庶民OLの私にはやっぱり公爵家の悪役令嬢には不向きなようです

杏仁豆腐

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第1章

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「私ももう18。そろそろお見合いのお話もあるとはいえ今回の婚儀、政略結婚と言うのがどうも引っかかりますの。私はどうせなら恋愛なるものをしてみたくなったのですわ。もし貴方様が私を恋に落として見せて貰えることが出来ましたらこの婚儀、進めてもいいと思っておりますのよ」


よし、なんとか意地悪なアレーレを出せたのかしら。
そもそも政略結婚とかどうでもいいと思っている私。
今まで恋愛経験なんて無いし、目の前にいるこのイケメン男子に恋愛して貰えるならそれはそれで嬉しい。
ちょっと焦らして相手の出方を見るのも楽しい物だともう一人の邪悪な私が心の中で囁いている。


「恋愛……それはどういうことでしょう、アレーレ様」


は…? 
恋愛を知らない…の? 
この世界って恋愛とか存在しないの、もしかして。
私は傍に居たマロンを呼び耳元で話をした。


「マロン。この世界って恋愛って言う概念は存在しないのかしら?」
「マロンにはその『恋愛』なるものを存したことはございません。恐らく皆そうだと思われます」


なぬぅ~! 
マジかぁ~……愛とか恋とかそういう甘酸っぱい事象がこの世界には存在しないって言うの。
うう……困ったわね、どうしようかしら。
私は目を瞑り暫く黙っていると目の前のイケメン男子が口を開いた。


「アレーレ様の言われる『恋愛』たるものを僕は知らないのが恥ずかしいです。出来れば僕にその『恋愛』を教えてくださいませんか?」 


それは突然の申し出だった。
この世界に存在しない恋愛を教えてくれと頼まれてしまったのだ。
そもそも私だって恋愛経験が無いのだ。
人様に教えるだけの知識なんて全くこれっぽっちもない。


そう言えば私の書斎にあったBLらしき本も確かに恋愛とは程遠い内容だった気が……。
私ってここでは悪役令嬢っと事になってる筈よね? 
いきなり優しく『教えて差し上げますわ』とか言ったら変じゃない? 
ここは意地悪に突き返すのが鉄則ではなかろうか。


「ご免被りますわ。なぜ私が貴方様にそんなことをお教えしなければならないのでしょう。マロン、私気分を害しました。アンドレ―様を玄関へお連れしなさい。アンドレ―様私はこれにて失礼いたしますわ」


私はそう言ってソファから立ち上がるといそいそと自分の部屋に戻って行った。
イケメン男子が何やら私に話しかけているようだったがガン無視を押し通してやった。
全く…とんだ茶番だわ。
そう思いながら廊下を歩いていると突然目の前にオロバスが姿を見せた。


「アレーレ嬢。あれはちとやり過ぎでは? あれじゃ坊ちゃんも可哀そうですよ」
「ふんっ。レディーに対して失礼なことを言うからよ。全く…失礼しちゃうわ。それより何故現れたの?オロバス」


普段は滅多に人前に姿を見せないと言っていたオロバスが姿を見せることに少し不思議に思った私は彼にそう訊ねた。
すると彼が突然真面目な顔つきに変わり跪いて私に話をし始めた。




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