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四章 予想はよそう、第四層
78 時計のことなどほっとけい
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「いや、その話は次回にしよう。それよりも確認することがある。」
リコッテの名前が出た瞬間、僕が再び発狂しかけたのを見て話を打ち切るサドン。さすがイケメン、空気が読める男。しかし続きが気になって夜も眠れなくなりそうだ。
「ところでぶっちゃけて聞くけど、君はPCなのかい?」
脈絡の無い突然の質問に僕は戸惑った。
「パソコン? だったら第四層でノートPCを手に入れたけど。」
その言葉を聞いたサドンは深く考え込んだ表情をする。しばらく黙って考えるそぶりを見せた後、ようやく口を開いた。
「やっぱりそうか・・・。これで僕を含めソルトシールで四人揃った。」
四人揃った? なんのことだろう?
「何の話なのかさっぱり分からないんだけど?」
「アフタ、君は分かっているはずだ。なのに考えるのを自ら拒否しているんじゃないのかい?」
さっぱり分からない。考えるのを拒否って・・・。思考のキャンセル・・・そういえば思い当たる節はある。つまりサドンは何を知っていると言うんだろう?
「もう一つ聞いておきたい。ボロディアという名前に心当たりは?」
ボロディアって魔法の袋に入っていた紙に書いてあった名前だよなあ。たまたま拾った紙に書いてあった名前、それが心当たりの内に入るんだろうか? そんなことを考えていると、僕をサドンがじっと見つめてきた。
「まさかとは思ったけど・・・どうやらビンゴのようだね。答えがソルトシールダンジョンに入る前から隣にいたとは、偶然にしても出来すぎだよ。ボロディア、ギスケ、アフタ、これでピースが全て揃った。」
聞き慣れない名前が混ざっていた。ギスケ? いや、聞いたことがある。僕はその名前を知っている。
「色々分からないことばかりだし、説明が欲しいんだけど?」
「君が第四層をクリアしたら、こちらが知っている情報を全て教える。そして出来ることならアフタの力を借りたい。」
僕の力など才能にあふれるサドンと比べれば無いに等しい。いったいどんな力を貸せというのか。
「それと、役に立つかどうか分からないけれど一応忠告しておく。侍とその仲間には気をつけるんだ。すでに介入が始まっている。敵と味方をしっかりと見極めるんだ。」
侍というと夢で見たリコッテの仲間の話だよね。
サドンはそれだけ言うと、何かを決心したようにその場を去って行った。謎ばかり残していった格好だ。
サドンの話によると、リコッテは現実に存在したらしい。いや、現実に存在しているのは知っている。ソルトシールに来ているという事実が、サドンの話によって確定してしまったのだ。つまりあの夢は、十中八九正夢と言うことだ。現実が悪夢と化した瞬間だった。あの夢の内容から推察するに、リコッテは僕に敵対心を抱いている。それは既に殺意と言ってもいいかもしれない。もうこの第三層へ来るのも秒読みだろう。
まだ祭りは続いている。賑やかな祭りに反比例するように僕の心は沈んでいた。ふと、突然出現した時計台を見上げる。巨大なので町の中からなら、ほとんどどこからでも見ることが出来る。そして時計台なので当然時計が付いている。しかしその時計の違和感に今更ながらに気がついた。針が一本しか無いのだ。そしてその針は12の位置を示していた。
最初に見たときは時針と分針が重なっているのかと思って気にしていなかったけれど、どうやら違うらしい。この世界にも超高価ながら機械式の時計が存在する。元の世界に近い単位を使っており、時計にはきちんと時針、分針、秒針がある。だからここの時計が特殊なのだ。時計台と呼んだこと自体が間違いなのかもしれない。今のところは、アレがいったい何を示しているのかさっぱり分からない。
時計台を見たせいで考えがそれてしまった。情報が入ると色々と思考が分散してしまう僕の悪い癖だ。とにかくこれからのことを考えよう。第四層をクリアしたら、サドンが何か教えてくれるらしいのだ。力を貸してくれと言うのはパソコンの使い方でも教わりたいのかな? PCに興味津々だったし。いや、やっぱり違うか。
「アフタ、ようやく見つけたわ。」
その言葉に僕はギクッとし震える。声の主は僕の知っている人物だった。
リコッテの名前が出た瞬間、僕が再び発狂しかけたのを見て話を打ち切るサドン。さすがイケメン、空気が読める男。しかし続きが気になって夜も眠れなくなりそうだ。
「ところでぶっちゃけて聞くけど、君はPCなのかい?」
脈絡の無い突然の質問に僕は戸惑った。
「パソコン? だったら第四層でノートPCを手に入れたけど。」
その言葉を聞いたサドンは深く考え込んだ表情をする。しばらく黙って考えるそぶりを見せた後、ようやく口を開いた。
「やっぱりそうか・・・。これで僕を含めソルトシールで四人揃った。」
四人揃った? なんのことだろう?
