28 / 52
本編 魔神の誕生と滅びの帝都
28 頑固な眼光
しおりを挟む
ここは騎士達が訓練に使う闘技場だ。
観客席も設置されている。
屋根は無く、日か傾き初め夕日が差し込んでいる。
俺の目の前には宮廷魔術師サイアグが立っている。
「おぬしがギスケか。
エルシアからある程度の話は聞いておる。
せっかく時間をとったのだ、楽しみにしておるぞ。」
老獪そうな人物だ。
顔はシワクチャだが眼光は鋭い。
こんな目力(めぢから)の強い人物に会ったのは初めてだ。
その他に、ゴキディンを初めとする魔術師達も見学に訪れている。
ゴキディンは俺に侮蔑の表情を浮かべ、何か言いたそうにしている。
俺に敵意を向けているのは分かるのだが、不思議なことに愉快そうな顔をしているのだ。
この後に俺が必ず失敗するのを確信するかのごとく。
そもそも俺がここにいるのは、エルシアが研究成果を発表すると言って人を集めたからだ。
エルシアは俺の名前を大々的に宣伝した。
ギスケとしてだけどな。
事前に予告していたこともあって、俺がここにいることは魔術師達と、ここ場の管理者たる騎士団の面々には知れ渡っている。
とはいえ魔族にその情報が渡るかどうかは疑問が残るところではある。
訓練場は広く、襲撃があったとしても戦いやすい。
さらにエスフェリアが根回しもあって、魔術師と騎士という戦闘力の高い人材が集まっているのだ。
しかし一つ大きな問題があった。
「なんでエスフェリアがここにいる!」
俺は近づいてきたエスフェリアに小声で話しかけた。
「凄い実験が見られると聞いてやってまいりました。
楽しみにしていますよ。」
エスフェリアは周りに聞こえる声でそう言った後、小声で続ける。
「あなたの行動範囲内に私がいたパターンで、私が怪我をしたことは一度もありません。
逆に離れた場所にいた方が、攪乱のための襲撃対象になったりするので危険が増すのです。
つまりここにいるのが一番安全なのです。」
そういってエスフェリアは、用意された席へと進んでいく。
どれだけ俺は信用されてるんだ?
自分なのに自分では無い人間の信用を引き継いでいるというのは、色々と複雑な気分だ。
今までエスフェリアから聞いたパターンを総合すると、恐らくこの後に俺に対する襲撃が行われる。
この場所ならば、俺に狙いを付けるのは簡単だ。
魔法による強力な範囲魔法による一斉砲撃、そして混乱が起こったところで離脱するという辺りか。
エルシアによると、魔族がここに侵入するためには内通者が必要だという。
そんなガバガバ勝手に入れるような場所では無いのだ。
そして宮殿内に入って感知されないというのは、相当強力な隠蔽技術を使っていることになる。
さて、始めよう。
ショータイムだ。
「お集まりいただいた皆さんに、今日は楽しいショーをご覧に入れましょう。
まずは魔力ゼロの探知魔法をご覧あれ。」
俺はそう言うと魔晶石の粉を振りまいた。
テレキネシスで魔術回路を構築する。
ちなみにこっちの世界では、編むという言い方をするらしい。
「探知魔法?
な、魔晶石が・・・。」
魔術師の一人が驚きの声をあげる。
騎士達はポカーンとしている感じだが、魔術師達はざわつき始めた。
「馬鹿な、魔晶石の粉が勝手に魔術回路を形成するだと。
あり得ない!」
「どうなってるんだ?
全く聞いていないぞ。
エルシアは何の研究をしていたんだ?」
魔術師達の声がどんどん大きくなっていく。
「以上で第一幕は終了です。」
俺はそう言った。
「え?」
一同が呆気にとられた顔をする。
「では幕間の余興をお楽しみください。
敵数10、A3,A8、B1、B12、D8、E4、E13、E14、F4、H4!」
それを聞いたエルシアは、観覧席の影になっている場所に鋭利な円錐状の氷魔法を撃ち込む。
誰もいないはずの場所が血に染まった。
そして人影が逃げるように移動を始める。
さらに一部の騎士達が動き出す。
エスフェリアが根回しをしていた者達だ。
俺が指示した場所に殺到していく。
事情を知らない魔術師と、その他の騎士達が困惑の表情を浮かべている。
宮廷魔術師サイアグは、強面の顔で黙って俺の方を凝視していた。
アンタ、絶対子供に泣かれるだろう?
