能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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七章 遺跡と迷宮、第七層

155 地理に詳しい塵となれ

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 私達は入り組んだ遺跡の迷宮を進んでいく。途中、天井落下や落とし穴、冒険者からはお約束と言われている大岩が転がってくる仕掛けなどがあった。私は正解の経路周辺にあるトラップの位置を一通り把握している。だから引っかかることは無い。

「リコっち、そこの床に罠っぽいスイッチがあるっすよ。」
「え?」

 私は足を止める。危ない、踏む直前だ。どういうこと? もしかしてリコリースの探索情報には抜けがある?

「カッチェ、罠の位置はどのぐらい把握できているの?」
「危ないのはほとんど分かるっす。ほら、そこにもあるっすよ。こういうのは得意っす。」

 なんだかんだで役に立つ男カッチェ。実は戦闘から探索まで、オールラウンドで役に立っている。考えてみるとカッチェに限らず、私のパーティーはものすごくバランスがとれている。前衛のカンゾウ、遊撃のカッチェ、防御のサルミアキ、そして火力は私だ。

「リコッテ様、方向はこちらで合っているのですか?」
「ええ、それは間違いないわ。構造が変化したりは基本的に無いはずだから。」

 私は途中に刻まれている遺跡の文字を読む。リコリースの情報通りの内容だ。現時点での問題は罠の情報が一部抜け落ちているぐらいだ。

「リコっち、そこの角に敵がいるっす。」
「準備が出来たら合図するから、その後に私の正面におびき寄せて。」

 私は光魔砲の準備に入る。遺跡は細長い通路と枝分かれする道で構成されており、対峙した場合は通路上ということになる。第七階層の敵は途轍もなく素早い。しかし向かってくる方向へ砲撃してしまえば、相手の速度など何の意味も無い。

「準備完了よ。」
「了解っす。」

 カッチェは紐のついた何かを投げた。もしかして骨? そしてそれは通路の角をカーブして飛んでいく。しばらくすると投げた紐をたぐり寄せ始めた。奥からカチャンカチャンと金属音が聞こえてくる。姿を現したのは真っ黒い鎧に身を包んだ魔物だった。見事にカッチェは敵を釣り上げたのだ。

 私達に気づいた黒い鎧の魔物は素早く距離を詰めてくる。カンゾウとの修練が無ければ反応することも難しい早さだ。あれでも一応はサルミアキの防御陣が敷いてあって、行動阻害が効いているはず。なのにあの速度だ。

「光の塵と消えよ!」

 私は光魔砲を放った。黒い鎧の魔物を通路ごと光魔砲が削り取っていく。敵は一瞬回避行動をとったように見えたが、どこにも逃げ道は無いことを悟ったようだ。盾を構え真っ正面から受け止めた。そして全てが光に包まれる。

 私の魔法は見事直撃した。そして敵は光の塵と消え・・・ていない。正面半分が消失したにもかかわらず、後半部分が何とか形を止めていたのだ。黒い鎧の中身は空っぽだった。そこへカンゾウが攻撃を仕掛ける。猛烈な速度で何度も切りつけ、しばらくするとようやく後半のパーツがはじけ飛んだ。完全にバラバラになったところで、ようやく蒸発するかのごとく魔物が消滅し核(コア)が残った。

「堅さが桁違いですな。」
「とうとう私の魔法でも一撃で倒せなくなったわね。」

 出来ればもう一つのリコリースの遺品が欲しい。それさえあれば私も魔法は究極にまで強化される。第七層どころか、もっと先の魔物ですらも一撃で葬ることが出来るはずだ。まあ、無いものは仕方が無い。今ある知識の中で魔法を強化する方法を考えよう。

「一応、三分の一ぐらいは進んだはずよ。」
「まだ先は長いっすね。」

 何度か戦闘を繰り返し、ようやく三分の一までやってきた。正解ルートを知っていてこれだけど、剣聖パーティーは事前情報無しでボス部屋までたどり着いている。さすがトップを張るだけのことはある。剣聖ブレア、この前に話したときの言動から考えて、彼女がプレイヤーであることはまず間違いないだろう。
 
 真実を知った今、次に会ったら私は彼女を殺さなければならない。
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