能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

文字の大きさ
74 / 208
四章 予想はよそう、第四層

74 棒一本も使いこなせない人の防具

しおりを挟む
 かなりリッチになった僕は、魔法オヤジの元を尋ねた。そろそろ革の服を卒業して防具を買い換えようと思う。そもそもウーナに焦がされて、これ以上の使用は困難だからだ。

「おう、ジャンキーか。第四層から無事に生きて戻ってこられたみたいだな。」
 魔法オヤジ、耳が早いのは良いとして、通り名じゃ無くて名前で呼んで欲しい。僕はいったいなんの中毒者なんだよ?

「防具を一新したいんですが、お勧めはありませんか?」
「ようやくその気になったか。お前の装備でダンジョンを彷徨(うろつ)くなんて頭が逝っていると思ってたんだが。そうか、ようやくまともな思考が出来るようになったんだな。ちょっと待ってろ。」

 魔法オヤジ、思っていたのならもっと早く突っ込んでくれ。色々ありすぎて、自分の装備の事なんてすっかり忘れてたんだよ。そしてオヤジは倉庫の中に入っていった。しばらくすると彼はいくつかの品を出してきた。

「これがオリハルコンの鎖帷子(くさりかたびら)、聖樹の帽子、天馬の靴、残滓の手袋・・・こんな所か。あとマントもいるか?」

 いきなり凄い名前の装備が出てきたんだけど・・・。現在の所持金780万、なんだか足りるかどうか不安になってきた。

「おいくら万シュネですか?」
「お前には世話になったからな。出血大火傷サービスで4500万シュネだ! 闇市ならその10倍はするからな。」

 おい!
 足りねぇぇぇぇぇ!
 足りねぇぇぇぇぇよぉぉぉ!
 また金持ち詐欺かよぉぉぉ。

「お前、いくら持ってるんだ?」
「780万シュネです。」
「そうか・・・。じゃあ700万シュネだけ前金でもらう。あとは出世払いだ。それまでお前の所の燃料代からさっ引く。」
「良いんですか?」
「お前が死んでも、燃料は入ってくるしな。別に損をするわけじゃ無い。だがまあ・・・死ぬなよ。」

 オヤジぃぃぃぃ!!!!

「それからお前が下の階層でアダマンタイトを見つけてきたらもってこい。最高の装備を作ってやる。」

 僕はちょっと涙ぐんだ。でも、宿爺の借金を返したと思ったら、今度は魔法オヤジに借金をすることになった。どこまで稼げば、僕は金持ちだと思って良いんだろうか? このダンジョンにいると金銭感覚すら崩壊してしまう。

 出来ることなら、「満ちあふれる才能」、「最強の装備」、「強力な仲間」、「潤沢な資金」、そんな状態で冒険を始めたかった。まあ夢のリコッテじゃあるまいし、そんなのは夢でしか無いんだけどね。

 そして僕は魔法オヤジから買った装備品を身につける。なんだか強くなった気がした。しかし僕に増長は無い。役割をしっかりと考えるべきなのだ。僕は絶対に前に出ない。後ろで隠れる、そして逃げ回る。小賢(こざか)しい戦法でチクチク戦う。このスタンスを絶対に守る。

 今まで失敗してもたまたま生きていた。しかし少年漫画並みのインフレ率を誇るこのダンジョンで、次に失敗したら生きている保証は何も無い。いや、死ぬ、確実に死ぬ。チキンプレイ? 鶏肉の何が悪い?

 魔法オヤジから装備の説明を受けた。

 オリハルコンの鎖帷子。材質の名前の時点で察しが付きそうだけど、アダマンタイトに次ぐ伝説級の鉱物。強力な対魔法防御を誇る。さらに防御フィールドっぽいものが展開されるらしく、物理攻撃のかなり軽減される。そして重量も軽めで、動きの邪魔をしない。

 聖樹の帽子。かぶっていると体力や魔力の回復速度が向上する。さらに時々、天からの閃きが舞い降りるらしい。気になる効果だ。

 天馬の靴。少しだけ浮くことが出来る。地形効果の軽減が出来るらしい。

 残滓の手袋。手による射程の延長効果。特に素手での打撃時に、自分のリーチに追加効果が生まれるらしい。格闘系の人以外役に立たなそうだけど、実は作業用として重宝するらしい。延長した部分に関しては当然のごとく、自分にダメージは無い。そういえば剣でも同じような物を持ってるなぁ。役に立ってないけど。

 新しいアイテムを手に入れると、ちょっとワクワクしてくる。え、武器はいいのかって? 僕の武器はこの研ぎ澄まされた頭脳だ。だから必要ない。どうせ買っても使いこなせないだろうとか、断じてそういうわけでは無いのだ。無いんだよ?
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

無能と追放された結界師、三十路のおっさんですが17歳の辺境伯令嬢と婚約して人生逆転します

みかん畑
ファンタジー
無能と蔑まれ、Aランクパーティを追放された結界師フィン。 行き場を失った彼を拾ったのは、辺境伯の娘リリカだった。 国土結界の恩恵が届かない辺境で、フィンの結界は本当の価値を発揮していく。 領地再建、政治の駆け引き、そして少女のまっすぐな想い。 これは無能と呼ばれた男が、辺境で居場所を見つけ、やがて年の差婚へと至る物語。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

婚約破棄された元OL悪役令嬢、コンサル知識で潰れかけのギルドを王国一に再建します

黒崎隼人
ファンタジー
エルムガンド王国の第一王子から、卒業パーティーの最中に婚約破棄を宣告された公爵令嬢イザベラ。 断罪のショックで、彼女は自分が現代日本で経営コンサルタントとして働いていた前世の記憶を取り戻す。 ここは乙女ゲームの世界。このままでは爵位剥奪、領地没収の破滅ルートが待っている! 「冗談じゃない。そんな未来、絶対に受け入れてなるものか」 イザベラは破滅フラグを回避するため、父の道楽である赤字続きの冒険者ギルド「白銀の獅子」の運営を引き継ぐことを宣言。 前世で培った現状分析、プロジェクト管理、成果報酬制度などのビジネススキルを駆使し、潰れかけのギルドの改革に乗り出す。 クエストの可視化、新人教育、そしてエルフの賢者や獣人ギルドのマスターとの異種族間連携。 最初は彼女を馬鹿にしていた荒くれ者の冒険者たちも、その圧倒的な手腕とカリスマ性に惹かれ、いつしか彼女の頼もしい仲間となっていく。 やがて彼女のギルドは王都最大の組織へと成長し、彼女を陥れた敵の陰謀すらも打ち砕く! 恋愛よりも仕事! 最高の仲間たちと共に、すべての種族が笑って暮らせる未来を創り上げる、元悪役令嬢の痛快お仕事ファンタジー、開幕!

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」 ***  魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。  王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。  しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。  解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。  ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。  しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。  スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。  何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……? 「今日は野菜の苗植えをします」 「おー!」 「めぇー!!」  友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。  そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。  子育て成長、お仕事ストーリー。  ここに爆誕!

処理中です...