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三章 あん・あん、いやあん、第三層
42 風呂に入れば不老長寿
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22日目。昨日、無事原油転送装置の設置が終わり、既に終着の村へと戻ってきている。今日は受け側の設置作業に入る。
転送リングを通して、第二層から第三層へ原油を転送するのだ。しかし原油は粘度が高いため、受け取り側でそこそこの力で吸引してやらないとなかなか取り出すことが出来ない。吸引用のポンプを作り、それをレバーの上下で動くように接続する。今のところ手動だけど、いずれは製油の廃熱を利用してタービンを回し、自動で吸引させるように手直しする予定だ。
簡易的ではあるが、井戸水を組み上げるかのごとく原油を手に入れる仕組みを作ることが出来た。これを製油装置に投入する。今回はガソリン、灯油、軽油、重油の4種類に分離する。前世の世界ならもっと色々な成分を取り出したり、有毒成分をフィルターしたりするんだけど、さすがにそこまでは無理だ。短時間でこれだけの物を作っただけでも褒めて欲しいぐらいだ。
さて、これで火炎放射器の燃料に苦労することは無くなった。とはいってもアレは第三層では通用しなかったけどね。
当面の問題はカネが無いことだ。そろそろ金策を考えていかなければならない。この世界では、生成した石油成分をいきなり売ることは不可能だ。そもそも今まで使われていなかった燃料をいきなり売ろうとしても、誰も買ってはくれないのだ。ではどうするか?石油燃料を消費する装置を売ることから始めれば良いのだ。
この前、浴場施設を求めて彷徨っている風呂好き魔術師スコヴィルを見かけてピーンと来ていたのだ。そうだ風呂を作ろうと。そのためには灯油式ボイラーを作る必要がある。第四層から持ち込まれた金属パイプを利用して、そこを流れる水を温めれば良い。さらに灯油の燃焼によって発生する蒸気によってタービンを回し、水を循環させるのだ。
第四層のジャンクを組み合わせたり、部品を作ったりしながらなんとかボイラーの試作品が出来た。現時点ではあまり効率が良いとは言えない代物だが、一応動く形にはなった。問題はこれからだ。
資金はほとんど残っていない。この状況で商売を始めるなど無理も良いところだ。だからといって何もしなければ、僕は数日の命だ。やらなければならないことは一つ。コミュ障の僕にとっては、芋虫を倒すより難しいことかもしれない。
僕は村の宿屋へ向かった。そして宿爺に話しかける。
「あ、あのぉ、お願いがあるんですが。」
「何だね、何か困ったことでも?」
「お、お金貸してください。」
「いきなりだの。だが、カネを貸せと言われてホイホイ貸せるほど、私も裕福では無いのでな。」
僕は緊張のあまり、いきなりカネの無心をしてしまった。
「い、いや、違うんです。いえ、お金を貸して欲しいことは違わないんですが、商売の提案なんです。見せたい物があるので来てもらいたいんですが。」
「商売? それならやぶさかでは無いの。」
宿爺に興味を持ってもらえたようだ。僕は試作ボイラーのある作業場まで付いてきてもらった。
「ほぉ、短期間で良く作ったものだね。」
宿爺さんは作業場や、その他僕の作った物を見て回りながらそういった。
「これを見てください。」
「何だね、それは?」
「ボイラーというものです。お湯を自動で作って循環させます。これがあれば簡単に入浴施設を作ることができます。」
僕はボイラーを動かし、水がお湯に変化していくところを見せた。
「おおおぉぉ、これは・・・。」
宿爺さんはどんどん暖まっていくお湯に驚きの声を上げる。
「これを使って大きな入浴施設を作り、冒険者を呼び込むんです。ここには他に競合する相手もいませんから、きっと上手くいくはずです。」
「ほぉほぉ、なるほど。」
「どうですか?」
僕は宿爺さんの反応を見て、交渉が上手くいったと確信する。
「・・・30点。合格点は出せないのぉ。」
「え?」
「まずここにくる冒険者は、これから下の階層へ降りる客が多い。宿で休息をとるのはともかく、風呂までは必要だとは思われんだろう。沸かしたお湯を桶に入れて、身体を拭けば十分だ。」
宿爺さんは残念そうに首を振る。
そうか、浴場を求めて彷徨っていたスコヴィルがレアなだけで、この世界の住人の基本的な考え方はそういうことなのだろう。マズイ、このままだと資金がショートして一巻の終わりだ。僕は頭をフル回転させる。起死回生の手は無いか?
