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7章 次への引き継ぎと暗躍の者達
187 助言と条件
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必要なのはまず内政、そして次に外交というのは分かった。
「あの二人に関しては優先しなくていいの?」
私はルディンに聞いた。
『ジブルトやセフリの件は、余力で良いと思う。
簡単には見つかりそうに無いし、無理に力を割かず情報収集に努めるほうがいいと思う。』
私としては、この二人の動向がかなり気になる。
しかし見つからないものは仕方が無いか。
『ただ、彼らが神側の立場だとすると、クルセイダーズと一緒に何かをやってくる可能性はあると思う。
魔領側は警戒が厳しくなっているし、次に何かあるとすると人間の国になると思う。』
なるほど、次は人間の国。
私は賢者の杖を見つめた。
これって賢者が入っているから賢者の杖なんじゃないの?
そしてグレイドルレインの後任の四天王の任命式をしたり、私の力を知らしめる謎の行事を行ったりと日々が過ぎていく。
相変わらず細かいことは任せっぱなしなのだけど、重要事項は私が判断しなければならない。
難しい案件も、ルディンがかみ砕いて分かりやすく説明してくれているおかげで何とか対処できた。
そして今日、帝国からの使者が飛龍に乗ってやってきた。
会談の場所と日程を調整したいという。
そして会談に先立って、非公式にではあるが帝国側のある程度の意向と交渉条件が伝えられる。
使者は老練の騎士という感じだ。
私の前で、死を覚悟するような表情で話を伝える帝国の使者。
その態度を私が不思議に思っていると、ルディンが魔王の宮殿で魔王と対面したら普通そうなるよと言った。
なるほど。
私は使者の緊張を和らげようと笑顔を作ってみることにした。
失敗した。
そもそも笑顔ってどうやって作るのか思い出せないのだ。
気が付くと、使者が今にも気絶しそうにフラフラしている。
ちょうど条件の提示をしているところだっただけに、気に入らずに睨み付けたと思ったようだ。
私はそもそも話の内容をきちんと聞いていなかった。
後からルディンに聞けば良いと思って、話半分だったのだ。
私はルディンのアドバイス通り、熟考してから返事をすると言って使者を下がらせた。
そして使者がいなくなった後、ルディンと相談する。
「どう返事をするべきなのかしら?」
『会談はもちろんするべきだけど、色々問題があるよ。
まず場所。
帝国でやるのか、魔領でやるのか。
もし場所を魔領に設定するのなら、皇帝エスフェリアとの直接交渉は出来ないよ。
帝国の臣下達が絶対に皇帝の魔領行きを反対するだろうから。』
「そうなると場所は帝国で、私が直接乗り込む形?」
『それはそれで問題があるんだ。
ギスケや皇帝はアリス姉ちゃんに危害を加えたりはしないと思うけど、それ以外のところは読めないよ。
もしかしたらこれ幸いとばかりに魔王を倒そうとする人が出てくるかも知れない。』
「返り討ちにすればいいだけでしょ。」
『もしそうなったら色々な意味で帝国・・・皇帝の顔に泥を塗ることになっちゃうよ。
とんでもない不祥事だからね。
だから事件になってしまった時点で、交渉決裂を意味することは理解しておいて。』
「面倒ね。
つまり事件にならないように対処すればいいのね。」
『・・・大丈夫かなぁ。』
何故か不安がられている。
続けてルディンが言う。
『後は条件の方なんだけど。
かなり高額な賠償請求が含まれているけど、これは帝国の被害を考えるとおかしな数字じゃ無い。』
「なぜ戦いに負けたわけでは無いのに、こちらが賠償するのが前提になっているの?」
『攻撃を仕掛けたのが魔族側だからだよ。
それに人間側の感情を考えると、賠償金を払って謝罪する形をとらないと誰も納得しないよ。』
「払える額なの?」
『魔領の財政状態を知らないからなんとも言えないけど、ブリデイン王国の国家予算で換算すると二十年相当だよ。』
「そんなの払えないわよ。」
攻め滅ぼした方が早い、本気でそう思った。
条件が無理無双すぎた。
「あの二人に関しては優先しなくていいの?」
私はルディンに聞いた。
『ジブルトやセフリの件は、余力で良いと思う。
簡単には見つかりそうに無いし、無理に力を割かず情報収集に努めるほうがいいと思う。』
私としては、この二人の動向がかなり気になる。
しかし見つからないものは仕方が無いか。
『ただ、彼らが神側の立場だとすると、クルセイダーズと一緒に何かをやってくる可能性はあると思う。
魔領側は警戒が厳しくなっているし、次に何かあるとすると人間の国になると思う。』
なるほど、次は人間の国。
私は賢者の杖を見つめた。
これって賢者が入っているから賢者の杖なんじゃないの?
