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本編 魔神の誕生と滅びの帝都
15 応答のある嘔吐感
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現在、俺はエルシアの実験に協力している。
魔晶石と呼ばれる魔力を多く含んだ石がある。
それを砕いて粉末にしたものを握り混む。
そして手からぱらぱらと落としながら、俺はあの紋様を描く。
部屋に微妙な風が起こる。
水でも魔晶石でも、同じように何かしらの作用があるようだ。
「スイートルームの時ほど、変化が起こらないんだがこんなもんか?」
俺はエルシアに聞いた。
「スイートルーム?
もしかして地下牢のことを言ってるの?
イリンにもう少しきちんと言葉を教わった方がいいわよ。」
エルシアは俺が単語を勘違いしているものだと思っている。
それこそ勘違いだ。
「あそこでやった時は、もっと反応が大きかったんだがな。」
「ああ、たぶん地下牢に濃い魔力があったせいね。
魔力は薄暗い地下とかに溜まりやすいのよ。
だから人里離れた洞窟なんかでただの石が魔晶石化するの。
さすがに地下牢で魔晶石を作るのは無理だけど。」
「なるほど、ここは魔力が薄いのか。」
「そうね。
ある程度の魔術師になると、そういう魔力を感じ取れるようになるわ。
私はいずれ宮廷魔術師になると言われている逸材だから、そういうのはお手の物よ。」
自分で逸材と言い切るエルシア。
回りから煙たがられていそうな気がするな。
「それにしても凄いわね。
回りの魔力を無条件に吸収している。
さすがに私からは抜き取られたりはしていないけど、この部屋にある魔力を吸い上げているようね。
無機物限定なのかしら?」
俺の力を観察し、感想を述べるエルシア。
「検算したいからあの模様の式を教えてくれ。
元の形が微妙におかしいから、ちょっと改変して作ってるんだ。」
俺は式についてエルシアに聞いた。
「式?
なんのこと?」
首をかしげるエルシア。
何をすっとぼけてるんだ?
「フラクタル構造を書いてるんだから、式に基づいて描いたんだろ?
だからその式を教えて欲しいんだ。
それとも教えちゃマズイ部類のものなのか?」
「言っている意味が分からないわ。
あれは実験を繰り返して、試行錯誤しながらようやくああいう性質を持たせたのよ。」
「もしかして、手当たり次第とか?」
「さすがに手当たり次第じゃ無いわよ。
過去の実験データから、どうすれば目的の種類の力を得られるのかは分かってるの。
それを組み合わせて作るのよ。」
なにその無駄に地道な努力?
「うえぇぇ。」
俺は気持ち悪くなった。
俺は効率化可能なことを手作業で地道にやるのが大っ嫌いだ。
スクリプトを組めば一瞬で終わるようなことを、無駄に時間をかけてチマチマやっているような奴を見ると気持ち悪くなるんだ。
向こうの世界で、「なんでお前等はそんなに無駄な作業が好きなんだ?」と、何度思ったことか。
「何、その反応?」
エルシアは、とんでもない無駄に気が付いていないらしい。
「その実験データは俺が見ても構わないのか?」
「当然部外者には見せられないわよ。」
エルシアはそう答えた。
まあ、当然と言えば当然だ。
「そうか、残念だ。」
まあ、無理なものは諦めよう。
いつかこっそり見ちゃうかもしれないけどな。
「何言ってるの?
あなたは部外者じゃないでしょ。」
俺は意表を突かれた。
そしてエルシアは俺を資料室に連れて行く。
俺は実験データに目を通す。
さすがに専門用語が並んでいるだけあって、いきなり理解するのは不可能だった。
こういうのはあの人の方が得意だよな。
俺は向こうの世界の年の離れた兄のような存在を思い出した。
「この部屋の資料は自由に閲覧して構わないわ。
私は別の仕事があるから行くけど、後で意見を聞かせてね。」
いや、ちょ・・・。
「いや、さすがにいきなりこれは無理だぞ。」
「イリンを呼んでおくわ。」
そう言ってエルシアは部屋を出て行った。
さすがに10歳の女の子にこの内容を聞くのは無理だろう。
その時、俺はそう思った。
魔晶石と呼ばれる魔力を多く含んだ石がある。
それを砕いて粉末にしたものを握り混む。
そして手からぱらぱらと落としながら、俺はあの紋様を描く。
部屋に微妙な風が起こる。
水でも魔晶石でも、同じように何かしらの作用があるようだ。
「スイートルームの時ほど、変化が起こらないんだがこんなもんか?」
俺はエルシアに聞いた。
「スイートルーム?
