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終章 世界の終わりと創世の伝説

236 先頭に立たない戦闘

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 ケルガナーダ公国へ投入した部隊から報告が入る。

 ・経過報告
  山脈の各所に爆薬の設置を完了。

 もちろん二万人を吹き飛ばすような量を設置したわけでは無い。
 さすがに物理的に不可能だ。
 目的は足止めだ。


 ・経過報告
  クルセイダーズ発見。
  戦闘を開始。

 予定通りだ。
 そして小一時間経過する。

 ・経過報告
  遠距離から三十名規模で隊長格の狙撃に成功。
  臨戦態勢に入ったクルセイダーズに爆薬による落石が命中。
  敵死傷者は数百人規模。
  レイネス側に怪我人無し。
  レイネス部隊は後退を開始。

 道が塞がれる効果も加わり、かなりの時間足止めができたはずだ。
 僕は次の報告を待つ。
 そして日没の時間に報告が入った。

 ・経過報告
  敵輸送部隊が、クルセイダーズと合流ポイントの森林地帯に到着。
  クルセイダーズは合流ポイントに到達できず。
  次の作戦実行に入る。

 足止めのおかげで、輸送部隊との合流の阻止に成功した。
 そして確実な合流場所も判明した。

 ・経過報告
  輸送部隊を指揮していた者の拘束に成功。
  レイネス側は軽傷四名。

 夜間、暗視ゴーグルのおかげで圧倒的に優位に進んだようだ。
 雇われていた人達は戦闘に巻き込まれないように、そのままケルガナーダ公国側へ向かってもらう手筈だ。

 ・経過報告。
  渓谷を抜けた周辺の森林地帯にトラップの設置完了。
  迎撃の準備に入る。

 物資を餌にトラップを仕掛けるわけなんだけど、敵の輸送部隊がもういないので、罠だというのはバレバレだ。
 しかしバレていてもそれで構わないのだ。
 何故ならクルセイダーズは、目の前の物資が無いと、この後の行軍が立ちゆかなくなるからだ。
 罠だと分かっていても取り返さないわけにはいかない。
 ちなみにトラップは、危ないので後で魔族部隊に回収させる。
 地雷とかも仕掛けているので、残っていると洒落にならない。

 ・経過報告。
  クルセイダーズ発見。
  迎撃を開始。

 迎撃と言っても、部隊の攻撃は遠距離による砲撃が中心だ。
 ただしこちらの弾数も多くは無い。
 適当なところで逃げる手筈になっている。

 ・経過報告。
  レイネス部隊、予定ポイントへ後退。
  敵の死傷者は五百人規模。
  退却を開始した模様。

 まあ、兵力はまだ残っていても、物資が無くなったら退却するしか無い。
 あっさりだけど一応勝利条件は満たした。

 ・経過報告
  飛行船に搭乗完了。
  逆方向の渓谷出口へ移動中。

 撤退しているクルセイダーズの先回り。

 ・経過報告
  山脈逆出口到着。
  補給を完了。
 
 魔族部隊に補給物資を運ばせておいたのだ。
 そして渓谷の逆側は、天然の要塞のような形状になっている。
 この場所で、これからだめ押しに入る。

 ・経過報告
  クルセイダーズ発見。
  攻撃を開始。

 クルセイダーズは、すでにヘトヘトになっているはずだ。
 遠慮無く全弾撃ち尽くす。
 そしてここでジェイエルが投入されたらしい。
 出番があったみたいだ。

 ・経過報告
  クルセイダーズの死傷者三千前後。
  完全に撤退した模様。
  指揮官クラスと思われる数人の捕虜を確保。
  レイネス側、軽傷八名。
  事後処理後、帰還予定。

 どうやら神獣やゴーレムの投入は無かったようだ。
 そして最後の死傷者の数が多いのは、明らかにジェイエルの力だろう。
 近代兵器を凌駕するのはやめて欲しい。
 ちなみにこちらの軽傷者達は、道すがら擦りむいたり打撲したりしただけで、敵の攻撃を受けた傷では無い。

 二万人の兵力をレイネス部隊70人と魔族の輸送部隊500人で打ち破った。
 勝利条件はとっくに満たしていたので、あっけないほど完勝だった。
 いつも何かしら問題が起こるはずなのに、今回は不気味なほど何も無い。
 もしかして僕が前線に出ていないからなのだろうか?





 近代兵器無双が実現された。
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