能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

文字の大きさ
36 / 208
三章 あん・あん、いやあん、第三層

36 僕と土下座をトゥギャザーしようぜ

しおりを挟む
 大量のスケルトン達。追い詰められた僕は門に背をピタリとくっつけ後ずさった。すると「キー」っという小さな音がする。ふいに僕の身体を支えていた門が力を失い、身体が傾いていく。マズい、このままだと倒れる。

 受け身を取ろうと身体をひねる・・・が、失敗。僕は転び、両手を地面に付けつつ村に到着した。門は引くのではなく、押すが正解だったらしい。紛らわしい取っ手に騙された。そして見事な土下座入村を果たしたのだ。僕が土下座の体勢で固まっていると、門は勝手に閉まっていった。

「あんた何やってるんだね?」
 初老のお爺さんに声をかけられた。なんということだ、僕の華麗なエクストリーム土下座を見られた!
「初めまして、えっと・・冒険者をしているアフタです。」
 何事も無かったかのように自己紹介をした。死にそうになって心臓がバックバクだけど、ここは平静を装おうことにする。

「冒険者以外が来たら逆に驚きだよ、アフタ君。終着の村へようこそ、歓迎するよ。」
「終着の村?」
「ふぉっふぉ、シャレで付けた名前だよ。大概の冒険者は、ここまで来て先に進むのを諦めるからの。」
「諦めるんですか?」
「まあ、村までの道は芋虫とか雑魚の魔物しか出ないから良いが、ここから先は違う。死ぬか、骨と心を折られるか、まあそんなところだよ。」

 聞き捨てならない。芋虫が雑魚? とんでもなく素早く、パワーも強力だったんだけど? 為す術も無く、転がされまくったよ。

「アフタ君は運が良かったの。もし夜になっていたら、とんでもないことになっていた。」
「とんでもないこと?」
「第三層は昼と夜が地上と同じように入れ替わり、そして夜にはアンデッドが涌き出てくる。夜に外に出るのは自殺行為だからの。」
 既に夜になっているし、涌き出るアンデッドは経験したばかりなんですが・・・。

「アンデッドって強いんですか?」
「ああ、強い。生前の冒険者のスキルを持っていて武器も魔法も使う。しかも死を恐れないから怯まない。さらに厄介なのは身体を粉々にするか、魔法で焼き尽くすか、はたまた浄化するかしないと倒せないことだ。しかも数が多い。最悪の敵よのぉ。」

 お爺さんのおかげで第三層の情報がどんどん入ってくるんだけど、グッドニュースが一つも無い。絶望的な情報だけってどういうことだ? 無理やん、ここ。クリアできる見込み無いやん。大草原の平和な感じに完全に騙された。

 僕は第三層の村で心を折られかけている。もしかしてこのお爺さん、趣味は他人の心を折ることとか? まあいい。ついでだからもっと情報を聞いておこう。

「ところで、フロアボスってどんなのかご存じですか?」
「知っとるよ。スカルドラゴンだの。」
 スカルドラゴン。スカしっ屁をするドラゴン、臭そうな奴だ。って違う。アンデット系ドラゴンだ。

「ホネホネですか?」
「ああ、ホネホネだよ。空は飛ぶし、途轍もなく硬い。魔法にも耐性があり、効きにくい。」

 おい! 弱点無いじゃん。今回、情報がボンボン入ってくるんだけど、いっそ知らない方が良かったかもしれない。ホネホネじゃ、ガスで殺すのも不可能だ。せめてスカルの前に普通のドラゴン出してよ。

 追い打ちをかけるように、さらに不幸な情報をいくつか聞いた。もう話が頭に入ってこない。そんな僕にお爺さんは、いたわるような笑顔を向ける。
「疲れただろう。ワシはここで宿を経営しておる。泊まっていくかい?」
「はい、お願いします。」
「そうだ、言い忘れていたがここはダンジョン内だからの。地上より少々物価が高い。まあ、少々な。」
「あの・・一泊いくらなんですか?」
「8万シュネ。ダンジョン内で英気を養えると思えば安いもんだ。下の階層に向かう冒険者は、みんな泊まっていくよ。」

 ・・・。

 ・・・。

 ・・・。
 
 高けぇぇぇぇぇぇ。ヤバい、あまりの値段に意識が飛びかけた。僕の残金だと3泊を超えた時点で破産だ。

「やっぱりいいです。村で野宿するのは大丈夫ですか?」
「ああ、問題ないよ。」
 お爺さんは残念そうに去って行った。実は宿の呼び込みに来ていたらしい。

 大金を手にして有頂天になっていたのもつかの間、突然に敵の強さも物価も異常なほど上がる恐怖。僕は来てはいけないところに来てしまったのでは無いだろうか?
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-

いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、 見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。 そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。 泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。 やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。 臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。 ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。 彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。 けれど正人は誓う。 ――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。 ――ここは、家族の居場所だ。 癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、 命を守り、日々を紡ぎ、 “人と魔物が共に生きる未来”を探していく。 ◇ 🐉 癒やしと涙と、もふもふと。 ――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。 ――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます! ※AI学習禁止・無断転載禁止・無断翻訳禁止・無断朗読禁止

「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。

秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。 「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」 第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。 着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。 「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。 行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。 「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」 「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」 氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。 一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。 慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。 しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。 「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」 これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

無能と追放された結界師、三十路のおっさんですが17歳の辺境伯令嬢と婚約して人生逆転します

みかん畑
ファンタジー
無能と蔑まれ、Aランクパーティを追放された結界師フィン。 行き場を失った彼を拾ったのは、辺境伯の娘リリカだった。 国土結界の恩恵が届かない辺境で、フィンの結界は本当の価値を発揮していく。 領地再建、政治の駆け引き、そして少女のまっすぐな想い。 これは無能と呼ばれた男が、辺境で居場所を見つけ、やがて年の差婚へと至る物語。

婚約破棄された元OL悪役令嬢、コンサル知識で潰れかけのギルドを王国一に再建します

黒崎隼人
ファンタジー
エルムガンド王国の第一王子から、卒業パーティーの最中に婚約破棄を宣告された公爵令嬢イザベラ。 断罪のショックで、彼女は自分が現代日本で経営コンサルタントとして働いていた前世の記憶を取り戻す。 ここは乙女ゲームの世界。このままでは爵位剥奪、領地没収の破滅ルートが待っている! 「冗談じゃない。そんな未来、絶対に受け入れてなるものか」 イザベラは破滅フラグを回避するため、父の道楽である赤字続きの冒険者ギルド「白銀の獅子」の運営を引き継ぐことを宣言。 前世で培った現状分析、プロジェクト管理、成果報酬制度などのビジネススキルを駆使し、潰れかけのギルドの改革に乗り出す。 クエストの可視化、新人教育、そしてエルフの賢者や獣人ギルドのマスターとの異種族間連携。 最初は彼女を馬鹿にしていた荒くれ者の冒険者たちも、その圧倒的な手腕とカリスマ性に惹かれ、いつしか彼女の頼もしい仲間となっていく。 やがて彼女のギルドは王都最大の組織へと成長し、彼女を陥れた敵の陰謀すらも打ち砕く! 恋愛よりも仕事! 最高の仲間たちと共に、すべての種族が笑って暮らせる未来を創り上げる、元悪役令嬢の痛快お仕事ファンタジー、開幕!

処理中です...