異界の国に召喚されたら、いきなり魔王に攻め滅ぼされた

ふぉ

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本編 魔神の誕生と滅びの帝都

29 氷に懲り懲りしている人達

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 俺は氷の刃を作り出す魔術回路を構成した。
 敵の位置は直線上だと障害物に接触するため、カーブを描く必要がある。
 俺は軌道計算を行い、魔術回路に追加する。
 そして周囲から集めた魔力を使い、魔法を発動した。

 飛んでいく氷の刃。
 エルシアの魔法同様、誰もいないはずの場所を血で染めた。
 しかしうめき声一つ上がらない。
 襲撃者は相当な訓練を積んでいるのだろう。
 当たり所が良かったのか、俺が命中させた襲撃者は倒れて行動不能になっている。


「あれは魔法なのか?」
「客席に誰かいたのか?」
「演出だろ?」
「そもそも魔法の発動行程がおかしい、何なんだあれは?」

 混乱する魔術師達。
 対して根回し済みの騎士達が六人、すばやく観客席に乱入し戦いを始めた。
 位置的に考えて相対する襲撃者は三名。
 さらにエルシアの魔法による追撃が行われている。

「魔族の侵入者だ、全員撃退しろ!」

 誰かが叫んだ。
 おそらく根回し済みの人物だろう。

 そこへ強力な閃光が観客席を削る。
 宮廷魔術師サイアグの一撃だ。
 襲撃者一名は体に穴を空けられ瞬殺された。

 そして状況を悟った残りの騎士達が、エスフェリアの護衛に回ったり、観客席に突入したりしている。
 魔術師達も魔法の準備に入った。
 金属の打ち合う音や魔法によると思われる衝撃音が響く。
 俺は再度探知魔法を構成する。

 俺とサイアグの魔法で二名が戦闘不能。
 騎士達に囲まれた上に、エルシアの魔法攻撃の的になっている三名もかなり追い込まれている。
 その他、フリーに動いているのは残りは五人。
 どうやら作戦の失敗を悟り、退却しようとしているらしい。

「敵数残り5、全員D1出口に向けて移動中だ。」

 俺は索敵の結果を伝える。
 そして俺は光魔法の魔術回路を構成していく。
 さっきサイアグの使った魔法なら、障害物ごと吹き飛ばせそうだ。
 強力な攻撃魔法は、研究室の中では実験できなかった。
 ぶっつけ本番だ。
 俺はさらに魔力増幅の回路を組み込み、そして光魔法を発動する。

 強力な閃光が目の前に広がっていく。
 ドジった。
 俺は魔法の光をまともに見てしまったのだ。
 目が役に立たなくなる。

 何かの衝撃波と巨大なものが落下したような音が響いてきた。
 さらに周囲で叫び声が聞こえる。

 なんとか視力が戻った時、出口付近の様子がさっき見た時と別の物になっていた。
 出口の床がえぐり取られ、扉だった場所が倒壊していた。
 そして巻き込まれたと思われる襲撃者達の体が削り取られていた。
 何とか生きていた者も、騎士達に止めを刺される。
 生け捕りにして情報を聞き出すとかしないのか?

 念のためもう一度探知魔法を発動・・・しない。
 どうやら周囲の魔力を吸収しきってしまったようだ。
 光魔法はかなり燃費が悪い魔法のようだ。

 周囲を確認すると、10人全員片付いた様子だ。
 まあ、これだけ戦力が集まっているのだから当然だろう。
 こんな状況を作ったにもかかわらず、襲撃を決行しようとした魔族達の真意はいったい何なのだろう?

「ご苦労様です、ギスケ。」

 護衛の騎士達に守られながら、エスフェリアが俺に近づいてきた。

「もったいないお化けが出そうなお言葉を頂戴したぜ。」

 返しとしては、こういう言い方で良かったんだっけ?

 エスフェリアの周りにいる騎士達は、襲撃者を撃退した後も剣を構えている。
 仕事熱心なことだ。
 しかしその剣の先が俺に向けられているのは何故なんだろうな?

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