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第7章
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「それでしたら、私の所で働く気はない? 今使用人を募集しているの。あまり大きなお屋敷ではないけれど、どうかしら?」
「ええっ! 私なんて…平民の身、貴族様の御屋敷でご奉公出来る身分ではありません」
「そのような事、誰が決めたのかしら。私は貴方達を蔑んだりはしませんよ。それにエルフ族とか、人間族とか、魔族となどと区切りをつけること自体がナンセンスですわ。お父様からは私が言って了解を取り付けます。後は貴女次第。どうかしら?」
「私は……本当に有り難いお言葉です。一度家族と相談してからお返事しても構いませんか?」
「ええ、またここで会いましょう。私は数日間此処に滞在しておりますから。いつでもいらして」
「有難う御座います」
何だか凄くいい人じゃん、アレーレって……。
私はそう思った瞬間また時が進み再びアレーレとマロンが同じ場所で話をしている場面が見えた。
このときのマロン、凄く嬉しそうな表情をしている、私はそう思った。
「家族と話し合いをして是非ご奉公させて頂きたいです」
「そう、私は明日ここを発ちますが、一緒に行きますか?」
「はい。直ぐに荷物を纏めます」
「ところで、どれくらいの人数で来られますの?」
「え~っと……10名です。皆私の家族と親戚の者です」
「分かりましたわ。では明日私の御屋敷に参りましょう」
「はいっ! 有難う御座います」
マロンはそう言って嬉しそうに会釈をするとアレーレの元を立ち去って行った。
そこで暗闇になりエクアが現れた。
「これが全てです」
「いい人じゃない、アレーレって」
「そうですわね。決して悪人ではないようです」
「じゃぁ、何でエルフ族を奴隷のように扱っているなどとあの姫様がいっていたの!?」
「それは……お国の事情ってやつでしょうか。どの国も貧しい民は存在します。人間族、魔族、エルフ族、ですが天族は皆平等という理がありますから貧しいという人はいません。恐らく……これは私の考えですが、エルフ族も元は同じ皆平等だったのではないかと。しかし、貧しい者の存在が明るみに出ると政治上厄介だという判断で、貴女に白羽の矢が当たったのでしょうねぇ~」
でしょうねぇ~、じゃないわっ。
これじゃ私は濡れ衣を着せられただけじゃない。
通りで私を断罪すると言っておきながらただ国外追放しただけの事はあるわ。
皆事情を理解している上で私に罪のない罪を与えたというわけね。
でも、王子やアンドレ―達は何でここにきているのかしら。
「それは、貴女が拘っていた『愛』と言う存在が彼らを突き動かしていると思います」
「愛……あの人たちが、私に愛を…?」
「それしか説明が付きません。断罪された貴女を追ってここまで来たのです。それしか理由がないでしょう」
「でも、サターニャ王はどう説明が?」
「それは……私にはそこまでは分かりません。国王が何を考えているか、分かれば苦労はしないでしょうね」
まるで他人事のように……他人事か。
私は目を開けて天井を見つめた。
エクアは姿を消してベッドに上には私一人寝ころんでした。
すると扉の向こうからノックする音がした。
「失礼します。アレーレ様。お夕食のお時間で御座います。お呼びいたしました」
もうそんな時間?
私は起き上がり窓の外を見ると既に真っ暗だった。
エクアに頼んで過去を見せて貰ってから数時間も眠りについていたってことよね。
時間感覚がなくなってきちゃった。
私はベッドから立ち上がり皺になったドレスの裾を正すとイリスの所へ向かった。
「分かりました。お夕食は私だけですか?」
「いえ、皆様ご一緒されるそうです」
「そうですか……では、参りましょうか」
「はい…」
私は乱れた髪を櫛で梳かし、部屋を後にした。
アレーレの記憶が分かった上で、これから始まろうとしている私争奪戦が幕を開けるのであった。
「ええっ! 私なんて…平民の身、貴族様の御屋敷でご奉公出来る身分ではありません」
「そのような事、誰が決めたのかしら。私は貴方達を蔑んだりはしませんよ。それにエルフ族とか、人間族とか、魔族となどと区切りをつけること自体がナンセンスですわ。お父様からは私が言って了解を取り付けます。後は貴女次第。どうかしら?」
「私は……本当に有り難いお言葉です。一度家族と相談してからお返事しても構いませんか?」
「ええ、またここで会いましょう。私は数日間此処に滞在しておりますから。いつでもいらして」
「有難う御座います」
何だか凄くいい人じゃん、アレーレって……。
私はそう思った瞬間また時が進み再びアレーレとマロンが同じ場所で話をしている場面が見えた。
このときのマロン、凄く嬉しそうな表情をしている、私はそう思った。
「家族と話し合いをして是非ご奉公させて頂きたいです」
「そう、私は明日ここを発ちますが、一緒に行きますか?」
「はい。直ぐに荷物を纏めます」
「ところで、どれくらいの人数で来られますの?」
「え~っと……10名です。皆私の家族と親戚の者です」
「分かりましたわ。では明日私の御屋敷に参りましょう」
「はいっ! 有難う御座います」
マロンはそう言って嬉しそうに会釈をするとアレーレの元を立ち去って行った。
そこで暗闇になりエクアが現れた。
「これが全てです」
「いい人じゃない、アレーレって」
「そうですわね。決して悪人ではないようです」
「じゃぁ、何でエルフ族を奴隷のように扱っているなどとあの姫様がいっていたの!?」
「それは……お国の事情ってやつでしょうか。どの国も貧しい民は存在します。人間族、魔族、エルフ族、ですが天族は皆平等という理がありますから貧しいという人はいません。恐らく……これは私の考えですが、エルフ族も元は同じ皆平等だったのではないかと。しかし、貧しい者の存在が明るみに出ると政治上厄介だという判断で、貴女に白羽の矢が当たったのでしょうねぇ~」
でしょうねぇ~、じゃないわっ。
これじゃ私は濡れ衣を着せられただけじゃない。
通りで私を断罪すると言っておきながらただ国外追放しただけの事はあるわ。
皆事情を理解している上で私に罪のない罪を与えたというわけね。
でも、王子やアンドレ―達は何でここにきているのかしら。
「それは、貴女が拘っていた『愛』と言う存在が彼らを突き動かしていると思います」
「愛……あの人たちが、私に愛を…?」
「それしか説明が付きません。断罪された貴女を追ってここまで来たのです。それしか理由がないでしょう」
「でも、サターニャ王はどう説明が?」
「それは……私にはそこまでは分かりません。国王が何を考えているか、分かれば苦労はしないでしょうね」
まるで他人事のように……他人事か。
私は目を開けて天井を見つめた。
エクアは姿を消してベッドに上には私一人寝ころんでした。
すると扉の向こうからノックする音がした。
「失礼します。アレーレ様。お夕食のお時間で御座います。お呼びいたしました」
もうそんな時間?
私は起き上がり窓の外を見ると既に真っ暗だった。
エクアに頼んで過去を見せて貰ってから数時間も眠りについていたってことよね。
時間感覚がなくなってきちゃった。
私はベッドから立ち上がり皺になったドレスの裾を正すとイリスの所へ向かった。
「分かりました。お夕食は私だけですか?」
「いえ、皆様ご一緒されるそうです」
「そうですか……では、参りましょうか」
「はい…」
私は乱れた髪を櫛で梳かし、部屋を後にした。
アレーレの記憶が分かった上で、これから始まろうとしている私争奪戦が幕を開けるのであった。
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