魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

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5章 希望の家と集う仲間

144 併記できない兵器

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 遺跡の町レイネスでは、インフラの整備が大幅に進んだ。
 資材の調達も滞りなく行えるようになっている。
 さらにオブリエン帝国皇帝エスフェリアの直轄地域との取引も始まった。
 直轄地域ではギスケが株式や先物取引の概念を持ち込んでいて、レイネス周辺の地域とは別格の取引相手だった。

 そして皇帝直属の軍隊に武器の供給を始めた。
 帝国に武器を供給しなければならない理由は二つある。
 まずはクルセイダーズの動きだ。
 クルセイダーズはすでにフェイベル王国側から帝国北東の要塞を占拠している。
 そうなったのはブリデイン王国の要塞が神魔砲で破壊されたのを受けて、両サイドの兵力を間に位置するエンプティモに集中させたからだ。
 空になった要塞を占拠されただけなので帝国の人的損失はゼロだが、今後の侵攻に備えなければならない。

 もう一つは魔領側の問題だ。
 魔族と戦える能力を持つ人間が少ないのだ。
 最強の武力を誇った帝国軍の最精鋭は十年前に壊滅している。
 そして今はギスケの元にかなり強力なメンバーが集まってはいるようなのだけれど、絶対数が足りない。
 クルセイダーズ対策もしなければならないので人材が分散してしまう状況だ。

 魔領からの侵攻はギスケの個人的な能力で抑え込んでいる。
 隣接世界の件もあるので、そろそろ最強戦力の魔神ギスケを自由に動けるようにしたい。
 というか彼がフリーなら、ほとんどの問題が解決するんじゃないのかと思っている。

 帝国に対する武器の指導はネリネが行う事になっている。
 ネリネはライフル以外の武器もあっという間に使いこなす天才だった。
 さらにネリネの指揮系統でスナイパー部隊が編成される。
 彼女は一時的に借りていただけなので、現在は帝国軍所属だ。
 敵に回したらかなり怖い集団だ。

 しかしある程度経験を積んで強くなったこの世界の人間は、危険感知能力を身につけている者が多いので、狙撃でいきなり射殺するのは難しい。
 以前に師匠の杖を破壊できたのも、分かっていてわざとなのだろう。
 
 武器の製造はレイネスでしか行わないようにしている。
 下手に流出すると困るからだ。
 しかし一部のパーツは周辺の地域で製造してしまっているので、いずれは誰かが自力で作るだろう。
 その辺りの取り締まりは帝国にやってもらうしか無い。
 帝国自体が製造に荷担するパターンも考えられるが、そうなると僕としてはどうしようも無い。

 現時点での武器は擲弾銃(てきだんじゅう)レベルまで用意している。
 帝国に供給を開始しておいてなんだけど殺傷力はかなり高いので、出来るだけ使って欲しくは無い。
 マズいことに弾頭に化学兵器を搭載するものまで開発が進んでしまったのだが、これにはストップをかけた。
 僕が不安になるぐらい、集めた学者達がガンガン研究を進めていく。
 毒ガスに応用できるような基礎研究用の情報は流したけれど、作り方そのものや兵器に転用するところまでは教えていないのだ。
 ジェイエルが言ったことが頭をよぎる。
 正直、自分のやっていることに寒気がした。 

 そして人口が増え、町が街に昇格した。
 最近怪しい人物の出入りも気になるので、エリッタとリプリアに警備部隊を組織させた。
 表の警備や見回りなど目立つ部分をエリッタに、スパイ対策の諜報部分をリプリアに、それぞれ性格に合わせてやってもらっている。 

 その他の所でも問題が発生した。
 街の周辺にいる僕の指示系統に組み込まれた魔族と魔物達が、周辺の野生の魔物を刈り尽くして食料調達が困難になってしまったことだ。
 人間の食料を供給して凌いではいるけれど、僕のような特殊な存在を除けば魔素を多く含む食事が必要なのだ。
 どのみち彼らが必要になる日も近い。
 僕はブリゲアンに指示を出し、魔族の部隊に魔領方面へ向かってもらった。
 出来るだけ人間と接触しないように、山間ルートを通ってもらう。

 そして準備が着々と進む中、僕もようやく魔領を目指すことになった。
 最初の目的地は魔領の神の遺跡がある場所だ。
 そしてそこには前世で僕がよく知っている人物、こちらではアリスと呼ばれている魔族がいる。
 魔王グレバーンと話す前に、こちらを解決しておきたい。
 ギスケが言っていたアリスの時間を巻き戻す能力は、下手をすると魔王より厄介だ。
 彼女の相手は、最強の能力を持つ魔神ギスケでも無理だ。
 なんとか出来るのはおそらく僕だけだろう。

 そして僕はいったん経由地である帝国首都トレンテを目指す。
 そこから帝国の部隊と共に魔領がある西へ進むことになっている。
 東のクルセイダーズは師匠が抑えてくれているおかげで、今は動きが止まっている。
 しかし師匠から長くは保たないとも言われている。
 あっちはあっちで大変なことになっているのだ。

 そして11歳になった僕は帝国首都トレンテへ向けて出発した。

 






 化学兵器無双はさすがにマズい。
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