恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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初めての彼氏・彼女

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「あの……茜さん……? どうですか? 痛くはないですか?」
「あ、は、はい。ぴったり……です。でもどうやって……」
「あ、ああっと……それはです、ね……え~っと……」


ん? 歯切れ悪くない?
何か隠してるのかしら?
さっさと言わないと……それとも私が吐かせてあげましょうか?


「何ですか? どうしたの、涼太さん」
「あ、あーっと……実、はですね……茜さんと同じくらいの指の人に、ちょっと訊いたんです。あ、彼女はうちの会社の社員です。何も疚しいことはしていません、決して……」


ふぅ~ん……そんな人が会社に居たんだ……まぁ、それくらいで私が嫉妬する訳じゃないけど。
でも本当にぴったりでビビっちゃったよぉ……ちょっとだけ焦っちゃったわぁ~。
嬉しいのは嬉しいのだけれど私は彼に貰ってばっかりで私は何も彼にあげていない。
何かあげる物、あったかしら……。


「あの、茜さん!」
「あ、はいっ。涼太さん」
「これから僕とデート、しませんか?」
「え……? 今から、ですか?」
「はい。ダメ、ですか?」
「ダメってことでは。因みにどこへ行くつもりです、か?」
「あ、そうですねぇ……映画とか、どうでしょう?」


今思いついたな……ま、デートの定番ではあるんだけどねっ。
因みに私は映画館に行くなんて数年ぶりの事なんですけど。
更にぶっちゃけるといっつも1人で映画館だったんですけど。
寂しい女の末路よ、本当に寂しかったなぁ……。
でも、今は彼氏が目の前に居る。
べ、別に行ってあげても、いんだから、ねっ!


普段の私にはあり得ないツンデレ・ヤンデレキャラを心の中で演じながら口元が自然と緩んでしまう。
それを彼に見せられない為いつも俯いてバレないようにしている私ってやっぱり変態だと思ってしまった。

「映画、ですか。別に構いませんよ」
「そうですか! では早速準備してきますっ」
「ん……準備……?」

そう彼が言うとさっさと自室へと消えてしまった。
私は自分の服装を見てこれはダメだ、この服装でデートとかあり得ないと思い自室へ戻った。
彼が前に買ってくれた洋服を着よう。


ちょっとは喜んでくれるかしら。
ふふふ、なんだか楽しくなってきちゃった。
わ~! 
なんか『彼氏』が出来るとこんなにも世の中の見え方や感じ方が変わるんだねっ。
恋って……ふ・し・ぎ……って、きゃっ!

ルンルン気分で彼が買ってくれたチェック柄のスカートとそれに合わせて白の上着を合わせてポージングをする私。
更に普段お化粧もろくにしない私だったのだがデートだからと久々にフルメイクをした。
フルっといっても普通のお化粧程度…なのだけれど。


普段の私はファンデーションを軽く顔に塗り込む程度でほぼすっぴん。
彼と同棲するようになってからは化粧水を使うようになったくらい。
でも今日は以前会社勤めの時にしていたお化粧で完璧な私に変身。
彼、驚くかなぁ……えへへっ!!




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