能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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五章 寒々ホワイト、第五層

98 鏡の前で屈みたい

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 45日目。変態紳士と化した僕はスノーモービルで第五層の入り口に移動中だ。後ろにスコヴィルを乗せている。転移の水晶を使わない理由? 乗り捨てて雪に埋まっていたスノーモービルを回収していたら、彼女が乗りたいと希望したからだ。

「凄い、元の世界でも乗ったことが無かったんです。まさかこの世界でスノーモービルに乗れるなんて思いもしませんでした。」
「僕も色々と思いもしないことが起こりっぱなしです。」

 村を出たときは夢にも思わなかった。綺麗な女の人を後ろに乗せて、蝶仮面を付けた状態でスノーモービルを運転するなんて。そんなことを考える人間がいたとしたら、確実に頭がおかしいヤツだ。

「この仮面、今付けてないとマズイですかね?」
「吹雪が止んでいます。リコッテさんがこの層にいる可能性がある以上、身につけておいた方がいいと思います。大丈夫、似合ってますから。」

 気休めなのか、本気でそう思っているのか。もし後者なら、彼女の趣味は斜め上だ。ちなみに現在天気は晴天だ。今までの猛吹雪が何だったかと言うぐらい天候が良い。これならボス部屋を探すのを優先すべきではと思ったんだけど、どうやらそれは不要らしい。すでにボス部屋の位置は剣聖ブレアから情報を得ていて大丈夫とのことだ。

 まあ、普通は事前調査とか情報収集とかするよね。僕は自分からそれをやったら、何か反則のような気がしてやらなかったのだ。コミュ障だから聞けなかったわけじゃ無いよ? 思い起こせば、ボス戦で僕がやっていることの方が反則・・・だよね、やっぱり。

「そういえばスコヴィルさんは、僕より後に終着の村・・・始発の町に着いたんですよね?」
「そうですね。私が第二層を抜けて村について、気持ち的に落ち着いたところで・・・。ちょっと身体の汚れが気になって、その時にアフタさんに会ったんです。」
「ということは第五層到達は僕を追い抜いた感じですね。」
「事前に情報収集していたので、すんなり進めました。」
「第三層と第四層のボスはどうやって倒したんですか?」
「第三層は私のユニークスキルで何とか倒せました。第四層は魔法の鏡を使って敵の攻撃を封じて何とかなりました。」

 やっぱりあったのか魔法の鏡! クソ、事前情報なんて卑怯なり。僕はタマタマ得た情報だけでやってきたのに・・・。

「スコヴィルさんのユニークスキルがなんなのか聞いていいですか?」
「私のユニークスキルは魔法の超強化です。私の魔法の属性が水と風なのでその二つに限定されますが、威力や効果を一時的に数十倍に引き上げることが出来ます。」
 チート臭いな・・・それ。

「それとサドンさんは恐らく、必要なタイミングでクリティカルを出す能力だと思います。」
 完全にチートだよそれ。

「ブレアさんは分かりません。存在そのものがユニークスキルみたいな人です。」
 存在がユニークスキルか。上手いこと言うな。

 それらがPCに与えられた能力だとすると、僕も・・・。いや、期待するのはやめよう。絶対に裏切られる自信がある。けれど、もし僕にそんな力が眠っていたら、リコッテに出会っても殺されなくてもすむかも知れない。

 そういえばサドンは第一層で会った時に、敵の首を狩りまくってたよなぁ。あれはそういうことなのか。無敵じゃん。みんなチートが酷すぎる。少しは僕に分けて欲しい。

「アフタさんのこれはユニークスキルでは無いんですよね?」
 スノーモービルについて言っているようだ。

「スノーモービルやアイボウだったら、仕組みさえ理解していれば第四層で調達可能ですよ。そういう知識のある人間限定ですけど。」
「第四層はフィールドを探索しないで進んでしまったので・・・。そんな重要な場所だったんですね。」

 やっぱり事前情報があれば、第四層は探索しないよね。僕は複雑な気持ちを抱きながら、スノーモービルを停止させる。第五層の入り口に戻ってきた。それと同時ぐらいに、突然空が曇り始める。

「そういえば昨日のアレは何をしていたんですか?」
 第四層への階段を登っている途中、スコヴィルが僕に聞いてきた。
「ウーナという猫型ロボットと白豹を合成合体させる準備です。今日中にはパワーアップして戻ってきますよ。」
 そう、僕はアイボウ同様ウーナに手をかけた。しかし以前ほど胸が痛まなかったのは、アイボウを贔屓しすぎているからか?

「アフタさんは凄いですね。誰にも出来ないことを簡単にやってしまうなんて。」

 感心されてしまったけれど、たまたま見つけたものを活用しているだけなんだよね。知らない人から見ると凄いことをしているように見えるらしい。知っている側からすれば、種明が割れているマジック並みにつまらないものなんだけど。

 そして第四層の出口からくるりと回って第三層へ向かう。知っていると馬鹿みたいに近い。ちなみに第三層の始発の町に設定していた転移水晶は第五層で場所変更したので使えない。

「そういえばスコヴィルさんは、第三層の墓場ゾーンはどうやって抜けたんですか?」
「風の魔法で移動速度を上げて、一気に走り抜けました。」
 なるほどそういう手か。無駄が無いなぁ。

「ここではスノーモービルは使えませんよね。良かったら魔法を使いますよ?」
 スコヴィルが言う。ちょっとその魔法に興味があるけれど、僕の移動速度が上がっても途中でヘマをやらかす危険性の方がデカい。
「いや、装甲車を出します。一人乗りなので狭いですが、二人は入れないことはありません。」
 そして僕は魔法の袋から装甲車を出した。

「・・・アフタさんって、この世界の常識を超越していますよね。」
 僕の出した装甲車を見て、唖然とした顔をしていた。いやだって、この世界の常識に従ったらデッドエンドしか待ってないんだもん。
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