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五章 寒々ホワイト、第五層
96 作られたエイアイへ愛を送る
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僕のユニークスキル、絶対ろくでもないものに違いない。だって、ここまでの道のりでスキルっぽいものが発動したことは一度も無いのだから。戦闘の役に立つようなものでないことは想像に難しくない。
「つまり僕は、記憶が無いだけで未帰還者という可能性があるわけですね。僕のことはいつから気がついていたんですか?」
「お風呂を作っているところを見て。この世界の人間が、いきなり灯油を燃料にしてボイラーを作るわけがありません。」
「ああ、確かに。」
「ブレアさんもそれで気づいたんだと思います。」
「なるほど、だから素材集めの手伝いとかをしてくれたのか・・・。」
剣聖ブレアは手伝いついでに僕の様子を窺っていたということだろう。今思えば、ブレアとの会話の中に色々と不自然なところがある。結局、色々と気がつかなかった僕は相当な間抜けなのだろう。
「お願いします、私とパーティーを組んでください。」
彼女はさっきと同じ事をもう一度言った。僕が弱いのは説明したし、それでもというのなら断る理由は・・・無いのかな?
「分かりました。よろしくお願いします。」
僕はパーティー加入を了承することにした。まさかお願いされてパーティを組むことになるとは夢にも思わなかった。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
スコヴィルは僕に満面の笑顔を向けた。そんな顔をされたら惚れてしまうやろ。僕はリコッテの顔を意図的に思い出すことにした。身震いした。そして余計な邪念が逃げていく。
ついにソロを卒業するときがやってきたらしい。パーティーを組んだのは素材集めの時以来だ。しかし今回は一時では無く正式パーティーだ。それはそれとして確認しなければならないことがいくつもある。
「話の流れからすると、第十層には元の世界へ戻る方法があるということなんですか?」
「私自身は当初、確証無く目指していました。しかしサドンさんから話を聞いたときに、彼は確実にあると言っていました。ただし元の世界に帰るには他にも必要な物がある、それを探している最中だとも。」
「何を探しているとか詳しい話は?」
「残念ながら。」
その辺りはサドンから直接聞くしかないか。では別の話を確認しよう。
「スコヴィルさんが未帰還者になった状況を教えてくれますか? そもそも元の世界で何があったのかとか、僕には記憶が無いので詳しく聞きたいんです。」
そして僕は彼女がこの世界に閉じ込められるまでの話を聞いた。
「私はボロディアという人が作ったMMORPGのテストに参加しました。最初は良く出来た普通のゲームだったんです。しかしそのうち、眠っているときにこの世界を夢で見るようになりました。でも夢は夢、目が覚めれば何事も無かったんです。それがいつの間にか醒めない夢になっていました。」
ボロディア・・・それは僕が持っている上質紙に書いてある名前だ。パスワード付きで。話が進まなくなるから、とりあえず彼女にその話をするのは後回しにしよう。僕は引き続き彼女の話を聞いた。
「そのゲームの売りは、強力なAIが世界を作るという触れ込みでした。公式掲示板では制作者が、既に自分の手を離れて拡張が進んでいると書き込んでいました。」
「敵のアルゴリズムとかに使う限定的なものではなく、プログラムを自己改編するタイプ・・・。AIギスケ・・・。」
僕はそのプログラムに覚えがあった。
「目が覚めないことに恐ろしくなった私は、どうやったら戻れるのか色々試しました。その際に気がついてしまったんです。五感がしっかりあることに。食事をすれば味があるし、怪我をすれば痛みがある。夢の中ではあり得ない状況。しかたなく戻る方法が分かるまで、この世界で冒険者として生活することにしました。そしてある日、思い出したんです。このゲームのテストの目的が、ダンジョン踏破までだったことに。」
「なるほど、だから命をかけてダンジョンを進んだんですね。一人になってすら・・・。」
「私は元の世界に戻りたい、家族に会いたいんです。」
真剣な表情だ。必死の願いなのだろう。
「あのアフタさん、一つ聞いていいですか?」
僕が頷くと、彼女は話を続ける。
「私がAIの話をしたとき、何だか私以上に詳しいような感じでした。いったい何故ですか?」
「たぶん僕は元の世界ではプログラマか何かだったんだと思う。」
「では何故AIの名前をギスケだと言ったんですか? もしかして開発に携わっていたとか?」
「あれ?」
「つまり僕は、記憶が無いだけで未帰還者という可能性があるわけですね。僕のことはいつから気がついていたんですか?」
「お風呂を作っているところを見て。この世界の人間が、いきなり灯油を燃料にしてボイラーを作るわけがありません。」
「ああ、確かに。」
「ブレアさんもそれで気づいたんだと思います。」
「なるほど、だから素材集めの手伝いとかをしてくれたのか・・・。」
剣聖ブレアは手伝いついでに僕の様子を窺っていたということだろう。今思えば、ブレアとの会話の中に色々と不自然なところがある。結局、色々と気がつかなかった僕は相当な間抜けなのだろう。
「お願いします、私とパーティーを組んでください。」
彼女はさっきと同じ事をもう一度言った。僕が弱いのは説明したし、それでもというのなら断る理由は・・・無いのかな?
「分かりました。よろしくお願いします。」
僕はパーティー加入を了承することにした。まさかお願いされてパーティを組むことになるとは夢にも思わなかった。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
スコヴィルは僕に満面の笑顔を向けた。そんな顔をされたら惚れてしまうやろ。僕はリコッテの顔を意図的に思い出すことにした。身震いした。そして余計な邪念が逃げていく。
ついにソロを卒業するときがやってきたらしい。パーティーを組んだのは素材集めの時以来だ。しかし今回は一時では無く正式パーティーだ。それはそれとして確認しなければならないことがいくつもある。
「話の流れからすると、第十層には元の世界へ戻る方法があるということなんですか?」
「私自身は当初、確証無く目指していました。しかしサドンさんから話を聞いたときに、彼は確実にあると言っていました。ただし元の世界に帰るには他にも必要な物がある、それを探している最中だとも。」
「何を探しているとか詳しい話は?」
「残念ながら。」
その辺りはサドンから直接聞くしかないか。では別の話を確認しよう。
「スコヴィルさんが未帰還者になった状況を教えてくれますか? そもそも元の世界で何があったのかとか、僕には記憶が無いので詳しく聞きたいんです。」
そして僕は彼女がこの世界に閉じ込められるまでの話を聞いた。
「私はボロディアという人が作ったMMORPGのテストに参加しました。最初は良く出来た普通のゲームだったんです。しかしそのうち、眠っているときにこの世界を夢で見るようになりました。でも夢は夢、目が覚めれば何事も無かったんです。それがいつの間にか醒めない夢になっていました。」
ボロディア・・・それは僕が持っている上質紙に書いてある名前だ。パスワード付きで。話が進まなくなるから、とりあえず彼女にその話をするのは後回しにしよう。僕は引き続き彼女の話を聞いた。
「そのゲームの売りは、強力なAIが世界を作るという触れ込みでした。公式掲示板では制作者が、既に自分の手を離れて拡張が進んでいると書き込んでいました。」
「敵のアルゴリズムとかに使う限定的なものではなく、プログラムを自己改編するタイプ・・・。AIギスケ・・・。」
僕はそのプログラムに覚えがあった。
「目が覚めないことに恐ろしくなった私は、どうやったら戻れるのか色々試しました。その際に気がついてしまったんです。五感がしっかりあることに。食事をすれば味があるし、怪我をすれば痛みがある。夢の中ではあり得ない状況。しかたなく戻る方法が分かるまで、この世界で冒険者として生活することにしました。そしてある日、思い出したんです。このゲームのテストの目的が、ダンジョン踏破までだったことに。」
「なるほど、だから命をかけてダンジョンを進んだんですね。一人になってすら・・・。」
「私は元の世界に戻りたい、家族に会いたいんです。」
真剣な表情だ。必死の願いなのだろう。
「あのアフタさん、一つ聞いていいですか?」
僕が頷くと、彼女は話を続ける。
「私がAIの話をしたとき、何だか私以上に詳しいような感じでした。いったい何故ですか?」
「たぶん僕は元の世界ではプログラマか何かだったんだと思う。」
「では何故AIの名前をギスケだと言ったんですか? もしかして開発に携わっていたとか?」
「あれ?」
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