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九章 魔境の森だよ、第九層
177 奥にしまわれる記憶
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時計塔の周辺を見て回ったものの、結局、宿爺とは会えなかった。あれがダンジョン攻略にどういう役割を果たすのか、かなり気になるところだ。何かを受信するアンテナ、もしアレが僕の考えた通りの物だとすれば全てが解決するんじゃ無いか、そう期待してしまう。けれどそんなご都合主義的な展開があるとは考えにくい。
僕はいったん宿屋に戻ることにした。サドンとスコヴィルの様子を確認しておこう。まずスコヴィルの部屋をうかがう。
「あ、アフタさん。」
スコヴィルはいつもの状態に戻っていた。表情や仕草に不審な点が見られない。しかしそれ故に不気味だった。少し前のあの状態から、いきなり普通に戻っていたのだ。
「スコヴィル、えっと色々と大丈夫?」
「何がですか? 気がついたらいきなり宿屋に戻ってビックリはしましたけど・・・。私、何かあったんですか?」
「第八層のボス戦・・・。」
「ボス戦? あの・・・思い出せません。もしかして私、やられちゃったりしたんですか?」
「いや、大丈夫。覚えてない・・・なら・・・まあ・・・良かった。」
どうやらスコヴィルはあまりのショックで記憶が飛んだらしい。不幸中の幸いだ。とりあえずスコヴィルにはしばらく休むように言って、今度はサドンの様子を見に行った。
「サド・・・。」
部屋に入ると僕はいきなりサドンに両肩を掴まれた。
「アフタ、僕は考えたんだが由美・・・じゃなかった、ブレアは君に託す。」
「は?」
「今まで僕は妹を縛りすぎたのかも知れない。ならば一番信用できる男に任せようと思う。」
「いやいやいや、ちょっと待って。」
いっそサドンも記憶がぶっ飛んでくれたら良かったのに、別の方向へぶっ飛びだした。
「今はそれどころじゃないし、それにブレアの様子がおかしかったのはギデアの容態をずっと心配していたからだよ。」
「リコッテのことを気にしているのかい?」
何故その話の流れでリコッテのことが? もう少し人の話に耳を傾けて欲しい。
「リコッテが許嫁だという話は本人から聞いて知っている。しかし兄としての贔屓目を差し引いても僕はブレアを推す。現実の俺の妹は超美人だ!」
「いや、だから・・・。」
僕の両肩はサドンにガッチリと掴まれたままだ。体力勝負では全く勝ち目が無い。こんなところでピンチを迎えるとは・・・。
「サドン何をやってるの?」
「由、ブレア、いたのかい? ちょうど良い、僕はアフタとブレアが上手くいくように話をしていたところさ。」
「余計なことをしないで!」
僕のピンチに颯爽と登場するブレア。これがヒロインフラグというやつだろうか?
「アフタは自分の部屋へ戻っていて。」
「ああ、うん、そうするよ。」
僕はブレアの助け船に乗った。サドンを睨み付けるブレア、蛇に睨まれた蛙のように縮こまるサドン、そんな光景が目に入った。僕は部屋から出てそっと扉を閉めた。中からブレアの畳みかけるような説教が聞こえる。僕は両手を合わせサドンのご冥福を祈った。
とにかくスコヴィルとサドンは正気に戻った。いや、サドンに関しては駄目かも知れない。とにかく僕は今後の為に、今できる手を打っておきたい。
部屋に戻った僕は大詰めの準備を進めた。最後の最後は、おそらく僕が何とかしなければ勝てない戦いとなる。博打要素が強く、そして相手に気づかれたらそれで終わりだ。だけど残された手段はこれしかない。全ては僕がこの世界に来たときに既に計画されていたことなのだから。
僕はいったん宿屋に戻ることにした。サドンとスコヴィルの様子を確認しておこう。まずスコヴィルの部屋をうかがう。
「あ、アフタさん。」
スコヴィルはいつもの状態に戻っていた。表情や仕草に不審な点が見られない。しかしそれ故に不気味だった。少し前のあの状態から、いきなり普通に戻っていたのだ。
「スコヴィル、えっと色々と大丈夫?」
「何がですか? 気がついたらいきなり宿屋に戻ってビックリはしましたけど・・・。私、何かあったんですか?」
「第八層のボス戦・・・。」
「ボス戦? あの・・・思い出せません。もしかして私、やられちゃったりしたんですか?」
「いや、大丈夫。覚えてない・・・なら・・・まあ・・・良かった。」
どうやらスコヴィルはあまりのショックで記憶が飛んだらしい。不幸中の幸いだ。とりあえずスコヴィルにはしばらく休むように言って、今度はサドンの様子を見に行った。
「サド・・・。」
部屋に入ると僕はいきなりサドンに両肩を掴まれた。
「アフタ、僕は考えたんだが由美・・・じゃなかった、ブレアは君に託す。」
「は?」
「今まで僕は妹を縛りすぎたのかも知れない。ならば一番信用できる男に任せようと思う。」
「いやいやいや、ちょっと待って。」
いっそサドンも記憶がぶっ飛んでくれたら良かったのに、別の方向へぶっ飛びだした。
「今はそれどころじゃないし、それにブレアの様子がおかしかったのはギデアの容態をずっと心配していたからだよ。」
「リコッテのことを気にしているのかい?」
何故その話の流れでリコッテのことが? もう少し人の話に耳を傾けて欲しい。
「リコッテが許嫁だという話は本人から聞いて知っている。しかし兄としての贔屓目を差し引いても僕はブレアを推す。現実の俺の妹は超美人だ!」
「いや、だから・・・。」
僕の両肩はサドンにガッチリと掴まれたままだ。体力勝負では全く勝ち目が無い。こんなところでピンチを迎えるとは・・・。
「サドン何をやってるの?」
「由、ブレア、いたのかい? ちょうど良い、僕はアフタとブレアが上手くいくように話をしていたところさ。」
「余計なことをしないで!」
僕のピンチに颯爽と登場するブレア。これがヒロインフラグというやつだろうか?
「アフタは自分の部屋へ戻っていて。」
「ああ、うん、そうするよ。」
僕はブレアの助け船に乗った。サドンを睨み付けるブレア、蛇に睨まれた蛙のように縮こまるサドン、そんな光景が目に入った。僕は部屋から出てそっと扉を閉めた。中からブレアの畳みかけるような説教が聞こえる。僕は両手を合わせサドンのご冥福を祈った。
とにかくスコヴィルとサドンは正気に戻った。いや、サドンに関しては駄目かも知れない。とにかく僕は今後の為に、今できる手を打っておきたい。
部屋に戻った僕は大詰めの準備を進めた。最後の最後は、おそらく僕が何とかしなければ勝てない戦いとなる。博打要素が強く、そして相手に気づかれたらそれで終わりだ。だけど残された手段はこれしかない。全ては僕がこの世界に来たときに既に計画されていたことなのだから。
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