202 / 262
終章 世界の終わりと創世の伝説
203 審査が入りそうな診察
しおりを挟む
弱った体も順調に回復し、路銀も無い僕はブレイトンさんの手伝いを始めた。
町医者としてちょっとした怪我から病気、果ては難しい手術まで華麗にこなすブレイトンさん。
回復魔法すら使用不可になった僕に出来ることがあるかというと・・・実はあった。
異界の辞典に死角は無い。
薬や病巣(びょうそう)に関する知識、そして遺跡街レイネスから送られてくる道具の使い方、そういった部分で役に立てているはずだ。
シーリを経由しなくて良いので、必要な情報をバンバン引き出すことが出来る。
今の体の欠点は、魔力を失い完全に魔法が使えないことだ。
そして体力が大幅に落ち、一般的な現代人の成人男性レベルに毛が生えた程度になっている。
当然のごとく魔導力も神の残滓も使えない。
戦闘力はその辺りの冒険者にも劣るかもしれない。
きっとこっちに来たばかりの頃のギスケも苦労したのだろう。
僕のアドバンテージは、こちらの世界で過ごした知識があることだ。
言葉も問題なく話すことが出来る。
そして異界の辞典が使用可能なままであることだ。
「アグレト、お前は何者なんだ?」
突然ブレイトンさんからそんなことを言われた。
まあ、異界の辞典を躊躇せず使っているので気持ちは分かる。
「少し前にオキスが来ましたよね。
同類です。」
「やっぱり知り合いだったのか。」
「ついでに言うと、魔神ギスケと同郷です。」
「おい、それは俺が聞いていい話なのか?」
「まあ、問題ないと思います。
ブレイトンさんに嘘を言っても、何の得にもなりませんから。
それともう少し路銀を貯めたら遺跡街に行こうと思っていますので、迷惑はかけませんよ。」
そんな話をしているとき、アデルタが姉と共にやってきた。
差し入れを持ってきたのだ。
アデルタは以前僕が助けた少年だと思っていた・・・少女だった。
僕がオキスをやっていたときのアデルタの格好は完全に男装だったので、僕に罪は無い。
まあ僕とオキスは別人なので、何のフラグも立たないから安心して欲しい。
そしてその姉ウイリンは心臓の手術を受け、ブレイトンさんに経過観察されている状態だ。
彼女は毎回パンやチーズなどを差し入れてくれる。
ブレイトンさんはウイリンを診察すると、また僕に話しかけてきた。
「レイネスに行くのなら、俺も連れて行け。
オキスとの約束もあるからな。」
「ここは大丈夫なんですか?」
「まあ不安はあるが、他の医者もレイネスの薬を使えるようになっている。
ウイリンの経過も良好だし、俺がいなくなっても問題は無いだろう。」
その話を聞いたウイリンが悲しそうな顔をする。
薄々勘付いてはいたけれど、ウイリンはブレイトンさんが好きなのだろう。
僕はいったんこの場を離れる。
うん、二人で話し合ってもらおう。
遺跡街に戻る前に本当はギスケにコンタクトをとりたい所なんだけど、帝国の中枢にも恐らく神の使徒がいるはずだ。
せっかく盗聴される体とお別れしたのだ。
再びマークされるのはしばらくは避けたい。
いずれはこの事実をギスケに伝えなければならない。
これからの行動目標はまず遺跡街レイネスに戻ること。
そして神と戦うための武器を揃える必要がある。
以前に開発を凍結させた化学兵器も使わざるを得ないだろう。
とはいっても、僕はもうオキスではない。
遺跡街でどう立ち回るか、なかなかに難しいことになりそうだ。
神の使徒はスパイ無双中のようだ。
町医者としてちょっとした怪我から病気、果ては難しい手術まで華麗にこなすブレイトンさん。
回復魔法すら使用不可になった僕に出来ることがあるかというと・・・実はあった。
異界の辞典に死角は無い。
薬や病巣(びょうそう)に関する知識、そして遺跡街レイネスから送られてくる道具の使い方、そういった部分で役に立てているはずだ。
シーリを経由しなくて良いので、必要な情報をバンバン引き出すことが出来る。
今の体の欠点は、魔力を失い完全に魔法が使えないことだ。
そして体力が大幅に落ち、一般的な現代人の成人男性レベルに毛が生えた程度になっている。
当然のごとく魔導力も神の残滓も使えない。
戦闘力はその辺りの冒険者にも劣るかもしれない。
きっとこっちに来たばかりの頃のギスケも苦労したのだろう。
僕のアドバンテージは、こちらの世界で過ごした知識があることだ。
言葉も問題なく話すことが出来る。
そして異界の辞典が使用可能なままであることだ。
「アグレト、お前は何者なんだ?」
突然ブレイトンさんからそんなことを言われた。
まあ、異界の辞典を躊躇せず使っているので気持ちは分かる。
「少し前にオキスが来ましたよね。
同類です。」
「やっぱり知り合いだったのか。」
「ついでに言うと、魔神ギスケと同郷です。」
「おい、それは俺が聞いていい話なのか?」
「まあ、問題ないと思います。
ブレイトンさんに嘘を言っても、何の得にもなりませんから。
それともう少し路銀を貯めたら遺跡街に行こうと思っていますので、迷惑はかけませんよ。」
そんな話をしているとき、アデルタが姉と共にやってきた。
差し入れを持ってきたのだ。
アデルタは以前僕が助けた少年だと思っていた・・・少女だった。
僕がオキスをやっていたときのアデルタの格好は完全に男装だったので、僕に罪は無い。
まあ僕とオキスは別人なので、何のフラグも立たないから安心して欲しい。
そしてその姉ウイリンは心臓の手術を受け、ブレイトンさんに経過観察されている状態だ。
彼女は毎回パンやチーズなどを差し入れてくれる。
ブレイトンさんはウイリンを診察すると、また僕に話しかけてきた。
「レイネスに行くのなら、俺も連れて行け。
オキスとの約束もあるからな。」
「ここは大丈夫なんですか?」
「まあ不安はあるが、他の医者もレイネスの薬を使えるようになっている。
ウイリンの経過も良好だし、俺がいなくなっても問題は無いだろう。」
その話を聞いたウイリンが悲しそうな顔をする。
薄々勘付いてはいたけれど、ウイリンはブレイトンさんが好きなのだろう。
僕はいったんこの場を離れる。
うん、二人で話し合ってもらおう。
遺跡街に戻る前に本当はギスケにコンタクトをとりたい所なんだけど、帝国の中枢にも恐らく神の使徒がいるはずだ。
せっかく盗聴される体とお別れしたのだ。
再びマークされるのはしばらくは避けたい。
いずれはこの事実をギスケに伝えなければならない。
これからの行動目標はまず遺跡街レイネスに戻ること。
そして神と戦うための武器を揃える必要がある。
以前に開発を凍結させた化学兵器も使わざるを得ないだろう。
とはいっても、僕はもうオキスではない。
遺跡街でどう立ち回るか、なかなかに難しいことになりそうだ。
神の使徒はスパイ無双中のようだ。
0
あなたにおすすめの小説
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる