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八章 夢幻の空間、第八層
167 コケコッコーな孤高の戦士
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「フラクタルって何ですか?」
スコヴィルの質問だ。
「たとえば小さな三角形がいっぱい並んでいるとする。その並びを遠くから見たら、その小さな三角形が集まって大きな三角形を作っていましたっていう感じの模様のこと。」
「へ?へえ。」
スコヴィルの顔は分かっていない感じだった。別の例えが必要なのだろうか?
「卵焼きがいっぱい並んでいます。遠くから見たら、大きな卵焼きの形を作ってました。その卵焼きの形をもっと遠くから見たら、さらに大きな卵焼きでした。」
「ああ、なるほど!」
今度は本当に納得した感じだった。なんで卵焼きだと理解できるんだろう?
「とにかくさっき収集したデータをPCで処理して広域マップを作るから、しばらくは箱庭で休憩。」
「了解。じゃあ今回は僕が料理の腕前を披露しようじゃないか。」
「私も手伝います。」
こうして第八層はウーナ以外一歩も中に入らず休憩時間となった。もちろん僕は一人でお仕事だ。自室で収集データを元にフラクタルの式を割り出す作業だ。こういう処理はギスケライブラリがあれば一瞬で終わるのだけれど、残念ながらアレは手元には無い。あのライブラリの作者なら、PCなんか使わなくても見ただけで一瞬で式化しそうだ。
現時点で生成された冗長な式を、単純化していくスクリプトを組んだ。そして実際のデータと照合する。現在、再びウーナを第八層で走らせて、導き出した結果と誤差が無いかどうか確認させている。僕の作業はここまで、後はしばらく待ちだ。体を解すため伸びをしたとき、ふと人の気配に気づく。
「あ・・・ブレア?」
彼女はたぶん、作業中の僕をずっと見ていたらしい。
「アフタ覚えてる? あのSNSの件。」
「SNSって、いつの?」
「助けてくれたよね。」
SNS? 助けた? 僕は記憶を辿る。該当一件。ゲームの実況をしていた兄妹が誹謗中傷にさらされていたときの話だ。あの時、色々と手を回し、僕はそれをやっていた奴の本名を突き止めて警告を送った。「本名も学校もばれてるぞ」って。やったのはそのぐらいだ。その後、二人に「たぶんもう大丈夫」とメッセージを入れた。もしかしてその件か?!
「プロフィールは『コミュ障で引きこもり中、ネットゲーは基本ソロの孤高の戦士』」
あれ? そんなプロフィール登録したっけ? そこそこ昔に適当に作ったアカウントでメッセージを送ったから、全く記憶に無い。しかし見事に間違ってないプロフィールだ。
「まさかの偶然。あの時の妹さん?」
「ええ。ちなみに兄は今キッチンで料理を作ってるわ。」
「は? 確かサドンは妹を捜し回ってるって・・・。」
「だから兄から見つからないように、話し方や立ち振る舞いを変えて、アバターもアイテムで変更したの。」
僕の思考はショートしかかっている。意味が分からない。サドン、妹が見つかったぞ。でも妹は見つかりたくないって。
「事情、聞いてもいい?」
ブレアは頷いた。
彼女から聞いた話はこういうことらしい。サドンは元の世界でも女の子に声をかけまくる軟派男だったという。今もまあそんな感じだけど、昔はもっと酷かったらしい。しかも極度のシスコンで、ブレアの近くにいる男を見つけると、近づかないように脅しをかけるらしい。どんだけだよサドン。ブレアとしては兄がかなりウザい存在だったという。
こちらの世界で未帰還者となった後、途方に暮れはしたものの、兄から解放されてホッとしていたらしい。だったらこの世界で冒険者を極めようとダンジョン踏破を目指し、そして今に至るらしい。最初、僕に会ったときのあのセリフも、キャラ作りの一環だったらしい。なんか色々とイメージが壊れていく。
第三層で僕に再会したとき、あのプロフィールソックリで、しかも明らかにプレイヤーだったので、もしやと思って近づいてみたという。あー、何か疑問部分が繋がった気がするなあ。
でも、どうしようこれから? 孤高の戦士に人間関係を円満処理する力は無いよ?
