魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

文字の大きさ
259 / 262
終章 世界の終わりと創世の伝説

260 やり過ぎた槍の人

しおりを挟む
「ジェイエル、あの人に見覚えは?」

 僕は槍の人の事をジェイエルに聞いた。

「ある。
 お前が世界を滅ぼすと予言したのはあの男だ。
 アストレイアの城へ向かう秘密の道や、回復の泉を教えてもらったこともある。」

 やっぱりジェイエルにも接触していたようだ。

「名前は覚えている?」

 僕はさらにジェイエルに聞いた。

「いや。」

 短くジェイエルが答える。

「ユニークスキル、認識阻害というところかな?
 名前を記憶できないのは、その副作用というところか。」

 僕は槍の人に向かっていった。

「まさか、今まで長いこと生きてきたが、気が付かれたのは初めてだ。」

 感心したように槍の人が言う。

「なかなか、引っかき回してくれたよね。」

 僕は言った。

「いやいや、俺は本当の事を伝えることしかしていない。
 その結果、どう動くのかはそいつ次第だ。」

 槍の人が平然と答える。

「僕の事を知っていて、冒険者に紛れたんだよね。
 妙だったのはカイデウスさん達と話しても、何故かあなたの名前が絶対に出てこなかったことだ。
 他にも色々なところで名前が出てこない人が、あちこちで話に出てきていたからね。」

「それだけで気が付いたと?
 なかなか面白いな。」

「爺(じい)も当然この人のことは知っているんだよね。」

 僕は爺に確認した。

「まさかこの場にいるとは思わなんだ。
 もちろん知っていますとも。
 古い世代の魔王種のお一人ですじゃ。
 名前は・・・うーん。」

 爺も認識阻害を受けているようだ。

「あなたの目的は?」

「俺は本当の事を教えて回っているだけさ。
 その結果がどうなるのか、ただそれを見ているにすぎない。」

 槍の人はニヤニヤした表情で言った。

「結果としてこの状況だけど?」

 とうとう神の遺跡の封印は解かれてしまった。
 これから神が押し寄せてくるだろう。

「俺が生まれた時は既に神がいなくなってたからな。
 これから神様と対面するのも面白い。
 それともお前さんが滅ぼすのかな?」

「もちろん戦いますよ。
 その準備もしてあります。
 レイネス近くの山でウランも見つかってますし。」

「ウラン?
 この世界では使用履歴の無い、何の役にも立たない鉱石だな。
 何に使うか知らないが楽しみだ。
 是非近くで見せてもらいたいな。
 それから俺のユニークスキルは認識阻害じゃ無い。
 世界記憶の追従。
 この世界の情報を引っ張り出す能力だ。
 お前さんが言う認識阻害はそこから得た力の一つでしか無い。」

 僕の能力に似た力。
 そして全く別の力だ。

「俺の能力は異世界の力と相性が悪いらしい。
 オキス・アグレトやアリス、ギスケに関わる情報が引っ張り出せないんだ。
 だから近くで観察したりしてみたんだけどな。」

 ふてぶてしく語る槍の人。
 今は槍を持っていないので、正確には槍の人では無いんだけど。

「俺はこの世界では無敵だ。
 相手にするだけ無駄だぞ?
 お前は余計なことを考えずに神様と好きなだけ戦えばいい。
 それにジブルトとの決着はどうするんだ、アグレト?」

 たしかにこいつはどうにもならない。
 悔しいが、今は関わっている場合では無い。
 僕はジブルトの方を見る。

「先ほども言った通り、目的は果たしておりますですじゃ。
 神とこの老いぼれの古き盟約は既に終わりですじゃ。
 この後の神の所行を手助けすることは盟約には含まれておらぬのです。
 あとは・・・レイネスの代表者であられるアグレト様のお好きなようにされれば良かろう。
 実は先ほど老骨に鞭を打って働いてしまい、長年溜め込んでいた魔力もすっからかんの有様ですじゃ。」

 大量のアークデーモン召喚はジブルトの仕業か。

「私もジブルトと同じく、お好きなように。
 この方々に囲まれては転移する隙もありません。」

 確かに、転移したところでアリスが時間を戻すだけだ。
 セフリは転移に使っていたと思われる神の遺物を僕に差し出す。
 さらに何やら記号を表示する装置も渡してきた。

「神の国から取り寄せた、神の遺跡の解除装置です。
 今となってはもはや不要。」

 僕はそれらを受け取った。
 お取り寄せできるのか?

 僕は二人の身柄を確保する。
 槍の人は、いつの間にか認識できなくなっていた。
 いいよ、ウランをどう使うか見たいんだよね。
 いずれ見せてやる。

 とにかく次の行動へ移ろう。

「残り一ヶ月。
 神にアレが効くことはリーフが証明してくれた。
 準備を進めよう、最後の戦いだ。」

 こうして僕は、神を全てを滅ぼすまで続く戦いを始めることになった。
 そしてこの世界は、異世界の人間という悪魔の力で滅ぶことになる。






 無双故の滅亡が訪れる。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました

丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、 隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。 だが私は知っている。 原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、 私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。 優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。 私は転生者としての知識を武器に、 聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、 王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。 「婚約は……こちらから願い下げです」 土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。 私は新しい未来を選ぶ。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...