恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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ホントの婚約者!?

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家に着いたのは夜中の11時過ぎだった。
流石に彼は寝ていると思って玄関の扉を静かに開けてみると明かりが…。

「まだ起きてるの?」

私は扉を閉めて鍵を掛けるとリビングへ向かった。
するとソファで彼が横になって寝ているではないかっ。


「ずっと待っててくれたの……?」


カバンを床に置いて彼の寝顔を覗き込んだ。
可愛い……すーすー寝息たていた。
なんかも、すっごく可愛い……萌えるわぁ~。
ぞくぞくしちゃう……って変態か、私……。


「部屋で寝ればいいのに……風邪引いちゃうぞぉ~」


私は床に膝をついて彼の頬にそっと手を添え暖かな頬を擦りながら彼の顔をじっと見つめていた。


「……うっ……ん~……あ、茜…さ…ん…?」
「あ、ごめんなさい。起こしちゃいました?」
「あ、ああ、すみません……寝ちゃいました」
「ベッドで寝ないと風邪引きますよ?」
「ああ、そうですね。でも、待ってるって言ったんで」
「そんな約束なんて守らなくていいのに……」
「そんなわけには。お帰りなさい。茜さん」
「あ、ただ今です。涼太さん」


何だか恋人みたいな雰囲気になっているんじゃない、これって!?
彼に着替えると言い残し、私が立ち上がってカバンを持って部屋に向かった。
暗い部屋に電気を付けて洋服から部屋着に着替えた。
部屋着……私の部屋着はTシャツにハーフパンツ姿。
全く色気も無い姿だ……。


部屋を出てリビングへ向かると彼がソファに座って私の事を待っていた。


「茜さん。こっちに来てもらえませんか?」
「はい……」


彼にそう言われてソファに座った。
すると彼が私の手を握って真剣な眼差しで私を見つめてきた。
何、何、何か言いたげな雰囲気じゃない?
何か私って、したっけ??
あ、そうだ……プロポーズの返事、してないや……どうしよう。


「茜さん」
「はい」
「僕、色々考えたんです。将来の事とか、仕事の事、これからの事」
「はい」
「それで、この数か月間茜さんと暮らしてみて思ったんです。やっぱり茜さんが僕のパートナーになって貰えないかって」


やっぱり、その話なんだ。
うーん、どうしたらいいんだろう。
別に彼の事が好きじゃないわけじゃないんだけど。
結婚……かぁ……ホントに私なんかでいいのかな……。


「あの。一つ伺いたいです」
「何でしょう」
「涼太さんは女性恐怖症…なのですよね? 私は女です。当たり前ですけど。それで私のどこがいいんでしょうか。付き合ってまだ日が浅いというか、私の事をどこまで知っているのかとか。気になってしまって……」
「……なるほど。確かにまだ全てを知っている訳じゃないです。僕も実は自分自身驚いてるんです。今まで親父達に散々見合い話を持ち掛けられて。何度かお相手の方に合いました。デートもしました。けど、ダメでした。僕自身、結婚を考えていなかったこともあると思います。けど……」
「けど……?」
「けど、茜さんは今まで出会った女性とはまるで違う存在でした。決して僕に媚びを売っていた訳でもないですし、それに茜さんはなんというか……何処か僕に似ている気がして」

それ、どういう意味?
私が処女だからって童貞と一緒にされるってなんかちょっと複雑。
何処が似てるって言うのかしら。
私と貴方じゃ全然似ていないと思ってるんだけれど。


「似てるって……?」
「分かりません。うまく言葉に出来ないですが。何となく……としか」
「そう、ですか。私は涼太さんと似ていると思ったことはないですけど」
「ははは、そうですか。僕のフィーリングです。すみません」
「いえ。謝らなくて大丈夫です」
「茜さん。僕とは結婚、出来ませんか?」
「私なんかでいいんですか?」
「はい」
「私、実は今日友人とそのことで相談に行ってきたんです」


私は幸恵と話したことを彼に伝えた。
私自身彼氏が居た経験が無いのに結婚なんて考えられない事や、彼が少し頼りないと思ったこと。
全部話をした。


彼は私の話を黙って聞いてくれた。
偶に頷きながら、私の話を聞いたうえでゆっくりと口を開いた。
何て言うんだろう……少し怖い……嫌われたかな……でも仕方ないじゃない。
本当の気持ちなんだもん。
彼が何を言おうが全て受け入れよう。
そうしてどうなっても仕方がない事だ。
私、結婚できないかもしれないな……はは……。


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