魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

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終章 世界の終わりと創世の伝説

255 降下した後、後悔する

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 パラシュートは意外に重い。
 微妙な足取りで前に進む。
 そして僕は飛んだ。
 
 重力加速度と空気抵抗が僕に強い圧力を加える。
 落下中は無重力に近い状態になるはずなんだけど、今は強風に呼吸を邪魔されている状態だ。
 事前にパラシュートを開くタイミングは教わっている。
 ヤバい鼻水が顔にかかった。

 規定の秒数に到達する。
 僕はパラシュートを開いた。
 異界の辞典にはパラシュートの展開に失敗する事故件数が載っている。
 多いのか少ないのか微妙な数字だが、確実に事故は発生している。
 そんなことを考えた次の瞬間、ガクッという感覚がやってくる。

 さっきまでの呼吸困難が嘘のように、ゆっくりと落下していく。
 使い方は教わっていたものの、訓練は全くしていない。
 地面が近づくにつれ、ゆっくりだと思っていた速度が意外にそうでも無いことに気が付く。

 着地。
 見事につんのめってコケる。
 これって綺麗に着地できるものなのか?

 僕は何事も無かったかのように辺りを見回した。
 そして見つける。
 なんということだ、着地失敗を見られていたらしい。
 彼女は唖然とした顔で僕を見ていた。
 失敗を誤魔化すため、僕は満面の笑顔を作った。

「ははは、お待たせ。」

 僕はそう言った。

「そんな・・・嘘。」

 それが彼女、アリスの最初の言葉だった。

 ショックだ。
 確かに僕は不格好な登場だった。
 しかしそこまで呆れられるとは・・・。
 こんなことなら面倒くさがらず、きちんと訓練を受けておくべきだった。

「あー、大丈夫だった?」

 僕はアリスに話しかけた。

「本当に・・・本当に・・・。」

 アリスは泣き出していた。
 魔領軍の状況はかなり追い込まれていたはずだ。

「どこか怪我は?
 ええっと、そうかアリスは怪我をしていたら・・・自己治癒可能なのか。」

 僕はどうしたらいいか、分からなくなっていた。
 その時、僕の体にドスンと衝撃が走る。
 アリスが僕にタックルをカマしてきたのだ。

「ぐほぉ。」

 僕は一時的に呼吸が不可能になる。

「うわーん。」

 僕を凄まじい力で締め付けながら、泣きじゃくるアリス。
 僕は一時的だと思っていた呼吸困難が永久的なものへ変化していくのを感じていた。

「馬鹿、馬鹿、グスグス。」

 相変わらず泣いているアリス。
 そして拳を振り上げ僕の胸を何度も強打する。
 それを止めようと言葉を発しようとするが、もはや遺言すら残せる状況では無かった。

 死ぬ、やっぱり死ぬ。
 このままデッドエンド?

 ちらっと周りを見ると、エリッタが視界に入った。
 助けて・・・。
 しかしエリッタは、微笑ましいものでも見るような顔をしていた。

 少し離れたところにジェイエルがいる。
 助けて・・・。
 何かニヤニヤしている。

 人間サンドバッグである僕は、ズタボロになりながら、アリスの攻撃を一身に受けるのだった。







 

 僕はサンドバッグ無双だ。
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