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5章 希望の家と集う仲間
123 どけない道化
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僕は用意された席に座る。
シーリが見えていると混乱を招きそうなので、賢者の杖のリンクを切る。
最初からこうすれば良かったのだ。
ルディンと話せなくなるという欠点はあるんだけど。
まずは参加メンバーの紹介から始まった。
町長クラスの人達だけで無く、領主が自分の所の家令(かれい)を寄越してきた。
豪商達も参加しており、僕と懇意にしてくれている人物もいる。
特別統括部からも人が来ている。
そして何故か部屋の雰囲気がぴりぴりしていた。
最初に挙がった議題は技術や物流の話では無く、ブリューデンの事だった。
ドラゴンが街の近くに出現したので、対策を講じる必要があると。
そうか、普通そうなるよね。
感覚が麻痺するって恐ろしいな。
「その炎竜なら、今頃人化して街を観光してますよ。」
僕は事情を説明した。
雰囲気がピリピリしていたのはそのせいか。
ブリューデンのことを知っている人も混じっているんだけど、黙っているとは人が悪い。
一緒にピリピリしているふりをしているが、若干ニヤけている人がいるのを僕は見た。
事情は説明したはずなんだけど、全然和やかにならない場の空気。
僕はこの痛い状況を切り抜けるため、劇薬を使用することにした。
賢者の杖のリンクを復旧させる。
「こんにちはー。
シーリだよー。」
姿を現し、テーブルの上で踊り出す。
シーリのよく分からない踊りを、無表情で見つめる面々。
MPが吸い取られたりしてないよね?
そして場が凍った。
「知りたいことはシーリにお任せ。
オキスの許可がいるけどね。」
そう言いながらウインクする。
どんなに冷たかろうと、シーリは空気を読まない。
撃沈か。
「っぷ、くくく。
これは参りましたな。」
初老でかなり出来そうな人物がそう言った。
この場では最も上位階級にいると思われる家令だ。
「さすがは噂に聞いた賢者殿。
登場からここまでの演出、主導権を完全に持って行かれましたな。」
どうやらここまでの行動が計算ずくだと思われているようだ。
どう勘違いしたのか聞いてみたいところだけれど、やぶ蛇だろう。
他の人達も我慢の限界を超えたように笑い出す。
耐えてたのか。
「お目汚し失礼しました。
これから皆様にいくつか提案をさせていただきたいのです。」
そして僕は技術提供の件を提示した。
救いなのはどう見ても子供の僕に、侮った視線を向ける者が誰もいないことだ。
きっと炎竜で乗り付けたのが効いているのだろう。
「つまり賢者様は、これだけの知識を我々に与えていただけると?」
提案を聞いた有力者の一人はそう僕に尋ねた。
「与えるわけではありません。
あくまでも協力し合う、対等な立場でのお願いをしているのです。」
技術だけあっても、それを実現しないと何の役にも立たないのだ。
「対等と言うにはあまりにも力に差がありすぎますな。
賢者様は魔物の軍勢すらも掌握したと聞き及んでおります。」
まあ、あれは親の七光りのおかげだ。
それでも端から見れば、大勢力が付き従っている以外の何ものでも無い。
「もし僕に協力をしてもらえるのであれば、人が魔物を驚異と思うことは無くなるでしょう。
技術は個の力の差を埋めることが出来るものなのです。」
そして僕は事前に作った資料を配り、提供する技術の詳細についてプレゼンテーションを行った。
プレゼン無双だった。
シーリが見えていると混乱を招きそうなので、賢者の杖のリンクを切る。
最初からこうすれば良かったのだ。
ルディンと話せなくなるという欠点はあるんだけど。
まずは参加メンバーの紹介から始まった。
町長クラスの人達だけで無く、領主が自分の所の家令(かれい)を寄越してきた。
豪商達も参加しており、僕と懇意にしてくれている人物もいる。
特別統括部からも人が来ている。
そして何故か部屋の雰囲気がぴりぴりしていた。
最初に挙がった議題は技術や物流の話では無く、ブリューデンの事だった。
ドラゴンが街の近くに出現したので、対策を講じる必要があると。
そうか、普通そうなるよね。
感覚が麻痺するって恐ろしいな。
「その炎竜なら、今頃人化して街を観光してますよ。」
僕は事情を説明した。
雰囲気がピリピリしていたのはそのせいか。
ブリューデンのことを知っている人も混じっているんだけど、黙っているとは人が悪い。
一緒にピリピリしているふりをしているが、若干ニヤけている人がいるのを僕は見た。
事情は説明したはずなんだけど、全然和やかにならない場の空気。
僕はこの痛い状況を切り抜けるため、劇薬を使用することにした。
賢者の杖のリンクを復旧させる。
「こんにちはー。
シーリだよー。」
姿を現し、テーブルの上で踊り出す。
シーリのよく分からない踊りを、無表情で見つめる面々。
MPが吸い取られたりしてないよね?
そして場が凍った。
「知りたいことはシーリにお任せ。
オキスの許可がいるけどね。」
そう言いながらウインクする。
どんなに冷たかろうと、シーリは空気を読まない。
撃沈か。
「っぷ、くくく。
これは参りましたな。」
初老でかなり出来そうな人物がそう言った。
この場では最も上位階級にいると思われる家令だ。
「さすがは噂に聞いた賢者殿。
登場からここまでの演出、主導権を完全に持って行かれましたな。」
どうやらここまでの行動が計算ずくだと思われているようだ。
どう勘違いしたのか聞いてみたいところだけれど、やぶ蛇だろう。
他の人達も我慢の限界を超えたように笑い出す。
耐えてたのか。
「お目汚し失礼しました。
これから皆様にいくつか提案をさせていただきたいのです。」
そして僕は技術提供の件を提示した。
救いなのはどう見ても子供の僕に、侮った視線を向ける者が誰もいないことだ。
きっと炎竜で乗り付けたのが効いているのだろう。
「つまり賢者様は、これだけの知識を我々に与えていただけると?」
提案を聞いた有力者の一人はそう僕に尋ねた。
「与えるわけではありません。
あくまでも協力し合う、対等な立場でのお願いをしているのです。」
技術だけあっても、それを実現しないと何の役にも立たないのだ。
「対等と言うにはあまりにも力に差がありすぎますな。
賢者様は魔物の軍勢すらも掌握したと聞き及んでおります。」
まあ、あれは親の七光りのおかげだ。
それでも端から見れば、大勢力が付き従っている以外の何ものでも無い。
「もし僕に協力をしてもらえるのであれば、人が魔物を驚異と思うことは無くなるでしょう。
技術は個の力の差を埋めることが出来るものなのです。」
そして僕は事前に作った資料を配り、提供する技術の詳細についてプレゼンテーションを行った。
プレゼン無双だった。
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