もしかして地下牢のことを言ってるの?
イリンにもう少しきちんと言葉を教わった方がいいわよ。」
エルシアは俺が単語を勘違いしているものだと思っている。
それこそ勘違いだ。
「あそこでやった時は、もっと反応が大きかったんだがな。」
「ああ、たぶん地下牢に濃い魔力があったせいね。
魔力は薄暗い地下とかに溜まりやすいのよ。
だから人里離れた洞窟なんかでただの石が魔晶石化するの。
さすがに地下牢で魔晶石を作るのは無理だけど。」
「なるほど、ここは魔力が薄いのか。」
「そうね。
ある程度の魔術師になると、そういう魔力を感じ取れるようになるわ。
私はいずれ宮廷魔術師になると言われている逸材だから、そういうのはお手の物よ。」
自分で逸材と言い切るエルシア。
回りから煙たがられていそうな気がするな。
「それにしても凄いわね。
回りの魔力を無条件に吸収している。
さすがに私からは抜き取られたりはしていないけど、この部屋にある魔力を吸い上げているようね。
無機物限定なのかしら?」
俺の力を観察し、感想を述べるエルシア。
「検算したいからあの模様の式を教えてくれ。
元の形が微妙におかしいから、ちょっと改変して作ってるんだ。」
俺は式についてエルシアに聞いた。
「式?
なんのこと?」
首をかしげるエルシア。
何をすっとぼけてるんだ?
「フラクタル構造を書いてるんだから、式に基づいて描いたんだろ?
だからその式を教えて欲しいんだ。
それとも教えちゃマズイ部類のものなのか?」
「言っている意味が分からないわ。
あれは実験を繰り返して、試行錯誤しながらようやくああいう性質を持たせたのよ。」
「もしかして、手当たり次第とか?」
「さすがに手当たり次第じゃ無いわよ。
過去の実験データから、どうすれば目的の種類の力を得られるのかは分かってるの。
それを組み合わせて作るのよ。」
なにその無駄に地道な努力?
「うえぇぇ。」
俺は気持ち悪くなった。
俺は効率化可能なことを手作業で地道にやるのが大っ嫌いだ。
スクリプトを組めば一瞬で終わるようなことを、無駄に時間をかけてチマチマやっているような奴を見ると気持ち悪くなるんだ。
向こうの世界で、「なんでお前等はそんなに無駄な作業が好きなんだ?」と、何度思ったことか。
「何、その反応?」
エルシアは、とんでもない無駄に気が付いていないらしい。
「その実験データは俺が見ても構わないのか?」
「当然部外者には見せられないわよ。」
エルシアはそう答えた。
まあ、当然と言えば当然だ。
「そうか、残念だ。」
まあ、無理なものは諦めよう。
いつかこっそり見ちゃうかもしれないけどな。
「何言ってるの?
あなたは部外者じゃないでしょ。」
俺は意表を突かれた。
そしてエルシアは俺を資料室に連れて行く。
俺は実験データに目を通す。
さすがに専門用語が並んでいるだけあって、いきなり理解するのは不可能だった。
こういうのはあの人の方が得意だよな。
俺は向こうの世界の年の離れた兄のような存在を思い出した。
「この部屋の資料は自由に閲覧して構わないわ。
私は別の仕事があるから行くけど、後で意見を聞かせてね。」
いや、ちょ・・・。
「いや、さすがにいきなりこれは無理だぞ。」
「イリンを呼んでおくわ。」
そう言ってエルシアは部屋を出て行った。
さすがに10歳の女の子にこの内容を聞くのは無理だろう。
その時、俺はそう思った。
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