「風呂に薬草を浮かべて、冒険前の能力アップを売りにするのはどうですか?」
「ふぅむ。」
宿爺さんが考えるそぶりを見せる。冒険前に風呂ってステータスを上げる、そんなモンスター狩りのゲームがあったなぁ。
「宿とセットにして割引なんかも。そうすれば利用する人も増えるはずです。」
僕はさらに提案する。
「60点。良い点数とまでは言えないが、よし、やってみようかの。まあ、君も困っているみたいだし、人助けだと思って手を貸そうかの。」
どうやら交渉は首の皮一枚で繋がったらしい。
日数 項目 金額 個数 合計 所持金
----------------------------------------------------------------------------
22日目 ボイラー部品 -6万3000蝸 1個 -6万3000蝸 6万0800蝸
22日目 食料 -7000蝸 1個 -7000蝸 5万3800蝸
転送リングを通して、第二層から第三層へ原油を転送するのだ。しかし原油は粘度が高いため、受け取り側でそこそこの力で吸引してやらないとなかなか取り出すことが出来ない。吸引用のポンプを作り、それをレバーの上下で動くように接続する。今のところ手動だけど、いずれは製油の廃熱を利用してタービンを回し、自動で吸引させるように手直しする予定だ。
簡易的ではあるが、井戸水を組み上げるかのごとく原油を手に入れる仕組みを作ることが出来た。これを製油装置に投入する。今回はガソリン、灯油、軽油、重油の4種類に分離する。前世の世界ならもっと色々な成分を取り出したり、有毒成分をフィルターしたりするんだけど、さすがにそこまでは無理だ。短時間でこれだけの物を作っただけでも褒めて欲しいぐらいだ。
さて、これで火炎放射器の燃料に苦労することは無くなった。とはいってもアレは第三層では通用しなかったけどね。
当面の問題はカネが無いことだ。そろそろ金策を考えていかなければならない。この世界では、生成した石油成分をいきなり売ることは不可能だ。そもそも今まで使われていなかった燃料をいきなり売ろうとしても、誰も買ってはくれないのだ。ではどうするか?石油燃料を消費する装置を売ることから始めれば良いのだ。
この前、浴場施設を求めて彷徨っている風呂好き魔術師スコヴィルを見かけてピーンと来ていたのだ。そうだ風呂を作ろうと。そのためには灯油式ボイラーを作る必要がある。第四層から持ち込まれた金属パイプを利用して、そこを流れる水を温めれば良い。さらに灯油の燃焼によって発生する蒸気によってタービンを回し、水を循環させるのだ。
第四層のジャンクを組み合わせたり、部品を作ったりしながらなんとかボイラーの試作品が出来た。現時点ではあまり効率が良いとは言えない代物だが、一応動く形にはなった。問題はこれからだ。
資金はほとんど残っていない。この状況で商売を始めるなど無理も良いところだ。だからといって何もしなければ、僕は数日の命だ。やらなければならないことは一つ。コミュ障の僕にとっては、芋虫を倒すより難しいことかもしれない。
僕は村の宿屋へ向かった。そして宿爺に話しかける。
「あ、あのぉ、お願いがあるんですが。」
「何だね、何か困ったことでも?」
「お、お金貸してください。」
「いきなりだの。だが、カネを貸せと言われてホイホイ貸せるほど、私も裕福では無いのでな。」
僕は緊張のあまり、いきなりカネの無心をしてしまった。
「い、いや、違うんです。いえ、お金を貸して欲しいことは違わないんですが、商売の提案なんです。見せたい物があるので来てもらいたいんですが。」
「商売? それならやぶさかでは無いの。」
宿爺に興味を持ってもらえたようだ。僕は試作ボイラーのある作業場まで付いてきてもらった。
「ほぉ、短期間で良く作ったものだね。」
宿爺さんは作業場や、その他僕の作った物を見て回りながらそういった。
「これを見てください。」
「何だね、それは?」
「ボイラーというものです。お湯を自動で作って循環させます。これがあれば簡単に入浴施設を作ることができます。」
僕はボイラーを動かし、水がお湯に変化していくところを見せた。
「おおおぉぉ、これは・・・。」
宿爺さんはどんどん暖まっていくお湯に驚きの声を上げる。
「これを使って大きな入浴施設を作り、冒険者を呼び込むんです。ここには他に競合する相手もいませんから、きっと上手くいくはずです。」
「ほぉほぉ、なるほど。」
「どうですか?」
僕は宿爺さんの反応を見て、交渉が上手くいったと確信する。
「・・・30点。合格点は出せないのぉ。」
「え?」
「まずここにくる冒険者は、これから下の階層へ降りる客が多い。宿で休息をとるのはともかく、風呂までは必要だとは思われんだろう。沸かしたお湯を桶に入れて、身体を拭けば十分だ。」
宿爺さんは残念そうに首を振る。
そうか、浴場を求めて彷徨っていたスコヴィルがレアなだけで、この世界の住人の基本的な考え方はそういうことなのだろう。マズイ、このままだと資金がショートして一巻の終わりだ。僕は頭をフル回転させる。起死回生の手は無いか?
「風呂に薬草を浮かべて、冒険前の能力アップを売りにするのはどうですか?」
「ふぅむ。」
宿爺さんが考えるそぶりを見せる。冒険前に風呂ってステータスを上げる、そんなモンスター狩りのゲームがあったなぁ。
「宿とセットにして割引なんかも。そうすれば利用する人も増えるはずです。」
僕はさらに提案する。
「60点。良い点数とまでは言えないが、よし、やってみようかの。まあ、君も困っているみたいだし、人助けだと思って手を貸そうかの。」
どうやら交渉は首の皮一枚で繋がったらしい。
日数 項目 金額 個数 合計 所持金
----------------------------------------------------------------------------
22日目 ボイラー部品 -6万3000蝸 1個 -6万3000蝸 6万0800蝸
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