能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

文字の大きさ
146 / 208
七章 遺跡と迷宮、第七層

146 雪崩に埋まっているのは、なあ誰だ?

しおりを挟む
 ゴゴゴゴゴゴォォォォ!!!!

 雪崩の第一波が私達の上を通り過ぎていく。目の前にあるのは動きを止めて固まった雪だ。雪に囲まれすでに真っ暗な状態となっている。そんな中、雪が見えるのはサルミアキがランプを取り出したからだ。

 私の使った闇魔法は運動エネルギーを奪うものだ。そして運動エネルギーを奪われた雪は、その場に膠着する。結果として後ろから来たさらなる雪にをせき止め、より密度を上げて固まっていく。もちろん後から来た雪の運動エネルギーも奪っていく。私はそれが安定するまで闇魔法を生み出すのに専念した。

 正面からの雪崩はうまく受け止めることができた。しかし問題があった。中盤から後ろがガラ空きだということだ。上を越えていった雪崩が一部後ろの方を埋めていく。雪崩は速度があるので、ある程度は後続へ流れていってくれるのだけれど、それでも空いている部分への侵入が深刻だった。

「うぉぉぉぉ!!! はぁぁぁ!!!!」

 問題点は・・・大丈夫だったようだ。カンゾウが気合いでなんとかした。いや、文字通り気合いだ。流れ込んでくる雪を気合いで弾き飛ばしなんとかしたのだ。

 私達は雪の中に孤立したような状態となった。見方によっては生き埋めと言っていいのかもしれないけれど、空間が確保されているので命の危険は無い。上の方ではまだ雪崩の音が響いている。

「どうやらやり過ごせたみたいね。」
 そろそろ闇魔法を止めても問題ないだろう。

「そのようですな。」
「雪の中は怖いっす。早く上に行くっす。」
「待ちなさい。雪崩が沈静化するまでもう少し待つべきですよ。」

 サルミアキがカッチェに言う。確かにもう少し待った方がいいかもしれない。

「ところでどうやって上まで戻るの? 光魔砲で一気にトンネルを掘る?」
「少しずつ雪を切り崩していきましょう。強力な魔法では崩れてしまう危険があります。」

 せっかく助かったのに戻る最中に埋まってしまうのは困る。穴掘りはカンゾウに任せよう。

「あ、雪の中、けっこう暖かいっす。」

 ようやく落ち着きを取り戻したカッチェが言った。私はアフタと一緒にかまくらを作ったことを思い出した。雪には保温効果があるから、外よりも暖かいんだと言っていた気がする。冷たい雪の保温効果っていったい何なんだろう?

 特に何もすることがないので食事と休息をとることにした。ここなら魔物に襲われることも無いだろう。変なところで足止めを受けたけれど、今までに比べれば十分に先に進めている。

「ところでカンゾウ、顔色がどんどん悪くなっているけど、本当に大丈夫なの?」
「問題ありません。気合いで雪を吹き飛ばせる程度に力が有り余っております。今ならサドンとも十分に殺(や)れそうな気がします。」

 確かに力は凄みを増している気がする。しかしあの胡散臭いおじさんから貰った刀が、何か悪影響を与えているんじゃないかという妙な予感がする。サルミアキはそれについては何も言わない。彼女が大丈夫だと判断したのなら、私が余計なことを言うべきではない・・・のだろう。

「そういえば前回のボス部屋の宝箱は転移水晶が複数入っていたのよね?」
「そうっす。現在は創世の街、第五層入り口に転移先を設定してあるっす。」
「もう一つを第五層のボス部屋前に設定しておけば、創世の街に帰還してもすぐに戻ってこられるわね。」

 これだけ寒いとアフタの作った浴場が恋しくなる。このまま第五層のボスを倒すにしても、その後はいったん街で休息をとりたいところだ。アフタは今、どこまで進んだのだろう? もしかして生き埋めになったりしていないだろうか? いや、街で聞いたアフタの話を考える限り、突拍子もない方法で先に進んでいる可能性がある。彼のやることは、すでに私が想像できる範疇にない。

「リコッテ様、第五層のボス戦からは我々も完全に参加します。敵の攻撃力も上がってきておりますゆえ。」
「分かったわ。確かに敵がだいぶ強くなってきているのは分かる。」

 今回戦う第五層のボスの名前はグラキエ。熱い氷を使うという魔物。そして魔法攻撃でしかダメージを与えることができないという。ならば私の力で光の塵と変えるのみだ。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-

いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、 見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。 そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。 泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。 やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。 臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。 ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。 彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。 けれど正人は誓う。 ――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。 ――ここは、家族の居場所だ。 癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、 命を守り、日々を紡ぎ、 “人と魔物が共に生きる未来”を探していく。 ◇ 🐉 癒やしと涙と、もふもふと。 ――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。 ――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます! ※AI学習禁止・無断転載禁止・無断翻訳禁止・無断朗読禁止

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

無能と追放された結界師、三十路のおっさんですが17歳の辺境伯令嬢と婚約して人生逆転します

みかん畑
ファンタジー
無能と蔑まれ、Aランクパーティを追放された結界師フィン。 行き場を失った彼を拾ったのは、辺境伯の娘リリカだった。 国土結界の恩恵が届かない辺境で、フィンの結界は本当の価値を発揮していく。 領地再建、政治の駆け引き、そして少女のまっすぐな想い。 これは無能と呼ばれた男が、辺境で居場所を見つけ、やがて年の差婚へと至る物語。

婚約破棄された元OL悪役令嬢、コンサル知識で潰れかけのギルドを王国一に再建します

黒崎隼人
ファンタジー
エルムガンド王国の第一王子から、卒業パーティーの最中に婚約破棄を宣告された公爵令嬢イザベラ。 断罪のショックで、彼女は自分が現代日本で経営コンサルタントとして働いていた前世の記憶を取り戻す。 ここは乙女ゲームの世界。このままでは爵位剥奪、領地没収の破滅ルートが待っている! 「冗談じゃない。そんな未来、絶対に受け入れてなるものか」 イザベラは破滅フラグを回避するため、父の道楽である赤字続きの冒険者ギルド「白銀の獅子」の運営を引き継ぐことを宣言。 前世で培った現状分析、プロジェクト管理、成果報酬制度などのビジネススキルを駆使し、潰れかけのギルドの改革に乗り出す。 クエストの可視化、新人教育、そしてエルフの賢者や獣人ギルドのマスターとの異種族間連携。 最初は彼女を馬鹿にしていた荒くれ者の冒険者たちも、その圧倒的な手腕とカリスマ性に惹かれ、いつしか彼女の頼もしい仲間となっていく。 やがて彼女のギルドは王都最大の組織へと成長し、彼女を陥れた敵の陰謀すらも打ち砕く! 恋愛よりも仕事! 最高の仲間たちと共に、すべての種族が笑って暮らせる未来を創り上げる、元悪役令嬢の痛快お仕事ファンタジー、開幕!

処理中です...