるのは飛び散る己の血だった。
それは一瞬だった。この一手で決まる。勇者の剣が俺の心臓を貫くのが早いか、俺の術が勇者の首を切り裂くのが早いか。一瞬で決まる、そういう攻撃だった。
「……は?」
だが、出てきた音は俺の乾いた声。見間違いではない、決して。
勇者は一瞬だけ手を止めた――その顔に笑みを浮かべて。
俺の胸に力を失った勇者の身体が倒れ込んでくる。なぜ受け止めてしまったのか俺にもわからない。避けるのは簡単なはずなのに、俺の身体は動かなかった。
「……一体、どういうつもりだ」
絞り出した声はやはり乾いていた。一体どういうつもりだ。もう少しで魔王と倒せるというのに、この勇者は最後に手を緩めた。そうすることによって自身がどうなるかわかっていながら。
「どういうつもりだ勇者! お前は、俺を殺すために来たんだろう?! なぜ手を緩めた!」
首を切り裂くつもりで繰り出したはずの術は、なぜか勇者の胸を貫いている。あの一瞬で勇者が体勢を変えたからだ。俺の問いに答えるまで死ぬことは許さない。赤い液体が溢れているそこを手で押さえ、早く言えと声を荒げる。
勇者は俺と目が合うと表情を緩めた。僅かに上がった口角の端からは腹と同じ色の液体が溢れてきた。
「どう、して……争わなきゃ、いけない、の」
「は……? 何を馬鹿なことを言っている。俺が魔王で、お前が勇者だからだ」
「人間と、魔物は……仲良く、できないの……?」
細く綺麗な指ではない。薄い手のひらでもない。剣を握り続けてきたため節くれ立っていてマメが潰れ手の皮も厚くなっている。その手が、ゆるゆると上がった。
「私……あなたと一緒に、いて……楽しかったわ」
荒れてしまったその手が、俺の頬に触れる。
「シュバルト」
目を軽く見張る。勇者は――女は、穏やかな笑みを浮かべた。
擬態するのは完璧だったはず。人間どもは誰も気付きやしなかった。だが女は勇者だ、僅かな魔力で気付いていたのか。まさか魔王ということも見破られていたとは思わなかったが。
だが女は、俺が魔王と知ってもなお街の中を案内したというのか。城の場所、店や兵営の位置。俺が知れば容易く焼き払えるであろう情報の数々を、なぜ教えたのか。
「……ふっ、感謝するぞ勇者。お前が俺に与えた情報の数々で俺は簡単に人間を――」
「なぜ、あのときに、しなかったの……できたはず、なの、に」
言葉が詰まる。女は笑い、一度大きく咳き込んで口の中にあった血を吐き出した。肩を支え傷口を押さえる。
「私、あなたに、賭けてみたいの……人間も、魔物も、お互い……争うことを、せずに、できる……か、も……あのときの、わたしと、あなたのように……」
「……ただの気まぐれだ」
そうだ、あのときはただの気まぐれだった。暇だったから街に行き女の相手をしたにすぎない。俺は人間とは違い脆くもなく生も短くもない。長い時の中の、ただの暇潰し。
「シュバルト、っ……カハッ! う、ぅっ……!」
「……早死したいようだな」
「ッ……ふ、ふっ……シュバルト」
女の腹を押さえていた俺の手に女の手が重なる。女の顔からどんどんと血の気が引いていきその身体の体温も低くなる。
「名前、呼んでくれてありがとう」
魔族は傷を負えばすぐに修復できるが人間はそれができない。だからこそ治癒魔法というものが存在しそれで傷を癒やしている。治癒師がこの場におらず、また瀕死状態の勇者は自身で治癒をかけることもできない。
そして、魔族は治癒魔法が使えない。
なぜそんなことを考えているのか自分でもわからない。今までと同じだろう、こうして何度も勇者を葬ってきた。今までと同じだ、やっていることは変わらない。
だというのになぜ俺はこれ以上溢れ出さないようにとずっと腹を押さえ続けていたのか。なぜそんな行動を起こしてしまっているのか、自分でもわからない。
わからない、この感情が何なのかを。
「シュバルト……わ、たし、必ず……――」
俺の頬に触れていた手が力なく滑り落ちる。僅かに上下していた胸の動きは静かに止まった。今までに一番、厄介な勇者だった。これから先これ以上に力を付ける勇者が出てくるかもしれない。
