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王太子はそう言って息を切らした。
それを訊いていた国王は呆れた顔をして王妃を見つめた。
王妃は自分の息子がダメ人間だと分かると深いため息をついた。
それを見ていた王太子はどうしてそういう態度をとるのか理解出来なかった。
そして王妃が話し出した。


「貴方は何を見ているのです。メリーザがそのような事をする筈がないでしょう。あの子は昔から私も知っている数少ない女性の一人ですよ。しっかりとご両親に育てられしっかりと英才教育も受けてきているのです。そんな悪事を働くようなことをするとは思えません。何が貴方をそうさせるのですか?」


王妃はそう言うと呆れて物が言えないくらいな状態でため息をついた。
隣に座る国王はずっと王太子を凝視している。
しかし自分に非が無い事だと思っていた王太子は反撃に出る。


「証拠なら密書があります。そのにはあの女のしでかした数々の悪事が書かれております。これこそが証拠なのです」


そのような証拠、何も意味がない。
そう言って国王は嘆いた。
意味が分からない王太子は更に話を続けた。


「私はあの女より愛するアリーシャと結ばれたいのです。品のある美しい顔立ち、きめ細やかな金髪ロングヘア。それにすらっとした体型。まさに私の妃に相応しい存在なのです。ですから、あの女との婚約を破棄したのですっ」
「お前は……メリーザも品のある美しい女性だぞ。それに綺麗な黒髪をしておる。それをお前は品がないとでも言いたのか?」
「あのような女…言え女狐私は嫌で御座います」


はぁ……国王はため息をついた。
元々エリクトン家と王族家とは長きにわたり代々親戚のような付き合いをしてきた家柄。
その令嬢と婚約することは幼少のころから決まっていたことなのだ。
それを婚約発表した後にこのような言い草をして拒否するとは……。


「お前は何もわかってない。以前よりメリーザ側から色々な事で王太子であるお前に散々色々な嫌がらせを受けていたという報告が上がっておる。それは婚約する前からずっとだ。それを何とか宥めて婚約発表までしたというのに何をバカなことをしでかしてくれたのだ。いい加減にしろ」


国王はそう言うと王太子は何も言い返すことが出来ずうう、と唸っていた。
そして沙汰があるまで自室へ謹慎するよう命じると近衛兵に両手を掴まれて王室から追い出されてしまった




***

わたくしが自由を手に入れてから数日が経ちました。
学園に行くのも以前より楽しいと感じていたのです。
世の中にいる男性との恋愛というモノを経験することが出来ると思うだけで目の前がバラ色に見えているのですから。



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