能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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三章 あん・あん、いやあん、第三層

47 僕に宿る宿爺が、仰々しく凝視する足下

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「ありがとうございました。介抱までしていただいたみたいで。」
 服を着たスコヴィルが僕にお礼を言った。
「見てませんよ?」
 それに対して僕が行った返答は、完全に的を外したものだった。

「大丈夫です。そういうのを気にしていたら冒険者なんてできませんよ。それでは仲間と合流しますので、失礼します。ちょっと遅くなってしまいました。心配をかけているかもしれませんね。」
「仲間・・・。そうですね、心配をかけるとマズイですよね。」
 僕はスコヴィルを見送った。当然、彼女には仲間がいるのだ。何故そんな当然のことで、いちいち僕は落胆したのだろう?

 とにかく露天風呂は完成した。問題は風呂が一つしか無いので、男女混浴になってしまうことだ。冒険者はそんなこと気にしないらしいけど、いいのかなぁこれで?

 ふと、ここで一つ気になることが出来た。自分で作っておいてなんだけど、完成するまでの期間があまりにも短いのだ。ボイラーと露天風呂を作るのに、こんな短期間出来るものなのだろうか? そもそもこの世界、なんだかおかしいのだ。村にいた頃はあまり深く考えなかったけれど凄い違和感がある。

 村はそこそこ広大な農場を、かなりの少人数で回していた。農業機具もローテクなものばかりの手作業だ。新しい家を建てるときも、数日であっという間に建てていた気がする。

 このダンジョンで活動するようになってから、色々とおかしなところが目に付くようになった。ダンジョンそのものがハッチャケ過ぎているというのもあるけれど、世界そのものに対する違和感をジワジワと感じるようになったのだ。

 『ダンジョン踏破をすれば全てが分かる』僕の中に刻まれている何かがそう確信している。

 僕は宿爺に露天風呂の完成を告げた。すると「終着浴場」という不吉な名前が付いた。これで僕は毎日燃料代金を受け取ることが出来る。そしてそこから100万シュネを返済していくのだ。本来なら利子を払わなければならないところを好意で免除してくれるらしい。親切だなぁ宿爺。

 借金で借りたままの残金は第三層の攻略費用に回す。無利子だしね。 


日数  項目          金額     個数 合計     所持金    
-----------------------------------------------------------------------------
26日目 食料           -1万3000蝸  1個  -1万3000蝸  62万0800蝸 
26日目 建築資材         -5万6000蝸  1個  -5万6000蝸  56万4800蝸 
26日目 工具           -3万2000蝸  1個  -3万2000蝸  53万2800蝸 


 27日目。もうすぐダンジョンに潜って一ヶ月になろうとしている。そういえばしばらくの間、地上に戻っていない気がする。借家の支払日がもうすぐだけど、このまま戻らないと自動解約となる。まあ、荷物も持ち歩いているし、特に問題は無い。

 今は作業場の片隅で寝泊まりしている状態だ。僕は寝床に注文を付けたりはしないんだけど、一つ難点があるとすれば油臭いことだ。色々な種類の臭気が漏れて結構強烈だ。たぶん発がん性物質とかもあるから、このままだと危ないかもしれない。

 今日はまず、露天風呂の状態の確認に向かう。運営は宿爺に任せているんだけど、不具合が出ていたら大変だ。そして僕は露天風呂へ到着する。そこは・・・人だかりになっていた。この村、こんなに人がいたの? と思えるぐらいごった返していた。露天風呂入り口のところで宿爺が何人かの助っ人と共に、人の流れを整理していた。

「凄い人だかりですね。」
「うむ、初日とはいえ予想以上に集まったの。嬉しい悲鳴という所か。」
「ボイラーの調子はどうですか?」
「今のところ問題ない。それよりも予定より営業時間を延ばすから、燃料の追加を頼む。」
「わかりました。在庫を持ってきますね。」

 僕は作業場から灯油を持ち出して、露天風呂の方へ運んだ。製油の割合調整で灯油を増やした方が良いかもしれない。ちなみに製油する場合、必要量の応じて生成する成分を調整できるのだ。灯油の蒸留温度の幅を広げて、ガソリンと軽油を減らし灯油を増やすというのが出来るのだ。しかしあまりやり過ぎると、どんどん質が低下していくのでお勧めは出来ない。

 魔法の袋のおかげで運搬作業は楽ちんだ。この世界での戦争って、きっと兵站とか考える必要が無いんだろうなあ。魔法の袋があればみんな解決してしまう。ちなにみこの袋、生き物は入れられないらしい。前に生きている虫を放り込んだら、はじき出されてしまった。死んだ虫は問題ない。不思議な袋だ。当然ながら、魔物を魔法の袋でゲットすることは不可能だ。でもアンデッドは死んでいるんだよなぁ。判定はどうなるんだろう?

 ということで作業に入る。今日から新しいものを作るのだ。何を作るかって? それはエンジンだ。ガソリンエンジン、そして一気に近代化だ!

 第三層は僕の実力ではまともにクリアすることは不可能、それは十二分に理解している。だからまともにクリアするつもりなど毛頭無い。効率的かつエレガント、それが僕のやり方さ。

 エンジンの開発はかなり難しい。燃焼のエネルギーの利用方法は2種類ある。まず外燃機関、これは水を温め水蒸気を作りその膨張圧力によって力を作り出し、冷却収縮させたものを再利用する。間接的な性質変化を繰り返すため効率は悪い。昔のSLなんかは、その効率の悪い方法で石炭を大量消費しながら、大気汚染しまくって走っていたのだ。

 それに対して現代で一般的に用いられているのは内燃機関だ。石油成分の多くは水素で構成されている。それを燃焼させることによって水、水蒸気が発生するのだ。その圧力を直接用いるのが内燃機関だ。ただし、ぶっちゃけこれを作るのはかなり難しい。エンジンというのは、その内部で燃料が爆発を起こしているようなものだからだ。この世界で手に入る物で、それに耐えうる構造を作らなければならない。

 まあ、とにかく頑張ろう。


日数  項目          金額     個数 合計     所持金    
-----------------------------------------------------------------------------
27日目 エンジン部品       -8万2000蝸  1個  -8万2000蝸  45万0800蝸 
27日目 食料           -1万1000蝸  1個  -1万1000蝸  43万9800蝸 
27日目 燃料売り上げ       6万0000蝸  1個  6万0000蝸  49万9800蝸 
27日目 借金返済(1)       -1万0000蝸  1個  -1万0000蝸  48万9800蝸 
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