これから先、こんなにもわけのわからない感情にさせてくる勇者は、きっともう出てこない。
「やっとくたばりましたか。魔王様、勇者などさっさと灰に……魔王様?」
いつもなら邪魔になるとさっさと灰にさせるが、俺は勇者の身体を横抱きに持ち上げた。人間がそのような弔いをするかなど知っているわけがない。が、魔族の炎で燃やすことはしないだろう。
「魔王様、どうなさるおつもりですか。そんなものさっさと燃やして――」
「……た」
「魔王様……?」
疲れた。なぜこんなにも疲労を感じているのだろうか。ただ今はもう何もやりたくはないし考えたくもない。
ただ、この女は魔王城で弔っていいのかという考えが頭の中で巡る。女は嫌がるだろうか、自分は人間なのだから魔王城で寝るのは違うでも言うだろうか。まぁ、考えたところで女からの返事など二度と来ない。好き勝手にさせてもらおう。
「……お前といたあの場所は、悪くはなかった――リヒト」
魔族と精霊の寿命は人間などに比べて随分と長い。それは力が強ければ強いほどだ。だからたかが一千年も俺たちにとってはそんな長い時などではない。
だが人間の一生は短い、一瞬に思えてしまうほど。だが短いだからこそ、人間の魂は巡るという。見た目も声も変わり記憶さえも失われるようだが、それでも魂の色だけは変わらない。見つけようと思えばそれは可能だろう。
「っ……! 美味っしい!」
「それはよかった。ほら、こっちもあるよ」
俺が作ったお菓子を疑うことなく一心不乱に貪るその姿は、本当に普通の女の子だった。争いなんて知らない、魔族を憎く思ったこともないのだろう。美味しいものを食べて好きに過ごす、きっと種族関係なく誰もが望んでいることだ。
破壊するのは簡単だが、創生するのは難しい。それを二、三千年かけてやっとできるようになってきた。何かを作り出せばこうして誰かを笑顔にさせることもできる。
「魔王、今度はこれの作り方教えて」
「……えっ? えっと、あれだよ、わりと上級者向けっていうか……」
「……そっか」
「あああそんなに落ち込まないで……! ちょっとずつ上達してるから、うん、きっと作れるようになるよ!」
しょんぼりと肩を落とす勇者にそうして元気づけさせて、そして手元にあったクッキーを渡してあげる。パッと顔が輝き美味しそうに食べる姿を見て、あのとき君にどんな言葉をかけていればこうして笑ってくれたのかと考えてしまうときもある。
「ん……? どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。たくさん食べてね」
それでも、君は最後に言っていた約束をこうしてちゃんと果たしてくれた。
見た目も声も変わってしまっていい、記憶も失っても構わない。でもこうして、あのときと同じ輝きを持った魂が今の俺の目の前にいる。その存在とこうして一緒にいれることで、あととき君が口にしていた望みを叶えることができたんじゃないかと、そう思い表情を緩めた。
新たな勇者が現れる度にそのレベルも上がっているようだが、こちらもずっと長い時を生きている。いくら奴らが短い時の中足掻こうとこちらに勝てるはずがない。だというのに、無謀にも攻めてくるのだ、馬鹿の一つ覚えで学ぼうともしない――主に、勇者に命を下している人間の王が、だが。
黙って待っていれば扉が破壊されパラパラと煙と共に木屑が舞う。その向こうで、すでに傷まみれになっている姿が四人。
「魔王! 今日こそお前を討ち果たしてみせる‼」
剣先を向けそう怒鳴り込んできたのは、あの日身体を小さくさせて震えていたあの女だった。そんな姿を一切見せることなく剣を構え、立ち向かってくる。今まで見てきた『勇者』と同じ姿だった。
だが一人また一人と奴の仲間が倒れていく。それぞれをカバーできる陣形だったのだろうが、治癒を使える者をさっさと倒してしまえばあとは総崩れだ。魔法使いは体力がなく防御力も低い。盾持ちの者が中々にしぶとかったが体力は無限などではない。じわじわと嬲っていけばあっという間だ。
最後に残された勇者は、流石というべきか。一人だけ尋常ではないマナの量で最後の最後まで剣を向ける――勇者になりたくなかったと、普通に暮らしたかったと言っていた、あの女が。
