能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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二章 じゃんじゃんグルグル第二層

23 酷な警告

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 8日目スタートだ。僕が店で朝食を食べていると、いつもの嫌な視線に気づく。
「石ボッチがいるぞ。あいつ、一層をクリアしたんだろ?」
「まあ一層なんてチュートリアルだからな。どうせそのうち第二層でおっ死ぬさ。」
「身の程を知らないって可哀想だよなあ。」
「違いない、はっはっは。」
 わざと僕に聞こえるように話す顔も知らない冒険者達。こっちは知らないのに、なんで僕の面は割れているんだろう?

 もし聞こえるように言っているのが、「このままだと死ぬぞ、気をつけろ」という警告なら親切極まりない人達だ。しかし言葉の中からは悪意しか読み取れない。単純に馬鹿にしているだけなのだろう。第二層がどれだけヤバいのかは昨日のうちに思い知った。そう簡単に死んでたまるものか。

 今回も食料と食材を買いそろえる。ついでに紅茶の葉を購入した。お湯を沸かすために燃料とケトルセットも購入。その他必要な物をいくつか購入し下準備を行う。

 そしてダンジョンにと突入した。一層の魔物はオールスルーしつつ、リベンジを図るべく第二層へ到着。出入り口付近は冒険者パーティーが4組ほどいる。僕は昨日のポイントを目指して移動を開始した。慎重に辺りを確認しながら進む。第一層と違って二層は上下の確認もしなければならない。神経を使う。

 ゆっくり確実に少しずつ、昨日のポイントへ近づいていくと・・・いた。大蜘蛛だ。ここは奴のテリトリーらしい。僕は槍を背負って、かわりに竹筒を装備した。そして隠匿の指輪の力を解放する。隠匿の力は発動した本人のみ有効。気づかれた後に発動しても効果無し。そして大きく動いたり攻撃動作をしたりすると解除される。この解除条件はパーティーメンバを含めて適用されるらしく、仲間が攻撃動作を行った場合も、自分の隠匿が解除されるらしい。まあ、ボッチの僕には関係ない。また、通用しない魔物もいるらしい。大蜘蛛にどこまで有効なのかは分からないけれど、焦らず少しずつ近づいていく。

 大蜘蛛は5メートルほど上の木の枝にぶら下がっている。隠匿を発動して30秒が経過した。ゆっくりと移動しつつ、ようやく攻撃射程内に入った。竹筒を構え大蜘蛛に放水を開始する。中身は熱いお湯でじっくり煮詰めた紅茶、それをご馳走する。名付けてイギリス王室御用達アタック。たっぷりカフェインを食らいやがれ。

 放水は難なく大蜘蛛に命中。攻撃を行ったことにより隠匿が解除された。こちらに気づいた大蜘蛛は、自分を吊っていた糸を伸ばし、地上に降り立った。そして僕の方へ近づいてくる。僕は竹筒二つ目を装備する。大蜘蛛は僕に向けて糸を発射する。通常の蜘蛛はお尻の方から糸を出すはずなんだけど、この大蜘蛛はさすがは魔物。攻撃用の糸は口の方から出してくる。僕は口にめがけて再び放水する。

 西部劇のガンマン対決のように交錯する糸と紅茶。そして糸は僕の横をすり抜ける。百戦錬磨の大蜘蛛は的(まと)を外したのだ。理由は最初の放水攻撃の影響だろう。蜘蛛はカフェインを摂取すると糸をコントロールできなくなるのだ。そして竹筒水鉄砲の放水は蜘蛛の口に吸い込まれていく。

 動きが不安定になる大蜘蛛。糸を吐き出すも、もはや方向が定まらない。僕は投石装備に切り替え、石を当てにいく。不安定に動き回る大蜘蛛。そのせいでなかなか命中しない。しかも木や草が生い茂っているせいで、狙いがますます難しくなる。埒(らち)が明かない。僕は槍装備に切り替えた。

 槍を構え蜘蛛に突撃する。大蜘蛛は僕の動きに対応しようとするものの、酔っ払ったように体勢を崩すだけだった。そして槍が刺さる。ミシりという微妙な感触。蜘蛛の背中を突き刺したものの、ほとんど刺さっていない。とにかく硬いのだ。

 どこから出ているのかよく分からない「キシー」という音で僕を威嚇する大蜘蛛。そして再び糸で僕を絡め取ろうと狙いを定める。目の前には大蜘蛛の口。身体が硬いなら、やっぱり狙いは一つしか無い。

 僕は口にめがけて槍を突き入れた。同時に発射される糸、槍と腕に糸が絡みついていく。それを気に留めず、強引に槍を押し込んでいく。槍が奥に進むにつれて、鈍い感触が伝わってくる。そして大蜘蛛の口から入った槍は、槍頭が内部を貫通し肛門らしきところから顔を出す。足をバタバタとさせる大蜘蛛。その動きは初めこそ激しかったものの、時間が経つにつれ力が抜けていく。5分もその体勢で耐え続けると、ついに動かなくなった。

 僕は槍を引き抜く為に足を引っかけて引っ張る。糸が絡みついて上手く動かない。僕は採取用ナイフで糸を引きはがした。そして槍を引き抜いていく。蜘蛛の身体の中の鈍い感触が伝わりつつ、ついに槍は抜けた。大蜘蛛はごく微妙に足を痙攣させているが、もう生きてはいないだろう。

 そしてしばらくすると水蒸気のようなものが発生し、いつもの核に変わった。そして糸と卵をドロップした。この卵、持ち帰って良いのだろうか?途中で孵ったら洒落にならない気がするんだけど・・・。まあいいか。

 とにかく第二層で初勝利だ。僕の力を持ってすれば二層の魔物も敵では無い。ということで資金獲得のための素材集めの時間だ。草花や果実、樹液、分からない虫などを採取した。さらに香りの強いミントのような草も大量にあった。ホクホクだ。

 よし、今日は戻ろう。
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