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終章 世界の終わりと創世の伝説
218 逸らさないで済む空の旅
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ジェイエルの手術の準備が進む中、僕はブリデイン王国への救援準備を進める。
輸送には飛行船が使われる。
全長130メートル、積載量10トン、最大飛行速度は時速160キロメートルだ。
浮力を得る為のヘリウムの生成に関しては、土と風魔法が使われた。
燃料は高オクタン価ガソリンを使用する。
近くで見るとその巨大さに圧倒される。
そして巨大故に着陸地点には広い場所が要求される。
しかし飛行船は飛行機と違って滑走路を必要としない。
ある程度平地であれば着陸可能なのだ。
ブリデイン王国には大規模な農園がある。
ちょうど良いことに現在は農閑期なので、作物を踏んでしまう可能性も低いはずだ。
僕は向こうでは製造が難しい部品や、武器製造に関する技術書も積み込ませるように指示を出す。
これは会議の場で可決されているので問題ない。
そして積載量ギリギリまで、ブリデイン王国が作った銃器に互換性がある弾薬を詰め込んでいく。
帰りの燃料も積んでいるため、実はそれほど多くの量を積むことが出来ない。
そして重量がギリギリだと、風の具合にも寄るが、おそらく平均巡航速度は100キロメートル前後となる。
高度は最大で2000メートル付近となるが、下手をすると乱層雲に突入してしまう可能性が出てくる。
実際はもう少し下で飛行することになるだろう。
もしかしたら輸送用のヘリコプターを優先開発するべきだったのかも知れないが、作ってしまったものは仕方が無い。
既に二号機の開発まで進んでいる。
まあ航続距離は飛行船の方が上なので、今回のミッションには適している。
そして飛行船の艤装(ぎそう)が完了し、ついに出発の時を迎えた。
ジェイエルの手術は僕が出発した後となる。
戻ってくる頃には、魔剣の呪いから解放されたジェイエルと対面することになるだろう。
出発前、飛行船の発着場の回りには人だかりが出来ていた。
周囲は一応警備が行われているものの、本来ならそこで警備を担当するエリッタが僕に付いてくることになっている。
彼女は事前に自分の部下に指示を出しているようなので、特に混乱は起きていないようだ。
飛行船はゆっくりと浮かび上がる。
計器をチェックしつつ状況を見守るものの、特に問題は発生していないようだ。
天候は快晴、風は南東から吹いてくるものの、航行に問題は無い。
順調なスタートだ。
そして僕の乗った飛行船は、ブリデイン王国に向けて舵を取る。
航路上の天候に注意しつつ、そして敵影が捕捉されないことを祈る。
ぶっちゃけ、現視点で対空攻撃能力は皆無だ。
神鳥とか出てきたら最悪だ。
ギスケの話だと神鳥は時速150キロメートル程度まで出せるらしい。
つまり積み荷を捨てて最大速度で逃げれば、もしかしたら逃げられるかもしれない。
ただし荷を捨てた時点で、このミッションは失敗だ。
今のところはクルセイダーズの一部でゴーレムを投入してきたという情報しか入っていない。
とにかくいないことを祈ろう。
飛行船はブリューデンに比べると、速度は圧倒的に落ちるものの、乗り心地は最高だ。
予定では28時間ほどで到着する。
それまで時間がもったいないので、技術資料をまとめたものを書き出していく。
随行してきた技術者にも編纂を手伝ってもらう。
エリッタは外を見たり、僕を観察したり、アクビをしたりしていた。
暇なのだろう。
「エリッタ、お茶をお願い。」
僕は暇そうなエリッタにそう言った。
「なんでアタイが?」
エリッタはそう言いつつも、紅茶を入れて持ってきてくれた。
「ありがとう、助かるよ。」
僕がお礼を言うと、エリッタはなんとも言えない微妙な顔をしていた。
快適空の旅無双だった。
輸送には飛行船が使われる。
全長130メートル、積載量10トン、最大飛行速度は時速160キロメートルだ。
浮力を得る為のヘリウムの生成に関しては、土と風魔法が使われた。
燃料は高オクタン価ガソリンを使用する。
近くで見るとその巨大さに圧倒される。
そして巨大故に着陸地点には広い場所が要求される。
しかし飛行船は飛行機と違って滑走路を必要としない。
ある程度平地であれば着陸可能なのだ。
ブリデイン王国には大規模な農園がある。
ちょうど良いことに現在は農閑期なので、作物を踏んでしまう可能性も低いはずだ。
僕は向こうでは製造が難しい部品や、武器製造に関する技術書も積み込ませるように指示を出す。
これは会議の場で可決されているので問題ない。
そして積載量ギリギリまで、ブリデイン王国が作った銃器に互換性がある弾薬を詰め込んでいく。
帰りの燃料も積んでいるため、実はそれほど多くの量を積むことが出来ない。
そして重量がギリギリだと、風の具合にも寄るが、おそらく平均巡航速度は100キロメートル前後となる。
高度は最大で2000メートル付近となるが、下手をすると乱層雲に突入してしまう可能性が出てくる。
実際はもう少し下で飛行することになるだろう。
もしかしたら輸送用のヘリコプターを優先開発するべきだったのかも知れないが、作ってしまったものは仕方が無い。
既に二号機の開発まで進んでいる。
まあ航続距離は飛行船の方が上なので、今回のミッションには適している。
そして飛行船の艤装(ぎそう)が完了し、ついに出発の時を迎えた。
ジェイエルの手術は僕が出発した後となる。
戻ってくる頃には、魔剣の呪いから解放されたジェイエルと対面することになるだろう。
出発前、飛行船の発着場の回りには人だかりが出来ていた。
周囲は一応警備が行われているものの、本来ならそこで警備を担当するエリッタが僕に付いてくることになっている。
彼女は事前に自分の部下に指示を出しているようなので、特に混乱は起きていないようだ。
飛行船はゆっくりと浮かび上がる。
計器をチェックしつつ状況を見守るものの、特に問題は発生していないようだ。
天候は快晴、風は南東から吹いてくるものの、航行に問題は無い。
順調なスタートだ。
そして僕の乗った飛行船は、ブリデイン王国に向けて舵を取る。
航路上の天候に注意しつつ、そして敵影が捕捉されないことを祈る。
ぶっちゃけ、現視点で対空攻撃能力は皆無だ。
神鳥とか出てきたら最悪だ。
ギスケの話だと神鳥は時速150キロメートル程度まで出せるらしい。
つまり積み荷を捨てて最大速度で逃げれば、もしかしたら逃げられるかもしれない。
ただし荷を捨てた時点で、このミッションは失敗だ。
今のところはクルセイダーズの一部でゴーレムを投入してきたという情報しか入っていない。
とにかくいないことを祈ろう。
飛行船はブリューデンに比べると、速度は圧倒的に落ちるものの、乗り心地は最高だ。
予定では28時間ほどで到着する。
それまで時間がもったいないので、技術資料をまとめたものを書き出していく。
随行してきた技術者にも編纂を手伝ってもらう。
エリッタは外を見たり、僕を観察したり、アクビをしたりしていた。
暇なのだろう。
「エリッタ、お茶をお願い。」
僕は暇そうなエリッタにそう言った。
「なんでアタイが?」
エリッタはそう言いつつも、紅茶を入れて持ってきてくれた。
「ありがとう、助かるよ。」
僕がお礼を言うと、エリッタはなんとも言えない微妙な顔をしていた。
快適空の旅無双だった。
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