「……チッ、無駄な足掻きを」
茶番だ。茶番でしたかない。いくら内にあるマナが膨大でもその身体はすでに疲弊しきっている。今まで何度でも、何度でも。勇者は仲間を引き連れて俺の前に現れたものの、俺がこうして未だにここにいるということはそういうことだ。なぜ学ばないのだろうか。なぜ大人しくしておかない。
その心臓目掛け魔法を繰り出そうとした瞬間、俺の左肩の肉が抉り取られる。ここまで傷を負わせられたのは初めてだ。瞬きをすることなく目の前にいる人間に視線を向ける――まだ戦うのか。まだそんな手を隠していたのか。
まるで一体化したかのように淡く光るその剣と身体。ここまで鍛え上げてきたのはこの勇者が初めてだ。
傷を負った俺に動揺したのか、傍に控えている部下の荒んだ声が耳に届く中、俺はただただ目の前にいる人間のみを視界に入れる。劣勢にも関わらず淀んでいないその瞳。次から次へと攻撃を繰り出してみるもそれを寸でのところで耐えている。目の端に見えるのは飛び散る己の血だった。
それは一瞬だった。この一手で決まる。勇者の剣が俺の心臓を貫くのが早いか、俺の術が勇者の首を切り裂くのが早いか。一瞬で決まる、そういう攻撃だった。
「……は?」
だが、出てきた音は俺の乾いた声。見間違いではない、決して。
勇者は一瞬だけ手を止めた――その顔に笑みを浮かべて。
俺の胸に力を失った勇者の身体が倒れ込んでくる。なぜ受け止めてしまったのか俺にもわからない。避けるのは簡単なはずなのに、俺の身体は動かなかった。
「……一体、どういうつもりだ」
絞り出した声はやはり乾いていた。一体どういうつもりだ。もう少しで魔王と倒せるというのに、この勇者は最後に手を緩めた。そうすることによって自身がどうなるかわかっていながら。
「どういうつもりだ勇者! お前は、俺を殺すために来たんだろう?! なぜ手を緩めた!」
首を切り裂くつもりで繰り出したはずの術は、なぜか勇者の胸を貫いている。あの一瞬で勇者が体勢を変えたからだ。俺の問いに答えるまで死ぬことは許さない。赤い液体が溢れているそこを手で押さえ、早く言えと声を荒げる。
勇者は俺と目が合うと表情を緩めた。僅かに上がった口角の端からは腹と同じ色の液体が溢れてきた。
「どう、して……争わなきゃ、いけない、の」
「は……? 何を馬鹿なことを言っている。俺が魔王で、お前が勇者だからだ」
「人間と、魔物は……仲良く、できないの……?」
細く綺麗な指ではない。薄い手のひらでもない。剣を握り続けてきたため節くれ立っていてマメが潰れ手の皮も厚くなっている。その手が、ゆるゆると上がった。
「私……あなたと一緒に、いて……楽しかったわ」
荒れてしまったその手が、俺の頬に触れる。
「シュバルト」
目を軽く見張る。勇者は――女は、穏やかな笑みを浮かべた。
擬態するのは完璧だったはず。人間どもは誰も気付きやしなかった。だが女は勇者だ、僅かな魔力で気付いていたのか。まさか魔王ということも見破られていたとは思わなかったが。
だが女は、俺が魔王と知ってもなお街の中を案内したというのか。城の場所、店や兵営の位置。俺が知れば容易く焼き払えるであろう情報の数々を、なぜ教えたのか。
「……ふっ、感謝するぞ勇者。お前が俺に与えた情報の数々で俺は簡単に人間を――」
「なぜ、あのときに、しなかったの……できたはず、なの、に」
言葉が詰まる。女は笑い、一度大きく咳き込んで口の中にあった血を吐き出した。肩を支え傷口を押さえる。
「私、あなたに、賭けてみたいの……人間も、魔物も、お互い……争うことを、せずに、できる……か、も……あのときの、わたしと、あなたのように……」
「……ただの気まぐれだ」
そうだ、あのときはただの気まぐれだった。暇だったから街に行き女の相手をしたにすぎない。俺は人間とは違い脆くもなく生も短くもない。長い時の中の、ただの暇潰し。
「シュバルト、っ……カハッ! う、ぅっ……!」
「……早死したいようだな」
「ッ……ふ、ふっ……シュバルト」
女の腹を押さえていた俺の手に女の手が重なる。女の顔からどんどんと血の気が引いていきその身体の体温も低くなる。