「何の話なのかさっぱり分からないんだけど?」
「アフタ、君は分かっているはずだ。なのに考えるのを自ら拒否しているんじゃないのかい?」
さっぱり分からない。考えるのを拒否って・・・。思考のキャンセル・・・そういえば思い当たる節はある。つまりサドンは何を知っていると言うんだろう?
「もう一つ聞いておきたい。ボロディアという名前に心当たりは?」
ボロディアって魔法の袋に入っていた紙に書いてあった名前だよなあ。たまたま拾った紙に書いてあった名前、それが心当たりの内に入るんだろうか? そんなことを考えていると、僕をサドンがじっと見つめてきた。
「まさかとは思ったけど・・・どうやらビンゴのようだね。答えがソルトシールダンジョンに入る前から隣にいたとは、偶然にしても出来すぎだよ。ボロディア、ギスケ、アフタ、これでピースが全て揃った。」
聞き慣れない名前が混ざっていた。ギスケ? いや、聞いたことがある。僕はその名前を知っている。
「色々分からないことばかりだし、説明が欲しいんだけど?」
「君が第四層をクリアしたら、こちらが知っている情報を全て教える。そして出来ることならアフタの力を借りたい。」
僕の力など才能にあふれるサドンと比べれば無いに等しい。いったいどんな力を貸せというのか。
「それと、役に立つかどうか分からないけれど一応忠告しておく。侍とその仲間には気をつけるんだ。すでに介入が始まっている。敵と味方をしっかりと見極めるんだ。」
侍というと夢で見たリコッテの仲間の話だよね。
サドンはそれだけ言うと、何かを決心したようにその場を去って行った。謎ばかり残していった格好だ。
サドンの話によると、リコッテは現実に存在したらしい。いや、現実に存在しているのは知っている。ソルトシールに来ているという事実が、サドンの話によって確定してしまったのだ。つまりあの夢は、十中八九正夢と言うことだ。現実が悪夢と化した瞬間だった。あの夢の内容から推察するに、リコッテは僕に敵対心を抱いている。それは既に殺意と言ってもいいかもしれない。もうこの第三層へ来るのも秒読みだろう。
まだ祭りは続いている。賑やかな祭りに反比例するように僕の心は沈んでいた。ふと、突然出現した時計台を見上げる。巨大なので町の中からなら、ほとんどどこからでも見ることが出来る。そして時計台なので当然時計が付いている。しかしその時計の違和感に今更ながらに気がついた。針が一本しか無いのだ。そしてその針は12の位置を示していた。
最初に見たときは時針と分針が重なっているのかと思って気にしていなかったけれど、どうやら違うらしい。この世界にも超高価ながら機械式の時計が存在する。元の世界に近い単位を使っており、時計にはきちんと時針、分針、秒針がある。だからここの時計が特殊なのだ。時計台と呼んだこと自体が間違いなのかもしれない。今のところは、アレがいったい何を示しているのかさっぱり分からない。
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その言葉に僕はギクッとし震える。声の主は僕の知っている人物だった。
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