そしてグレイドルレインの後任の四天王の任命式をしたり、私の力を知らしめる謎の行事を行ったりと日々が過ぎていく。
相変わらず細かいことは任せっぱなしなのだけど、重要事項は私が判断しなければならない。
難しい案件も、ルディンがかみ砕いて分かりやすく説明してくれているおかげで何とか対処できた。
そして今日、帝国からの使者が飛龍に乗ってやってきた。
会談の場所と日程を調整したいという。
そして会談に先立って、非公式にではあるが帝国側のある程度の意向と交渉条件が伝えられる。
使者は老練の騎士という感じだ。
私の前で、死を覚悟するような表情で話を伝える帝国の使者。
その態度を私が不思議に思っていると、ルディンが魔王の宮殿で魔王と対面したら普通そうなるよと言った。
なるほど。
私は使者の緊張を和らげようと笑顔を作ってみることにした。
失敗した。
そもそも笑顔ってどうやって作るのか思い出せないのだ。
気が付くと、使者が今にも気絶しそうにフラフラしている。
ちょうど条件の提示をしているところだっただけに、気に入らずに睨み付けたと思ったようだ。
私はそもそも話の内容をきちんと聞いていなかった。
後からルディンに聞けば良いと思って、話半分だったのだ。
私はルディンのアドバイス通り、熟考してから返事をすると言って使者を下がらせた。
そして使者がいなくなった後、ルディンと相談する。
「どう返事をするべきなのかしら?」
『会談はもちろんするべきだけど、色々問題があるよ。
まず場所。
帝国でやるのか、魔領でやるのか。
もし場所を魔領に設定するのなら、皇帝エスフェリアとの直接交渉は出来ないよ。
帝国の臣下達が絶対に皇帝の魔領行きを反対するだろうから。』
「そうなると場所は帝国で、私が直接乗り込む形?」
『それはそれで問題があるんだ。
ギスケや皇帝はアリス姉ちゃんに危害を加えたりはしないと思うけど、それ以外のところは読めないよ。
もしかしたらこれ幸いとばかりに魔王を倒そうとする人が出てくるかも知れない。』
「返り討ちにすればいいだけでしょ。」
『もしそうなったら色々な意味で帝国・・・皇帝の顔に泥を塗ることになっちゃうよ。
とんでもない不祥事だからね。
だから事件になってしまった時点で、交渉決裂を意味することは理解しておいて。』
「面倒ね。
つまり事件にならないように対処すればいいのね。」
『・・・大丈夫かなぁ。』
何故か不安がられている。
続けてルディンが言う。
『後は条件の方なんだけど。
かなり高額な賠償請求が含まれているけど、これは帝国の被害を考えるとおかしな数字じゃ無い。』
「なぜ戦いに負けたわけでは無いのに、こちらが賠償するのが前提になっているの?」
『攻撃を仕掛けたのが魔族側だからだよ。
それに人間側の感情を考えると、賠償金を払って謝罪する形をとらないと誰も納得しないよ。』
「払える額なの?」
『魔領の財政状態を知らないからなんとも言えないけど、ブリデイン王国の国家予算で換算すると二十年相当だよ。』
「そんなの払えないわよ。」
攻め滅ぼした方が早い、本気でそう思った。
条件が無理無双すぎた。
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