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終章 世界の終わりと創世の伝説
204 証人になりそうに無い商人
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アストレイアの腹心にして、オキスの育ての親である爺(じい)。
名をジブルトという。
恐らくジブルトは神の使徒だ。
そして魔王アストレイアはジブルトを謀(たばか)るために、僕の転生と転移を仕組んだのだ。
当然のごとく、クルセイダーズの件も関与があるのだろう。
そして時間はそう多くは残されていない。
僕は遺跡街レイネスに戻る準備を始めた。
ブリューデンを呼ぶことは出来ないので、地道に馬車移動となる。
ありがたい点は、今いるトレンテからレイネスまでの間に商品の流通網が出来ているおかげで、足を見つけるのが容易なことだ。
レイネスからここまで商品を積んできた馬車は、空っぽで帰ったらもったいない。
代わりの商品を積んだり、人を乗せて運賃を取ったりすることで無駄なく稼ぐのだ。
結局どう話がまとまったのか分からないけれど、ブレイトンさんは僕と同行することになった。
出発の時にウイリンが弁当を作って渡してくれた。
僕の分もあったけど、愛情が注ぎ込まれているのはブレイトンさんに渡した方だろう。
アデルタが僕に何か言いたそうな顔をしていたんだけど、結局何も言ってこなかった。
まあ、僕はもうオキスじゃないし、リスタートしてからそんなに話をしたわけではない。
身バレはしていないはずだ。
何が言いたかった気になりはするけれど、結局分からず仕舞いで終わった。
そして馬車の都合を付けて出発する。
今回も複数の商人が集まって移動する商隊に混ざる。
そこに護衛の冒険者が十人ほど混ざっている。
僕達が乗っているオープンルーフな乗り合い馬車は、僕達を含め九人ほど乗っている。
そして何やらただ者では無い気配を持つ人が一人。
その人は、出発直前に大荷物を抱えて最後に乗り込んできた。
ただ者ではないと言っても戦闘力が高そうな訳では無く、交渉が巧みそうな商人風の男だ。
詮索してもろくな事にはならないだろうから、気にするのはよそう。
そう思った矢先、その商人風の男が僕達の方へ話しかけてきた。
乗合馬車は出発しており、逃げ場は無い。
無視するのもマズイ。
「あなた様は、もしかしてトレンテでお医者様をしておられた方ですかな?」
商人風の男はブレイトンさんに話しかけてきた。
「ああそうだが、どこかで会ったかな?」
「いえいえ、チラッとお見かけしたことがあるだけですよ。
私はこの通り、病気をしたことがない丈夫な体だけが取り柄の男で。
名医とお噂のブレイトン先生に診ていただけなくて残念無念。」
「元気なら、何よりだ。」
ブレイトンさんは興味が無いのか、そこで話を終わらせようとする。
「申し遅れました、私はペイネルと申しまして、各地を旅しながら行商しております。」
聞いていないのに勝手に名乗り始めた。
「そちらの方は?」
ペイネルと名乗った男は僕の方を見た。
「僕はアグレト、ブレイトンさんの助手です。
僕達はこれから遺跡街レイネスに向かうところです。」
「ほう、レイネスへ。
もしかして薬の研究に行かれるところで?
あそこの技術力は計り知れないものがありますからな。」
「そんな所です。」
そんなやりとりをしつつ、馬車は進んでいく。
途中で帝国の兵士が検問している場所でいったん止まることになった。
兵士が積み荷や人間のチェックを始める。
その時、ペイネルが兵士の方へすり寄っていく。
何かヒソヒソと話した後、兵士に何かを握らせた。
そして何事も無かったかのように馬車は出発した。
何だろう、この怪しい人?
袖の下無双か?
名をジブルトという。
恐らくジブルトは神の使徒だ。
そして魔王アストレイアはジブルトを謀(たばか)るために、僕の転生と転移を仕組んだのだ。
当然のごとく、クルセイダーズの件も関与があるのだろう。
そして時間はそう多くは残されていない。
僕は遺跡街レイネスに戻る準備を始めた。
ブリューデンを呼ぶことは出来ないので、地道に馬車移動となる。
ありがたい点は、今いるトレンテからレイネスまでの間に商品の流通網が出来ているおかげで、足を見つけるのが容易なことだ。
レイネスからここまで商品を積んできた馬車は、空っぽで帰ったらもったいない。
代わりの商品を積んだり、人を乗せて運賃を取ったりすることで無駄なく稼ぐのだ。
結局どう話がまとまったのか分からないけれど、ブレイトンさんは僕と同行することになった。
出発の時にウイリンが弁当を作って渡してくれた。
僕の分もあったけど、愛情が注ぎ込まれているのはブレイトンさんに渡した方だろう。
アデルタが僕に何か言いたそうな顔をしていたんだけど、結局何も言ってこなかった。
まあ、僕はもうオキスじゃないし、リスタートしてからそんなに話をしたわけではない。
身バレはしていないはずだ。
何が言いたかった気になりはするけれど、結局分からず仕舞いで終わった。
そして馬車の都合を付けて出発する。
今回も複数の商人が集まって移動する商隊に混ざる。
そこに護衛の冒険者が十人ほど混ざっている。
僕達が乗っているオープンルーフな乗り合い馬車は、僕達を含め九人ほど乗っている。
そして何やらただ者では無い気配を持つ人が一人。
その人は、出発直前に大荷物を抱えて最後に乗り込んできた。
ただ者ではないと言っても戦闘力が高そうな訳では無く、交渉が巧みそうな商人風の男だ。
詮索してもろくな事にはならないだろうから、気にするのはよそう。
そう思った矢先、その商人風の男が僕達の方へ話しかけてきた。
乗合馬車は出発しており、逃げ場は無い。
無視するのもマズイ。
「あなた様は、もしかしてトレンテでお医者様をしておられた方ですかな?」
商人風の男はブレイトンさんに話しかけてきた。
「ああそうだが、どこかで会ったかな?」
「いえいえ、チラッとお見かけしたことがあるだけですよ。
私はこの通り、病気をしたことがない丈夫な体だけが取り柄の男で。
名医とお噂のブレイトン先生に診ていただけなくて残念無念。」
「元気なら、何よりだ。」
ブレイトンさんは興味が無いのか、そこで話を終わらせようとする。
「申し遅れました、私はペイネルと申しまして、各地を旅しながら行商しております。」
聞いていないのに勝手に名乗り始めた。
「そちらの方は?」
ペイネルと名乗った男は僕の方を見た。
「僕はアグレト、ブレイトンさんの助手です。
僕達はこれから遺跡街レイネスに向かうところです。」
「ほう、レイネスへ。
もしかして薬の研究に行かれるところで?
あそこの技術力は計り知れないものがありますからな。」
「そんな所です。」
そんなやりとりをしつつ、馬車は進んでいく。
途中で帝国の兵士が検問している場所でいったん止まることになった。
兵士が積み荷や人間のチェックを始める。
その時、ペイネルが兵士の方へすり寄っていく。
何かヒソヒソと話した後、兵士に何かを握らせた。
そして何事も無かったかのように馬車は出発した。
何だろう、この怪しい人?
袖の下無双か?
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