恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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同棲生活

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彼に連れてこられたパスタ店は繁華街にある大きなビルの最上階にあるお店だった。
私の人生初めて来た場所。
驚きを隠せない私に彼は微笑みながら案内してくれた。

「こういう場所は初めてですか?」
「そうですけど、何か?」
「ははは、良かったです。ここに茜さんを連れて来て」
「どういう意味ですか……」
「いや、単純に嬉しいというか、何ででしょうね、僕にも分かりません」

何を言ってんのよ、この人は。
私の事揶揄ってんじゃん…金持ちだからって上から目線ってのが気に入らないのよねぇ。

彼が店員を呼び注文を始めた。
私は彼のおすすめで良いと伝えると私の分も店員に注文する。
暫くすると料理がテーブルに並んだ。
美味しそうなホワイトクリームの洒落たパスタが私の目の前に現れた。

「茜さんのは蟹のホワイトクリーム和えパスタです。結構美味しいですよ」
「有難う御座います。初めて見ました。こんなパスタ」
「そうですか。良かった。是非食べてください」
「はい……」

彼は本当に無邪気に笑ながら自分の前に置かれたパスタにフォークを入れた。
私もフォークを手に取りパスタを食べ始めた。

「美味しい……」
「でしょ? ここのパスタは格別なんです。大切な日にここに来るんですよ」
「大切な日……?」
「ああ、ご褒美みたいな感じです」
「そんなところへ私を連れて来て良かったのですか?」
「問題ありません。これも大切な日ですから」

どういう意味!?
まるで恋人のデートが大切だ、とでも言いたい訳?
全く意味が分からない、イケメンの考えることは……。

お店で食事を終えビルを出ると車で暫くドライブがしたいと彼が言い出し私は無言で助手席に座り窓の景色を眺めた。
車の中にはFMラジオから洋楽が流れていた。
パスタ店を出てからずっと無言のまま車を運転する彼。
無言の空気に耐えられなくなった私はかねてより聞きたかったことを彼に訊ねた。

「あのぉ、一つ聞いてもいいですか?」
「はい。何でしょうか」
「どうして女の人が苦手になったのです?」
「ああ……まぁ、普通ですけど。茜さんには話した方がいいですよね」

彼はそう言って女性恐怖症の事を語り出した。
彼の話はこうだ。
彼が高校生の時に好きだった女性が居て思い切って告白したらあっさりフラれてしまったらしい。
それから女性の事が苦手になったという。

なによ、それ……。
そんくらいで女性恐怖症とか……何考えんてんのよ…イケメンだからってさぁ~。
私なんて男性に告白したことも無いのに。
私の方がかなり重症じゃん。

この年でもう彼氏作る気がなくなった私よりずっと童貞の方が彼女作ろうと思えば出来る筈じゃんよぉ。
何だか私、惨めになってきちゃったわ……。
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