164 / 262
6章 魔王の息子と最後の無双
165 向こう岸にいた騎士達
しおりを挟む
僕達は闇の大穴の向こう側に降り立った。
サリアとブリューデンは遺跡街レイネスに戻ってもらう。
二人は決して弱いわけでは無いのだけど、残ったメンバーと比べるとどうしても能力的に落ちる。
特にブリューデンは、怪我をするといざというときに困るのだ。
降り立った場所は木々が生い茂る領域だ。
魔素にムラがあるけれど、人間の領域に比べれば瘴気が濃くなっている。
少人数で身を隠しながら進むには適している場所だ。
今回の件は色々と予定が狂ってしまった。
本来ならここには帝国軍と共に来るはずだったのだ。
それが魔領軍と戦うことになり、急いで準備を進めたものの、その準備も全く使われずに終わった。
思い返すと予定通り事が進んだことの方が少ない気がする。
まあ、自分の予測通りに相手が動くとは限らないし、こっちが準備した物だって前例があるわけではない。
これで結果を予測できると思う方が間違いなんだろう。
そして眼前に広がる魔領では、もちろん結果の予測など出来ようはずが無い。
不測の事態というのが足音を立てて忍び寄ってくるだろう。
うん?足音を立てたら忍び寄っていることにならないな。
そんな事を考えて歩いていると、足音が聞こえてきた。
馬の蹄(ひづめ)の音だ。
数は・・・けっこういる。
身を隠そうかとも考えたのだけれど、既に向こうの探知に補足されている。
隠れるだけ無駄だ。
考えてみると木々が生い茂っていても、魔力探知が使える人材がいれば、そりゃ発見されるよね。
自分が魔力探知を使えるのに、相手が使わないなんて考える方がおかしいのだ。
まだ一割も魔力が戻ってきていないので、思考能力も落ちているのかも知れない。
そして足音のヌシが現れる。
漆黒の鎧に身を包んだ、まさにサ・暗黒騎士だった。
そしてその後ろには、精鋭っぽい騎士達が続いていた。
総勢十騎だ。
「私は四天王ブラハルド直属の騎士、名をクリセリオン。
お主達は何者か?」
僕はタレンティの方を見る。
頷いたのでどうやら知っているらしい。
何者か聞いたところをみると、暗黒騎士クリセリオンはタレンティを知らないようだ。
「ただの旅の魔族ですよ。
騎士様にお構いいただくような身分ではありません。」
僕はそう言った。
厄介なのに絡まれてしまった。
出来れば適当に煙(けむ)に巻いてやり過ごしたい。
「人間も混ざっているな。
国境で起きた異変の調査を命じられて来てみれば、珍客と出くわすとは。
異変に関わっているとは思わぬが、目と耳があれば何かしらの真の断片は得られよう。」
なるほど、暗黒騎士クリセリオンは調査に来たようだ。
そして僕達が何か目撃していると思っているようだ。
「異変ですか?
気がついたら凄いことになっていて・・・。
僕達も混乱しましたよ。」
うん、気がついたら凄いことになってたよね。
だいぶ混乱したし、嘘は言ってないよ。
「ほう、ならば今はこんなところで散歩でもしていたというのか?