「名前、呼んでくれてありがとう」
魔族は傷を負えばすぐに修復できるが人間はそれができない。だからこそ治癒魔法というものが存在しそれで傷を癒やしている。治癒師がこの場におらず、また瀕死状態の勇者は自身で治癒をかけることもできない。
そして、魔族は治癒魔法が使えない。
なぜそんなことを考えているのか自分でもわからない。今までと同じだろう、こうして何度も勇者を葬ってきた。今までと同じだ、やっていることは変わらない。
だというのになぜ俺はこれ以上溢れ出さないようにとずっと腹を押さえ続けていたのか。なぜそんな行動を起こしてしまっているのか、自分でもわからない。
わからない、この感情が何なのかを。
「シュバルト……わ、たし、必ず……――」
俺の頬に触れていた手が力なく滑り落ちる。僅かに上下していた胸の動きは静かに止まった。今までに一番、厄介な勇者だった。これから先これ以上に力を付ける勇者が出てくるかもしれない。
これから先、こんなにもわけのわからない感情にさせてくる勇者は、きっともう出てこない。
「やっとくたばりましたか。魔王様、勇者などさっさと灰に……魔王様?」
いつもなら邪魔になるとさっさと灰にさせるが、俺は勇者の身体を横抱きに持ち上げた。人間がそのような弔いをするかなど知っているわけがない。が、魔族の炎で燃やすことはしないだろう。
「魔王様、どうなさるおつもりですか。そんなものさっさと燃やして――」
「……た」
「魔王様……?」
疲れた。なぜこんなにも疲労を感じているのだろうか。ただ今はもう何もやりたくはないし考えたくもない。
ただ、この女は魔王城で弔っていいのかという考えが頭の中で巡る。女は嫌がるだろうか、自分は人間なのだから魔王城で寝るのは違うでも言うだろうか。まぁ、考えたところで女からの返事など二度と来ない。好き勝手にさせてもらおう。
「……お前といたあの場所は、悪くはなかった――リヒト」
魔族と精霊の寿命は人間などに比べて随分と長い。それは力が強ければ強いほどだ。だからたかが一千年も俺たちにとってはそんな長い時などではない。
だが人間の一生は短い、一瞬に思えてしまうほど。だが短いだからこそ、人間の魂は巡るという。見た目も声も変わり記憶さえも失われるようだが、それでも魂の色だけは変わらない。見つけようと思えばそれは可能だろう。
「っ……! 美味っしい!」
「それはよかった。ほら、こっちもあるよ」
俺が作ったお菓子を疑うことなく一心不乱に貪るその姿は、本当に普通の女の子だった。争いなんて知らない、魔族を憎く思ったこともないのだろう。美味しいものを食べて好きに過ごす、きっと種族関係なく誰もが望んでいることだ。
破壊するのは簡単だが、創生するのは難しい。それを二、三千年かけてやっとできるようになってきた。何かを作り出せばこうして誰かを笑顔にさせることもできる。
「魔王、今度はこれの作り方教えて」
「……えっ? えっと、あれだよ、わりと上級者向けっていうか……」
「……そっか」
「あああそんなに落ち込まないで……! ちょっとずつ上達してるから、うん、きっと作れるようになるよ!」
しょんぼりと肩を落とす勇者にそうして元気づけさせて、そして手元にあったクッキーを渡してあげる。パッと顔が輝き美味しそうに食べる姿を見て、あのとき君にどんな言葉をかけていればこうして笑ってくれたのかと考えてしまうときもある。
「ん……? どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。たくさん食べてね」
それでも、君は最後に言っていた約束をこうしてちゃんと果たしてくれた。
見た目も声も変わってしまっていい、記憶も失っても構わない。でもこうして、あのときと同じ輝きを持った魂が今の俺の目の前にいる。その存在とこうして一緒にいれることで、あととき君が口にしていた望みを叶えることができたんじゃないかと、そう思い表情を緩めた。
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