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結婚式
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福岡から戻って数日後私と彼は一緒に役所に婚姻届を出した。
婚姻届には証人が2人必要だったらしく私の母と彼の父の署名を貰った。
何分初めての事なので二人ともよく分かっていないという……。
でもこれで私と彼は正式に夫婦になった。
あとは結婚式のみ。
「今日が結婚記念日ってことになるんですよね」
「そうですね。改めて宜しくお願いします。茜さん」
「はい。こちらこそです。涼太さん」
2人で手を繋ぎながらそんな話をした。
父の容体は母から毎日のように連絡が来る。
日に日によくなっていっているようで近いうちに普通病棟に移ると言っていた。
父は私たちの結婚に凄く喜んでいるようだと母が嬉しそうに言っていたことを彼にも伝えると彼も喜んでいた。
「そうだ。茜さん。今日この後どこかに食事でもどうでしょう。まだ昼ご飯も食べてないんですし」
「そうですね。あ、でもお仕事に戻らなくてもよろしいのでしょうか?」
「ああ、今日はもう仕事はしません。部下にそう言ってありますよ。折角ですし楽しみませんか?」
「有難う御座います……ん? 今日って木曜日ですよね?」
「はい。そうです。どうしたんです? 何かあるんですか?」
ああっ!
しまったぁ~!
今日新刊の予約がぁぁぁ!
あの作家さんめっちゃ人気があるから直ぐ売り切れちゃうんだよぉ~。
どうしよう……予約したい……でも……彼に何て言えば……。
「茜さん?」
「はっ……ああっと……ちょっと一度家に戻りたいかも……です」
「何かあるんですか? 僕は構いませんけど」
「あはは……ちょっと用事が……あはは」
不思議そうな表情の彼。
そらそうだよね。
いきなり帰りたいだなんて。
折角のお誘いだったのにぃ~。
でもでもでも、予約したいので…申し訳ないっ! 涼太さんっ!!
腐女子の私を許してぇ~。
心の中でそう叫ぶが当然彼には伝わらない……。
マンションに戻り自分の部屋に一目散。
パソコンの電源を入れてすぐさまBLサイトへ直行っ。
「もぉ~! 早くしてよぉ~っ」
サイトの表示される時間の遅さに苛立ちを感じながら待つこと数秒後お目当ての作家さんのページに進みお目当ての本を予約した。
届くのは明後日、支払いは当然現金着払いっ!
偶に配達ラベルに『ホモ物』と書かれていることがあるのはあるある。
恥ずいんだよねぇ~、あの表示。
配達員さんなんて思われてるのかなって気になっちゃうけど、気にしないっ!
私はレッキとした『腐女子』よっ!
「おしっ。これでオッケーだわ。全く……疲れたぁ~」
パソコンの画面を閉じて部屋を出るとソファに身体を預けて天井を見つめている彼の姿が目に入った。
何しているんだろう。
私がマンションに帰るって言っちゃったから雰囲気ぶち壊しちゃったかな。
そうだとしたらちょっと罪悪感。
「涼太さん。お待たせしました」
「あ、茜さん。もう用事は済んだんですね。それじゃ出掛けますか」
「お昼は私が何か作ります。涼太さん疲れてるんじゃないですか? 休んでください」
「あ、そうですか。ちょっと体が重たいんです。実は僕もマンションに戻りたいなって思ってたんですよね。だからちょっと助かりました」
「そうだったんですね。なら丁度良かったのかな…」
「茜さん。ちょっとこちらに来てくれませんか?」
そう言って彼が私を手招きしていた。
何だろう、私はそう思いながら彼の座るソファに行くと彼の目の前に立つ私にいきなり彼が抱きついてきた。
私のお腹当たりに丁度彼の顔がぁぁあっ!!
「ど、どうしたんです?」
「ちょっとこのまま……」
「……っ」
なんだ、なんなんだ!?
甘えてるの……?
わぁ~……凄く慣れない事してるから私も恥ずかしくなっちゃうっ!
いつも私より背の高い彼の後頭部が良く見える。
ちょっと……頭撫でるくらいならいいよ……ね?
彼の頭の上にそっと手を置いて優しく撫でると彼が更に力を入れて私のお腹に顔を埋めてきた。
少しくすぐったいけどなんだか嬉しさがこみ上げてくる。
私なんかにこんな甘えてくる男性なんて今まで1人もいなかったなぁ~。
私何だか今過ごす幸せ。
「涼太さん。大好きです」
「……僕もです……」
「涼太さん」
「茜さん」
あま~~いっ!!
すっごく今幸せ~~~っ!!
婚姻届には証人が2人必要だったらしく私の母と彼の父の署名を貰った。
何分初めての事なので二人ともよく分かっていないという……。
でもこれで私と彼は正式に夫婦になった。
あとは結婚式のみ。
「今日が結婚記念日ってことになるんですよね」
「そうですね。改めて宜しくお願いします。茜さん」
「はい。こちらこそです。涼太さん」
2人で手を繋ぎながらそんな話をした。
父の容体は母から毎日のように連絡が来る。
日に日によくなっていっているようで近いうちに普通病棟に移ると言っていた。
父は私たちの結婚に凄く喜んでいるようだと母が嬉しそうに言っていたことを彼にも伝えると彼も喜んでいた。
「そうだ。茜さん。今日この後どこかに食事でもどうでしょう。まだ昼ご飯も食べてないんですし」
「そうですね。あ、でもお仕事に戻らなくてもよろしいのでしょうか?」
「ああ、今日はもう仕事はしません。部下にそう言ってありますよ。折角ですし楽しみませんか?」
「有難う御座います……ん? 今日って木曜日ですよね?」
「はい。そうです。どうしたんです? 何かあるんですか?」
ああっ!
しまったぁ~!
今日新刊の予約がぁぁぁ!
あの作家さんめっちゃ人気があるから直ぐ売り切れちゃうんだよぉ~。
どうしよう……予約したい……でも……彼に何て言えば……。
「茜さん?」
「はっ……ああっと……ちょっと一度家に戻りたいかも……です」
「何かあるんですか? 僕は構いませんけど」
「あはは……ちょっと用事が……あはは」
不思議そうな表情の彼。
そらそうだよね。
いきなり帰りたいだなんて。
折角のお誘いだったのにぃ~。
でもでもでも、予約したいので…申し訳ないっ! 涼太さんっ!!
腐女子の私を許してぇ~。
心の中でそう叫ぶが当然彼には伝わらない……。
マンションに戻り自分の部屋に一目散。
パソコンの電源を入れてすぐさまBLサイトへ直行っ。
「もぉ~! 早くしてよぉ~っ」
サイトの表示される時間の遅さに苛立ちを感じながら待つこと数秒後お目当ての作家さんのページに進みお目当ての本を予約した。
届くのは明後日、支払いは当然現金着払いっ!
偶に配達ラベルに『ホモ物』と書かれていることがあるのはあるある。
恥ずいんだよねぇ~、あの表示。
配達員さんなんて思われてるのかなって気になっちゃうけど、気にしないっ!
私はレッキとした『腐女子』よっ!
「おしっ。これでオッケーだわ。全く……疲れたぁ~」
パソコンの画面を閉じて部屋を出るとソファに身体を預けて天井を見つめている彼の姿が目に入った。
何しているんだろう。
私がマンションに帰るって言っちゃったから雰囲気ぶち壊しちゃったかな。
そうだとしたらちょっと罪悪感。
「涼太さん。お待たせしました」
「あ、茜さん。もう用事は済んだんですね。それじゃ出掛けますか」
「お昼は私が何か作ります。涼太さん疲れてるんじゃないですか? 休んでください」
「あ、そうですか。ちょっと体が重たいんです。実は僕もマンションに戻りたいなって思ってたんですよね。だからちょっと助かりました」
「そうだったんですね。なら丁度良かったのかな…」
「茜さん。ちょっとこちらに来てくれませんか?」
そう言って彼が私を手招きしていた。
何だろう、私はそう思いながら彼の座るソファに行くと彼の目の前に立つ私にいきなり彼が抱きついてきた。
私のお腹当たりに丁度彼の顔がぁぁあっ!!
「ど、どうしたんです?」
「ちょっとこのまま……」
「……っ」
なんだ、なんなんだ!?
甘えてるの……?
わぁ~……凄く慣れない事してるから私も恥ずかしくなっちゃうっ!
いつも私より背の高い彼の後頭部が良く見える。
ちょっと……頭撫でるくらいならいいよ……ね?
彼の頭の上にそっと手を置いて優しく撫でると彼が更に力を入れて私のお腹に顔を埋めてきた。
少しくすぐったいけどなんだか嬉しさがこみ上げてくる。
私なんかにこんな甘えてくる男性なんて今まで1人もいなかったなぁ~。
私何だか今過ごす幸せ。
「涼太さん。大好きです」
「……僕もです……」
「涼太さん」
「茜さん」
あま~~いっ!!
すっごく今幸せ~~~っ!!
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