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三章 あん・あん、いやあん、第三層
44 露天風呂にローテーションでやってくる人々
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24日目。露天風呂が完成した。ぽつんとあるだけなので、目隠しも脱衣所も無い。しかし・・・具合を確かめなければならないだろう。僕はお湯を張り終わった露天風呂に、生まれたままの姿でダイブした。
バチャーン
勢いよくお湯が舞う。そして僕は息子に備え付けられている二つのボールに激しい衝撃を感じた。
「ぐぎょぉぉ。」
裸で下手な体勢で飛び込むと、たまたまタマタマ衝撃が行ってしまうことがある。今の状況がそれだ。激痛と言うほどでは無いが、地味に痛い。コイツはタマらん、次からは気をつけたいと思う。
風呂の湯加減は悪くない。謎の水路から引かれている天然水。飲み水としても使われているので、水質に問題は無い。僕は鼻歌を歌いながら久々の入浴を楽しんだ。そんな中、ふと人の気配を感じた。宿爺か?
「これが宿の主人が言っていた露天風呂ね。私も入って良いかしら?」
僕は声に驚き、ビクッとなりながらそちらを向いた。僕の目が幻覚を見ているので無ければ、そこにいるのは剣聖ブレアだ。
「あ、え? あ、あ、あ、ダイジョブデスヨ。」
緊張のあまり、何故か片言になる僕。
「ではお邪魔するわ。」
剣聖ブレアは宿で着替えたのか、簡易な装備を纏っているだけだ。そしておもむろにそれを脱ぎ始めた。すでに下着姿になり、胸が少々小ぶりなことを除けば抜群のプロポーションが目に飛び込んできた。
「え、あの、いきなり脱ぐんですか?」
「お風呂は裸で入る物だと思っていたけれど、この世界では違うのかしら?」
「いや、そうじゃなく、僕は男でブレアさんは女性。」
「そんなこと、今更気にしないわよ。」
そして剣聖ブレアは生まれたままの姿でお湯につかる。僕は混乱のあまり思考が回らない。今、彼女は変なことを言わなかったか?
「良いお湯ね。あれの音がちょっとうるさいのが難点だけど。」
彼女はボイラーの方を見て言った。確かにうるさい。あとで囲いを作って多少の防音はした方が良いだろう。
「これはあなたが作ったの?」
「は、はい。そういえば以前はありがとうございました。」
「?」
「地上の冒険者ギルドでお金を取られそうになったところを助けてもらいました。」
「・・・ああ、あの時の!」
「おかげで僕は今ここにいられます。」
「そう・・・。正直に言うとあの時の君がここまで来るとは思っていなかったわ。いっそ助けなかった方が死なずに済んだかもって。」
「いえ、とんでもない。あの時のアドバイスのおかげで死なずやってこれました。」
僕は彼女にお礼を言った。
『気をつけなさい。ここがダンジョンの中だったらあなたは死んでいたわよ。』
初めて会ったときに彼女が僕に言った言葉だ。まあ、それでも何度も死にかけたけどね。
「名前を聞いて良い?」
「アフタです。」
「アフタ、あなたこれから下に降りるつもりはあるの?」
「・・・はい。」
「もしあなたが私に追いついたら、その時声をかけて。一緒にダンジョン踏破を、そして・・・。」
「え?」
「のぼせちゃう前にあがるわね。アフタ、今のこと覚えておいてね。」
そう言って剣聖ブレアはさっと服を着て去って行った。
彼女は何が言いたかったのだろう? 色々変な人だったけど、話の内容にいくつも違和感を感じるのだ。だけど目に焼き付いたボディーラインのせいで、まったく思考をまとめることが出来ない。お誘いを受けて・・・とにかく第七層までたどり着けということだろう。無茶な注文も良いところだ。
僕もそろそろ上がろう。そしてお湯から出て服を手に取る。そこでブレアとは違う女性の叫び声を聞いた。まさか、僕は露出狂扱い?
