恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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出会い

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「また、始まりましたね……」
「何、あれ?」

一緒に着替えをしていた女子高生の真紀ちゃんに話しかけられた私は、この騒ぎの事について何か知っているらしい彼女に訊ねた。

「知らないんですか? あの騒ぎ……オーナーさんの息子さんの事で揉めてるんです」
「……そうなんだ。何で揉めてるの? 凄い剣幕だったけど…」
「息子さんのお見合いですよ……結婚してほしいみたいです……ご夫婦」
「へぇ~、そうなんだ。今時お見合いって……」

真紀ちゃんが言うには、息子が結婚しないことに不安を抱えていたオーナーたちが息子のためにお見合いを持ち出してそれを息子が拒否し続けることで揉めているという事だった。
息子さんは何でもネット広告の会社を立ち上げた若社長らしい。

でも……。
そんな事で揉めるなんて……私なんか自分も親も既に結婚なんて諦めてるのに……。
人生結婚がすべてじゃないっての……。
1人でも楽しく生きていけるもんっ。


心の中でそう呟きながらロッカーの扉を閉め、真紀ちゃんに挨拶すると女子更衣室を後にした。



するといきなり目の前が真っ暗になったかと思うと、どん、という衝撃でしりもちをついてしまった。

「いたたたたぁぁ……んも、何!?」
「あ……すみません。大丈夫ですか?」

床に打ち付けられたお尻の痛さと誰かにぶつかったことでイライラしていた私は顔を上げた。
するとそこに立っていたのはビシッとビジネススーツを着ている青年だった。
髪の毛は黒色で短髪、黒地で白のストライプの入ったスーツ、足元は茶色のプレーントゥを履いていた。


目は二重できりっとした感じの所謂好青年という顔立ち。
モテそうな男の人だなと思ってしまった。



「あの……大丈夫…ですか?」
「あ、はい、すみません」

私は慌てて立ち上がってお辞儀をした。

「あぁ、僕も慌てていたので……すみません」

そう言って頭を下げてきた。

「いえ、本当にすみませんでした。では……」



私はもう一度頭を下げて裏口へ向かおうとした。
すると後ろからオーナーの怒鳴り声が……。
私は足を止めゆっくりと振り向くとさっきの続きの話をしていた。



「涼太、一遍この人に会ってみろ」
「嫌だ。俺はその気がないんだから、あってもしょうがないだろう」
「涼太…先方さんになんていえばいいの?」
「そんなの母さんが勝手に決めるから悪いだろう」
「そんなこと言うな。母さんは心配してこうして話を持ってきたんだろうが」
「俺は頼んでない……もう仕事があるから行くよ」
「あ、こら、逃げるな、涼太っ!」
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