スコヴィルの質問だ。
「たとえば小さな三角形がいっぱい並んでいるとする。その並びを遠くから見たら、その小さな三角形が集まって大きな三角形を作っていましたっていう感じの模様のこと。」
「へ?へえ。」
スコヴィルの顔は分かっていない感じだった。別の例えが必要なのだろうか?
「卵焼きがいっぱい並んでいます。遠くから見たら、大きな卵焼きの形を作ってました。その卵焼きの形をもっと遠くから見たら、さらに大きな卵焼きでした。」
「ああ、なるほど!」
今度は本当に納得した感じだった。なんで卵焼きだと理解できるんだろう?
「とにかくさっき収集したデータをPCで処理して広域マップを作るから、しばらくは箱庭で休憩。」
「了解。じゃあ今回は僕が料理の腕前を披露しようじゃないか。」
「私も手伝います。」
こうして第八層はウーナ以外一歩も中に入らず休憩時間となった。もちろん僕は一人でお仕事だ。自室で収集データを元にフラクタルの式を割り出す作業だ。こういう処理はギスケライブラリがあれば一瞬で終わるのだけれど、残念ながらアレは手元には無い。あのライブラリの作者なら、PCなんか使わなくても見ただけで一瞬で式化しそうだ。
現時点で生成された冗長な式を、単純化していくスクリプトを組んだ。そして実際のデータと照合する。現在、再びウーナを第八層で走らせて、導き出した結果と誤差が無いかどうか確認させている。僕の作業はここまで、後はしばらく待ちだ。体を解すため伸びをしたとき、ふと人の気配に気づく。
「あ・・・ブレア?」
彼女はたぶん、作業中の僕をずっと見ていたらしい。
「アフタ覚えてる? あのSNSの件。」
「SNSって、いつの?」
「助けてくれたよね。」
SNS? 助けた? 僕は記憶を辿る。該当一件。ゲームの実況をしていた兄妹が誹謗中傷にさらされていたときの話だ。あの時、色々と手を回し、僕はそれをやっていた奴の本名を突き止めて警告を送った。「本名も学校もばれてるぞ」って。やったのはそのぐらいだ。その後、二人に「たぶんもう大丈夫」とメッセージを入れた。もしかしてその件か?!
「プロフィールは『コミュ障で引きこもり中、ネットゲーは基本ソロの孤高の戦士』」
あれ? そんなプロフィール登録したっけ? そこそこ昔に適当に作ったアカウントでメッセージを送ったから、全く記憶に無い。しかし見事に間違ってないプロフィールだ。
「まさかの偶然。あの時の妹さん?」
「ええ。ちなみに兄は今キッチンで料理を作ってるわ。」
「は? 確かサドンは妹を捜し回ってるって・・・。」
「だから兄から見つからないように、話し方や立ち振る舞いを変えて、アバターもアイテムで変更したの。」
僕の思考はショートしかかっている。意味が分からない。サドン、妹が見つかったぞ。でも妹は見つかりたくないって。
「事情、聞いてもいい?」
ブレアは頷いた。
彼女から聞いた話はこういうことらしい。サドンは元の世界でも女の子に声をかけまくる軟派男だったという。今もまあそんな感じだけど、昔はもっと酷かったらしい。しかも極度のシスコンで、ブレアの近くにいる男を見つけると、近づかないように脅しをかけるらしい。どんだけだよサドン。ブレアとしては兄がかなりウザい存在だったという。
こちらの世界で未帰還者となった後、途方に暮れはしたものの、兄から解放されてホッとしていたらしい。だったらこの世界で冒険者を極めようとダンジョン踏破を目指し、そして今に至るらしい。最初、僕に会ったときのあのセリフも、キャラ作りの一環だったらしい。なんか色々とイメージが壊れていく。
第三層で僕に再会したとき、あのプロフィールソックリで、しかも明らかにプレイヤーだったので、もしやと思って近づいてみたという。あー、何か疑問部分が繋がった気がするなあ。
でも、どうしようこれから? 孤高の戦士に人間関係を円満処理する力は無いよ?
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