「ろ・・・露天風呂ぉぉぉぉ。」
どうやら僕に向けられた悲鳴では無いらしい、良かった。・・・良かったけれど、僕は相変わらず丸裸だ。
「スコヴィルさん?」
「オフロオフロオフロ。」
ヤバいこの人、目が逝っている。僕の逞しい裸体はまったく目に入っていないようだ。必死に服を着ながら僕は思っていた。この世界は変な人ばかりだと。
バチャーン
勢いよくお湯が舞う。そして僕は息子に備え付けられている二つのボールに激しい衝撃を感じた。
「ぐぎょぉぉ。」
裸で下手な体勢で飛び込むと、たまたまタマタマ衝撃が行ってしまうことがある。今の状況がそれだ。激痛と言うほどでは無いが、地味に痛い。コイツはタマらん、次からは気をつけたいと思う。
風呂の湯加減は悪くない。謎の水路から引かれている天然水。飲み水としても使われているので、水質に問題は無い。僕は鼻歌を歌いながら久々の入浴を楽しんだ。そんな中、ふと人の気配を感じた。宿爺か?
「これが宿の主人が言っていた露天風呂ね。私も入って良いかしら?」
僕は声に驚き、ビクッとなりながらそちらを向いた。僕の目が幻覚を見ているので無ければ、そこにいるのは剣聖ブレアだ。
「あ、え? あ、あ、あ、ダイジョブデスヨ。」
緊張のあまり、何故か片言になる僕。
「ではお邪魔するわ。」
剣聖ブレアは宿で着替えたのか、簡易な装備を纏っているだけだ。そしておもむろにそれを脱ぎ始めた。すでに下着姿になり、胸が少々小ぶりなことを除けば抜群のプロポーションが目に飛び込んできた。
「え、あの、いきなり脱ぐんですか?」
「お風呂は裸で入る物だと思っていたけれど、この世界では違うのかしら?」
「いや、そうじゃなく、僕は男でブレアさんは女性。」
「そんなこと、今更気にしないわよ。」
そして剣聖ブレアは生まれたままの姿でお湯につかる。僕は混乱のあまり思考が回らない。今、彼女は変なことを言わなかったか?
「良いお湯ね。あれの音がちょっとうるさいのが難点だけど。」
彼女はボイラーの方を見て言った。確かにうるさい。あとで囲いを作って多少の防音はした方が良いだろう。
「これはあなたが作ったの?」
「は、はい。そういえば以前はありがとうございました。」
「?」
「地上の冒険者ギルドでお金を取られそうになったところを助けてもらいました。」
「・・・ああ、あの時の!」
「おかげで僕は今ここにいられます。」
「そう・・・。正直に言うとあの時の君がここまで来るとは思っていなかったわ。いっそ助けなかった方が死なずに済んだかもって。」
「いえ、とんでもない。あの時のアドバイスのおかげで死なずやってこれました。」
僕は彼女にお礼を言った。
『気をつけなさい。ここがダンジョンの中だったらあなたは死んでいたわよ。』
初めて会ったときに彼女が僕に言った言葉だ。まあ、それでも何度も死にかけたけどね。
「名前を聞いて良い?」
「アフタです。」
「アフタ、あなたこれから下に降りるつもりはあるの?」
「・・・はい。」
「もしあなたが私に追いついたら、その時声をかけて。一緒にダンジョン踏破を、そして・・・。」
「え?」
「のぼせちゃう前にあがるわね。アフタ、今のこと覚えておいてね。」
そう言って剣聖ブレアはさっと服を着て去って行った。
彼女は何が言いたかったのだろう? 色々変な人だったけど、話の内容にいくつも違和感を感じるのだ。だけど目に焼き付いたボディーラインのせいで、まったく思考をまとめることが出来ない。お誘いを受けて・・・とにかく第七層までたどり着けということだろう。無茶な注文も良いところだ。
僕もそろそろ上がろう。そしてお湯から出て服を手に取る。そこでブレアとは違う女性の叫び声を聞いた。まさか、僕は露出狂扱い?
「ろ・・・露天風呂ぉぉぉぉ。」
どうやら僕に向けられた悲鳴では無いらしい、良かった。・・・良かったけれど、僕は相変わらず丸裸だ。
「スコヴィルさん?」
「オフロオフロオフロ。」
ヤバいこの人、目が逝っている。僕の逞しい裸体はまったく目に入っていないようだ。必死に服を着ながら僕は思っていた。この世界は変な人ばかりだと。
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