能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

文字の大きさ
78 / 208
四章 予想はよそう、第四層

78 時計のことなどほっとけい

しおりを挟む
「いや、その話は次回にしよう。それよりも確認することがある。」

 リコッテの名前が出た瞬間、僕が再び発狂しかけたのを見て話を打ち切るサドン。さすがイケメン、空気が読める男。しかし続きが気になって夜も眠れなくなりそうだ。

「ところでぶっちゃけて聞くけど、君はPCなのかい?」

 脈絡の無い突然の質問に僕は戸惑った。

「パソコン? だったら第四層でノートPCを手に入れたけど。」

 その言葉を聞いたサドンは深く考え込んだ表情をする。しばらく黙って考えるそぶりを見せた後、ようやく口を開いた。

「やっぱりそうか・・・。これで僕を含めソルトシールで四人揃った。」

 四人揃った? なんのことだろう? 

「何の話なのかさっぱり分からないんだけど?」
「アフタ、君は分かっているはずだ。なのに考えるのを自ら拒否しているんじゃないのかい?」

 さっぱり分からない。考えるのを拒否って・・・。思考のキャンセル・・・そういえば思い当たる節はある。つまりサドンは何を知っていると言うんだろう?

「もう一つ聞いておきたい。ボロディアという名前に心当たりは?」

 ボロディアって魔法の袋に入っていた紙に書いてあった名前だよなあ。たまたま拾った紙に書いてあった名前、それが心当たりの内に入るんだろうか? そんなことを考えていると、僕をサドンがじっと見つめてきた。

「まさかとは思ったけど・・・どうやらビンゴのようだね。答えがソルトシールダンジョンに入る前から隣にいたとは、偶然にしても出来すぎだよ。ボロディア、ギスケ、アフタ、これでピースが全て揃った。」

 聞き慣れない名前が混ざっていた。ギスケ? いや、聞いたことがある。僕はその名前を知っている。 

「色々分からないことばかりだし、説明が欲しいんだけど?」
「君が第四層をクリアしたら、こちらが知っている情報を全て教える。そして出来ることならアフタの力を借りたい。」

 僕の力など才能にあふれるサドンと比べれば無いに等しい。いったいどんな力を貸せというのか。

「それと、役に立つかどうか分からないけれど一応忠告しておく。侍とその仲間には気をつけるんだ。すでに介入が始まっている。敵と味方をしっかりと見極めるんだ。」
 侍というと夢で見たリコッテの仲間の話だよね。

 サドンはそれだけ言うと、何かを決心したようにその場を去って行った。謎ばかり残していった格好だ。

 サドンの話によると、リコッテは現実に存在したらしい。いや、現実に存在しているのは知っている。ソルトシールに来ているという事実が、サドンの話によって確定してしまったのだ。つまりあの夢は、十中八九正夢と言うことだ。現実が悪夢と化した瞬間だった。あの夢の内容から推察するに、リコッテは僕に敵対心を抱いている。それは既に殺意と言ってもいいかもしれない。もうこの第三層へ来るのも秒読みだろう。

 まだ祭りは続いている。賑やかな祭りに反比例するように僕の心は沈んでいた。ふと、突然出現した時計台を見上げる。巨大なので町の中からなら、ほとんどどこからでも見ることが出来る。そして時計台なので当然時計が付いている。しかしその時計の違和感に今更ながらに気がついた。針が一本しか無いのだ。そしてその針は12の位置を示していた。

 最初に見たときは時針と分針が重なっているのかと思って気にしていなかったけれど、どうやら違うらしい。この世界にも超高価ながら機械式の時計が存在する。元の世界に近い単位を使っており、時計にはきちんと時針、分針、秒針がある。だからここの時計が特殊なのだ。時計台と呼んだこと自体が間違いなのかもしれない。今のところは、アレがいったい何を示しているのかさっぱり分からない。

 時計台を見たせいで考えがそれてしまった。情報が入ると色々と思考が分散してしまう僕の悪い癖だ。とにかくこれからのことを考えよう。第四層をクリアしたら、サドンが何か教えてくれるらしいのだ。力を貸してくれと言うのはパソコンの使い方でも教わりたいのかな? PCに興味津々だったし。いや、やっぱり違うか。

「アフタ、ようやく見つけたわ。」

 その言葉に僕はギクッとし震える。声の主は僕の知っている人物だった。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」 ***  魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。  王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。  しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。  解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。  ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。  しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。  スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。  何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……? 「今日は野菜の苗植えをします」 「おー!」 「めぇー!!」  友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。  そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。  子育て成長、お仕事ストーリー。  ここに爆誕!

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

処理中です...