人間を引き連れて。」
まあ、人間を連れている時点でごまかせないか。
「では、正直に話します。
あなたが異変と呼ぶあの大穴は、僕が魔法でやりました。
さっきドラゴンに乗って到着したばかりです。
これから魔王の娘に会いに行くところです。」
「我が領の道化より面白い話を囀(さえず)るではないか。
しかし今は任務を果たすが故、戯れ言に付き合っている暇は無い。」
正直に話したのに、冗談だと思われたようだ。
馬と足の速さを競うのは無謀だし、やるしかないのかなあ。
グラビデン砦に居づらかったから早々に出てきたけれど、もう少し魔力の回復を待った方が良かったかも知れない。
仲間が無双してくれると良いなあ。
サリアとブリューデンは遺跡街レイネスに戻ってもらう。
二人は決して弱いわけでは無いのだけど、残ったメンバーと比べるとどうしても能力的に落ちる。
特にブリューデンは、怪我をするといざというときに困るのだ。
降り立った場所は木々が生い茂る領域だ。
魔素にムラがあるけれど、人間の領域に比べれば瘴気が濃くなっている。
少人数で身を隠しながら進むには適している場所だ。
今回の件は色々と予定が狂ってしまった。
本来ならここには帝国軍と共に来るはずだったのだ。
それが魔領軍と戦うことになり、急いで準備を進めたものの、その準備も全く使われずに終わった。
思い返すと予定通り事が進んだことの方が少ない気がする。
まあ、自分の予測通りに相手が動くとは限らないし、こっちが準備した物だって前例があるわけではない。
これで結果を予測できると思う方が間違いなんだろう。
そして眼前に広がる魔領では、もちろん結果の予測など出来ようはずが無い。
不測の事態というのが足音を立てて忍び寄ってくるだろう。
うん?足音を立てたら忍び寄っていることにならないな。
そんな事を考えて歩いていると、足音が聞こえてきた。
馬の蹄(ひづめ)の音だ。
数は・・・けっこういる。
身を隠そうかとも考えたのだけれど、既に向こうの探知に補足されている。
隠れるだけ無駄だ。
考えてみると木々が生い茂っていても、魔力探知が使える人材がいれば、そりゃ発見されるよね。
自分が魔力探知を使えるのに、相手が使わないなんて考える方がおかしいのだ。
まだ一割も魔力が戻ってきていないので、思考能力も落ちているのかも知れない。
そして足音のヌシが現れる。
漆黒の鎧に身を包んだ、まさにサ・暗黒騎士だった。
そしてその後ろには、精鋭っぽい騎士達が続いていた。
総勢十騎だ。
「私は四天王ブラハルド直属の騎士、名をクリセリオン。
お主達は何者か?」
僕はタレンティの方を見る。
頷いたのでどうやら知っているらしい。
何者か聞いたところをみると、暗黒騎士クリセリオンはタレンティを知らないようだ。
「ただの旅の魔族ですよ。
騎士様にお構いいただくような身分ではありません。」
僕はそう言った。
厄介なのに絡まれてしまった。
出来れば適当に煙(けむ)に巻いてやり過ごしたい。
「人間も混ざっているな。
国境で起きた異変の調査を命じられて来てみれば、珍客と出くわすとは。
異変に関わっているとは思わぬが、目と耳があれば何かしらの真の断片は得られよう。」
なるほど、暗黒騎士クリセリオンは調査に来たようだ。
そして僕達が何か目撃していると思っているようだ。
「異変ですか?
気がついたら凄いことになっていて・・・。
僕達も混乱しましたよ。」
うん、気がついたら凄いことになってたよね。
だいぶ混乱したし、嘘は言ってないよ。
「ほう、ならば今はこんなところで散歩でもしていたというのか?
人間を引き連れて。」
まあ、人間を連れている時点でごまかせないか。
「では、正直に話します。
あなたが異変と呼ぶあの大穴は、僕が魔法でやりました。
さっきドラゴンに乗って到着したばかりです。
これから魔王の娘に会いに行くところです。」
「我が領の道化より面白い話を囀(さえず)るではないか。
しかし今は任務を果たすが故、戯れ言に付き合っている暇は無い。」
正直に話したのに、冗談だと思われたようだ。
馬と足の速さを競うのは無謀だし、やるしかないのかなあ。
グラビデン砦に居づらかったから早々に出てきたけれど、もう少し魔力の回復を待った方が良かったかも知れない。
仲間が無双してくれると良いなあ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!
電子書籍は、2026/3/9に発売です!
書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!メロンブックス様より、特典の描き下ろしSSペーパーがあります。詳しくは、メロンブックス様へお願い致します。
イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!
ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました
丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、
隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。
だが私は知っている。
原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、
私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。
優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。
私は転生者としての知識を武器に、
聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、
王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。
「婚約は……こちらから願い下げです」
土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。
私は新しい未来を選ぶ。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる