恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

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新たな門出

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「素敵な洋服ですね。どうしたんですか?」


デートで待ち合わせをして彼に会って開口一番に出た言葉がこれだった。
え? え? 
これくれたのって彼じゃないの? 


「お昼過ぎに宅配便で私の名前で届いたんですけど…」
「え……? 茜さんが買ったのですか?」
「いえ、違います。私はてっきり涼太さんだと……」
「え……?」


2人でお互いの顔を見合わせてしまった。
誰だ、これくれた人って。
そんな疑問が頭の中で浮かんでいたが取り合えずレストランへ向かおうということになった。
彼も今日は車ではなく歩きで一杯お酒を飲みたい気分だと言って笑いながら向かう。

私もその笑顔を見ながら彼の横を歩く。
指に輝く結婚指輪をお互い左薬指にはめ手を繋ぎながら。
ただ歩いてるだけなのにどうしてこんなに高揚感があるんだろう。
とっても気分が良いのはなんでだろう。
そう思いながら。



あっという間に彼が予約したというレストランの前に到着。
とっても高そうな店構え。
入り口には正装をした男性が立って私たちを出迎えてくれた。
男性に案内され席に着くと店員がオーダーを取りに来る。
私は黙ったまま彼がオーダーする姿を見つめていた。
カッコいい。仕草も何もかもカッコいいのだ。


「茜さん。今日はお化粧もばっちりですね」


オーダーを終えすぐさま赤ワインをグラスに注がれ乾杯して一口口に含んだ後彼がそう言った。
やっぱり普段お化粧をしてない事がバレバレだったか……。


「はい。今日はデートだから……。いつも薄化粧ばかりですみません」
「いえ、それはそれで魅力的です。僕化粧の濃い女性は苦手なので」」


そう言ってもう一杯ワインを飲んだ後彼が恥ずかしそうに苦笑いした。
こういう表情も凄くかっこいいのだ。
私の旦那様はどの男性の中でも一番カッコいいのだ、ふふふ。
心の中でそう言いながら私も一口ワインを口に含んだ。


お料理はその後一皿一皿出てくるスタイル。
高級感ある店内で食べるお料理は本当にどれも美味しいと思ってしまう。
雰囲気だけでも満足しているのにその上お料理まで美味しいと心が豊かになった気分だ。


ゆっくり時間をかけてようやくデザートが登場。
あっさりとした柚シャーベットを口に含むと脂っこい口の中がスーッと爽やかに早変わり。
冷たい口当たりも凄く良い。漸くすべての職を終えて少しだけ談笑した後そのお店を出た。

「この後どうします?」

彼がそう言って私に訊ねた。
私はどうすると訊かれても特に浮かばず顎に手を当てながら暫く黙っていると彼が私の手を取って笑顔で話しかけてきた。


「では僕が行きたいところへ行きましょう」
「え……? 行きたいところ?」
「はい。一度行ってみたいと思っていたところです。いいですか」


それは構わないけどどこ行く気なのかな。
彼は何も言わず私の手を優しく握りながら夜の街へと向かって歩き出した。


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