異世界転生したら悪役令嬢じゃなくイケメン達に囲まれちゃいましたっ!!

杏仁豆腐

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お父様が席に着くと咳ばらいを一つした後に話し出した。

「アレックス、元気であったか?」
「はい。父君様もお元気そうで何よりです」
「うむ。それはそうと今日呼び立てたのは他でもない。其方とわが娘エリーヌとの許嫁の事についてだが、其方はそれでよいのか?」

何、何ぃぃぃぃぃ!!
許嫁ってどういう事っ!?

私は記憶を辿った。
確か子供の時アレックスと遊んでいた時転んで脚に怪我をしていたことを思い出した。
お互いがぶつかってアレックスが私に怪我をさせたと親たちが大騒ぎをしていた。
そんな時に小さかったアレックスが急に叫び出した。

『僕が責任を持ちます』
『アレックス…、責任とはどういう事だ』
『僕が大人になったらエリーヌと結婚しますっ!』






「ひゃぁぁぁぁああっ!!」

昔の事を思い出した私は思わず叫んでしまった。
その奇声にビックリしたお父様とアレックスが何事かというような視線を私に向けている。
いきなり転生してイケメンのアレックスと結婚だなんてっ!!


「どうしたのだ、エリーヌ」
「あ、な、何でも…御座いません」
「私はあの時の事は忘れておりません。責任を感じております」


アレックス、何を言ってるの!? 
ちょ、ちょっと待ってよ。
私の意志は!? 
私の思いはどうなるのよ。
いきなり過ぎですよ、この展開ぃ~!!


「直ぐにではない。今でもその気持ちが変わらないのかということを今日確認したかったのだ。アレックス、正直言って其方には我が娘との婚約は望んでいるのではないのであろう? 聞くところによると―――」


お父様はそう言いながらアレックスに対する求婚話が始まった。
アレックスはそれを訊きながら小さく頷いていた。
私は黙ったまま一部始終その会話を耳にすることにした。
今の状況は全く予測していなかったこと。
転生していきなり許嫁だの婚約者候補だの……冗談でしょ!?
私は絶対直ぐに結論なんて出さないんだからっ。
ハーレム生活を送りたいのっ、わ・た・し・は。


「正直、私の父上が色々なところで私のことを話しているのは確かで御座います。しかし私はエリーヌとの約束を破棄することは御座いません。この気持ちに嘘偽りはないのです」
「しかしな……エリーヌはどう思っておるのだ?」


私に振ってきたぁ~。
どう答えたらいいのよ。
選択肢フラグ……選択肢フラグは……!?
待てど待てど選択肢は現れることはない。
それはそうだろう、だってこれ現実に目の前で起こっていることなんだから。
やはりここは……私が自ら決めなければならなかったのだ。
この場面は乙女ゲームでやった記憶がある。

たしか……。
あれ、これじゃなかったかしら……??
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