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3章 冒険の始まりと動き出す王国
56 この岩がいいわ
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フェイステラ渓谷はフェイメル村を経由して行くことになる。
フェイメル村までは馬車で八時間だ。
僕とエリッタとエランの三人は乗り合い馬車で村を目指した。
時間があるのでお互いのことを話すことになった。
僕は希望の家の事や王国に来てからの話のうち、機密事項に触れない部分の話をした。
波瀾万丈な経験をエランは面白そうに頷きながら聞いていた。
「まだ年端もいかねえのに、面白れえ人生だな。
おれも冒険者をやって色々経験したが、敵わねえ。」
エランは18歳になる。
若干おじさん臭い貫禄があるので、もっと上かと思った。
街の学校を中退して冒険者になったらしい。
そしてカイデウスさんと同様に大剣を使う。
馬車の休車時間に腕前を見せてもらった。
さすがにカイデウスさんレベルでは無かったけれど、かなりのものだ。
「アタイの方が戦えるよ。」
そう言ったエリッタは、エランに対抗して腕前を披露した。
鉄串のような物を大岩に投げつけ、そして・・・刺さる。
かなり深く刺さっている。
次の瞬間ビシっという音と共に岩にひびが入る。
同じ箇所に鉄串をもう一つ投げる。
次の瞬間、大岩が割れた。
僕が鉄串を投げても刺さるどころか弾かれるのが関の山だ。
大剣を振りかざしてあの岩に叩きつけても、表面を削るのがやっとだろう。
魔法を使ったとしても、あの大岩を破壊するのは不可能だ。
「もしかして神の残滓?」
「そうだよ。
アタイは天才だから。」
エリッタは年を教えてくれなかった。
見た目15歳前後。
王国の外れにあるミエンタ村出身で、村に仕事が無いので出稼ぎに来たという。
ただ運が悪いのか常日頃から、落石事故に巻き込まれたり、モンスターの団体に狙われたりと大変なようだ。
最初は疫病神と呼ばれていたが、とうとうパーティーを組んでいた仲間に死人が出てしまう。
それからは死神と呼ばれるようになってしまったのだ。
「絶対にもう・・・仲間から死ぬ奴は出さない。」
そう彼女は言った。
「そうだな、命あっての物種だ。
冒険者たる物、安全には気を配るのが大切だ。」
エランも先輩らしいことを言う。
そして僕も魔法の出来を見てもらうことにした。
炎の魔法で岩を焦がしたり、風の魔法で草を切り裂いたり、冷凍系、土系、雷系などを一通り見せた。
「おぉぉ、やるねえ。」
エリッタが声を上げる。
「おい、確かに凄えが・・・。
冒険者の中で、こんなに多属性の魔法を使う奴なんて初めて見たぞ。
今見た以上の魔法を使う奴は確かにいるが、せいぜい二つだ。」
僕は得意属性と汎用構成の解説をした。
「つまり魔術師ごとに得意な属性があって、それ以外は使うのが難しいわけだよな。
オキスはその使うのが難しい汎用構成で今の魔法を使ったのか?」
「はい。
僕の得意属性はあまり戦闘で役に立つものでは無いので、こつこつと汎用構成の修行をしました。
あとは回復魔法も多少使えるので、切り傷や打撲程度なら回復させられます。
さすがに骨折レベルだと厳しいですが。」
「なるほどな。
だが魔力を使いすぎてるんじゃ無いのか?
俺が知っている魔術師達は、あれだけ魔法を使ったらすっからかんになってるぞ。」
「大丈夫です。
さっきので一割も使ってませんから。」
「なるほど、これが勇者というやつなのか。」
エランが勝手に納得した。
魔力は生まれついての物だけど、戦えるレベルの魔法が身についたのは師匠の地獄の特訓のおかげなんだけどね。
もし魔物に襲われるような事態になったとき、緊急的な対処で魔法は後れをとることになる。
前衛のエラン、中衛のエリッタ、後衛の僕とちょうどバランスのとれたパーティー編成になった。
そして馬車はフェイメル村に到着する。
ここで一泊した後、ついにフェイステラ渓谷に足を踏み入れるのだ。
冒険は安全第一で無双したい。
フェイメル村までは馬車で八時間だ。
僕とエリッタとエランの三人は乗り合い馬車で村を目指した。
時間があるのでお互いのことを話すことになった。
僕は希望の家の事や王国に来てからの話のうち、機密事項に触れない部分の話をした。
波瀾万丈な経験をエランは面白そうに頷きながら聞いていた。
「まだ年端もいかねえのに、面白れえ人生だな。
おれも冒険者をやって色々経験したが、敵わねえ。」
エランは18歳になる。
若干おじさん臭い貫禄があるので、もっと上かと思った。
街の学校を中退して冒険者になったらしい。
そしてカイデウスさんと同様に大剣を使う。
馬車の休車時間に腕前を見せてもらった。
さすがにカイデウスさんレベルでは無かったけれど、かなりのものだ。
「アタイの方が戦えるよ。」
そう言ったエリッタは、エランに対抗して腕前を披露した。
鉄串のような物を大岩に投げつけ、そして・・・刺さる。
かなり深く刺さっている。
次の瞬間ビシっという音と共に岩にひびが入る。
同じ箇所に鉄串をもう一つ投げる。
次の瞬間、大岩が割れた。
僕が鉄串を投げても刺さるどころか弾かれるのが関の山だ。
大剣を振りかざしてあの岩に叩きつけても、表面を削るのがやっとだろう。
魔法を使ったとしても、あの大岩を破壊するのは不可能だ。
「もしかして神の残滓?」
「そうだよ。
アタイは天才だから。」
エリッタは年を教えてくれなかった。
見た目15歳前後。
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ただ運が悪いのか常日頃から、落石事故に巻き込まれたり、モンスターの団体に狙われたりと大変なようだ。
最初は疫病神と呼ばれていたが、とうとうパーティーを組んでいた仲間に死人が出てしまう。
それからは死神と呼ばれるようになってしまったのだ。
「絶対にもう・・・仲間から死ぬ奴は出さない。」
そう彼女は言った。
「そうだな、命あっての物種だ。
冒険者たる物、安全には気を配るのが大切だ。」
エランも先輩らしいことを言う。
そして僕も魔法の出来を見てもらうことにした。
炎の魔法で岩を焦がしたり、風の魔法で草を切り裂いたり、冷凍系、土系、雷系などを一通り見せた。
「おぉぉ、やるねえ。」
エリッタが声を上げる。
「おい、確かに凄えが・・・。
冒険者の中で、こんなに多属性の魔法を使う奴なんて初めて見たぞ。
今見た以上の魔法を使う奴は確かにいるが、せいぜい二つだ。」
僕は得意属性と汎用構成の解説をした。
「つまり魔術師ごとに得意な属性があって、それ以外は使うのが難しいわけだよな。
オキスはその使うのが難しい汎用構成で今の魔法を使ったのか?」
「はい。
僕の得意属性はあまり戦闘で役に立つものでは無いので、こつこつと汎用構成の修行をしました。
あとは回復魔法も多少使えるので、切り傷や打撲程度なら回復させられます。
さすがに骨折レベルだと厳しいですが。」
「なるほどな。
だが魔力を使いすぎてるんじゃ無いのか?
俺が知っている魔術師達は、あれだけ魔法を使ったらすっからかんになってるぞ。」
「大丈夫です。
さっきので一割も使ってませんから。」
「なるほど、これが勇者というやつなのか。」
エランが勝手に納得した。
魔力は生まれついての物だけど、戦えるレベルの魔法が身についたのは師匠の地獄の特訓のおかげなんだけどね。
もし魔物に襲われるような事態になったとき、緊急的な対処で魔法は後れをとることになる。
前衛のエラン、中衛のエリッタ、後衛の僕とちょうどバランスのとれたパーティー編成になった。
そして馬車はフェイメル村に到着する。
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