恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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同棲生活

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「ただ今戻りました……なんかいい匂いが……」



あ、あいつ帰って来たっ!
よしよし、私の本気を見せてやろう……ふふふ。



「お帰りなさい。今日は夕食を作ってみました」
「そう、なんですか……珍しいです、ね」
「ささ、着替えてきてください。今日は腕によりを掛けて作りましたから」
「そうなんですか」



彼は首を傾げながら自室へ向かって歩いて行った。
ふふふ、今に見ておれよ。
ビックリさせてあげるんだからっ!!



自室から出てきた彼はハンバーグやサラダなどが並べらえているテーブルを見て椅子に腰かけた。
私の料理を疑っている視線だ……驚くところが早く見たいぜっ!
私も向かいの席に座ると笑顔で彼に言った。



「さぁ、どうぞ。食べてください」
「…頂きます」
「召し上がれ~」



フォークを手にしてハンバーグを一口大に切り取ると口に運んだ。
私はその姿をじーっと眺めて彼の反応を見つめた。



「……! 美味しいです。どうしたのですか、これ。スーパーで買ってきたやつですか?」
「はぁ? そんなわけないでしょ。私が作ったんですっ」
「ええっ! これを……茜さんが……?」
「ええ、勿論です。美味しいでしょ。私だってやれば出来るんです」



えっへん、胸を張り両手を腰に当てながら勝ち誇った私の姿を彼はまじまじと見つめた。
どうだ、童貞め……私の本気にびっくりしただろう……はっはっはー。



「恐れ入りました。僕、ハンバーグ大好物なんです。御袋の作るハンバーグが美味しくないので半ばあきらめていたんですが……これは本当に美味しいです」
「そうでしょう、そうでしょう。私は実は料理得意なんですよ。はっはっは。何だったら毎日作ってもいいですよ」
「え……? それ、本当ですか!?」
「ええ! 本当です」
「有難う御座います! 是非お願いしたいです。お礼は何でもしますから」
「お礼って……別に大した事してないですし。それに私は無職の身。涼太さんの稼ぎで食べさせて貰ってますし。家事代行っていう関係でしたら私も気が楽です」
「家事代行……それは寂しいですね」


何で寂しいの?
別に好きでもない女と暮らしているんだろう?
いまさら何言ってんの……この人。


私は心の中でそう呟きながら彼が美味しそうに私の作った料理を食べる様を見ながら勝利の美酒を愉しんだ。
ただ、彼がさっき言っていた、寂しい、と言う言葉がなんだか心の隅っこに引っかかってもどかしい気持ちでいたのも又事実だった。



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