「さて、第二幕開始だ!」
俺は攻撃魔法の構築を始めた。
観客席も設置されている。
屋根は無く、日か傾き初め夕日が差し込んでいる。
俺の目の前には宮廷魔術師サイアグが立っている。
「おぬしがギスケか。
エルシアからある程度の話は聞いておる。
せっかく時間をとったのだ、楽しみにしておるぞ。」
老獪そうな人物だ。
顔はシワクチャだが眼光は鋭い。
こんな目力(めぢから)の強い人物に会ったのは初めてだ。
その他に、ゴキディンを初めとする魔術師達も見学に訪れている。
ゴキディンは俺に侮蔑の表情を浮かべ、何か言いたそうにしている。
俺に敵意を向けているのは分かるのだが、不思議なことに愉快そうな顔をしているのだ。
この後に俺が必ず失敗するのを確信するかのごとく。
そもそも俺がここにいるのは、エルシアが研究成果を発表すると言って人を集めたからだ。
エルシアは俺の名前を大々的に宣伝した。
ギスケとしてだけどな。
事前に予告していたこともあって、俺がここにいることは魔術師達と、ここ場の管理者たる騎士団の面々には知れ渡っている。
とはいえ魔族にその情報が渡るかどうかは疑問が残るところではある。
訓練場は広く、襲撃があったとしても戦いやすい。
さらにエスフェリアが根回しもあって、魔術師と騎士という戦闘力の高い人材が集まっているのだ。
しかし一つ大きな問題があった。
「なんでエスフェリアがここにいる!」
俺は近づいてきたエスフェリアに小声で話しかけた。
「凄い実験が見られると聞いてやってまいりました。
楽しみにしていますよ。」
エスフェリアは周りに聞こえる声でそう言った後、小声で続ける。
「あなたの行動範囲内に私がいたパターンで、私が怪我をしたことは一度もありません。
逆に離れた場所にいた方が、攪乱のための襲撃対象になったりするので危険が増すのです。
つまりここにいるのが一番安全なのです。」
そういってエスフェリアは、用意された席へと進んでいく。
どれだけ俺は信用されてるんだ?
自分なのに自分では無い人間の信用を引き継いでいるというのは、色々と複雑な気分だ。
今までエスフェリアから聞いたパターンを総合すると、恐らくこの後に俺に対する襲撃が行われる。
この場所ならば、俺に狙いを付けるのは簡単だ。
魔法による強力な範囲魔法による一斉砲撃、そして混乱が起こったところで離脱するという辺りか。
エルシアによると、魔族がここに侵入するためには内通者が必要だという。
そんなガバガバ勝手に入れるような場所では無いのだ。
そして宮殿内に入って感知されないというのは、相当強力な隠蔽技術を使っていることになる。
さて、始めよう。
ショータイムだ。
「お集まりいただいた皆さんに、今日は楽しいショーをご覧に入れましょう。
まずは魔力ゼロの探知魔法をご覧あれ。」
俺はそう言うと魔晶石の粉を振りまいた。
テレキネシスで魔術回路を構築する。
ちなみにこっちの世界では、編むという言い方をするらしい。
「探知魔法?
な、魔晶石が・・・。」
魔術師の一人が驚きの声をあげる。
騎士達はポカーンとしている感じだが、魔術師達はざわつき始めた。
「馬鹿な、魔晶石の粉が勝手に魔術回路を形成するだと。
あり得ない!」
「どうなってるんだ?
全く聞いていないぞ。
エルシアは何の研究をしていたんだ?」
魔術師達の声がどんどん大きくなっていく。
「以上で第一幕は終了です。」
俺はそう言った。
「え?」
一同が呆気にとられた顔をする。
「では幕間の余興をお楽しみください。
敵数10、A3,A8、B1、B12、D8、E4、E13、E14、F4、H4!」
それを聞いたエルシアは、観覧席の影になっている場所に鋭利な円錐状の氷魔法を撃ち込む。
誰もいないはずの場所が血に染まった。
そして人影が逃げるように移動を始める。
さらに一部の騎士達が動き出す。
エスフェリアが根回しをしていた者達だ。
俺が指示した場所に殺到していく。
事情を知らない魔術師と、その他の騎士達が困惑の表情を浮かべている。
宮廷魔術師サイアグは、強面の顔で黙って俺の方を凝視していた。
アンタ、絶対子供に泣かれるだろう?
「さて、第二幕開始だ!」
俺は攻撃魔法の構築を始めた。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる