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推しとファン②
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ルゼーフの所属する会社に行く日の朝。
真美は悩んでいた。
何を着たらいいのだろう。スーツが無難なのかなと考えたが、長い間着ていなかったスーツは、サイズが合わずパツパツだった。これではおかしい。かと言ってスーパーに行くような普段着でも違う気がする。
結局真美は、歌ってみた動画を撮っていたときと全く同じ格好をして行くことにした。
スタッフさんも動画を見てくれていたようだから、この格好で行けば本人が来たと分かってもらえるだろう。
それにしてもウキウキワクワクだ。推しの所属する会社に行ける日が来るなんて。
ファンがいるってどんな気持ちなのだろう、推しの気持ちが知りたい。そこから始まり、思わぬ方向に転がったことでつながった今回の会社訪問。結局、推しを推したいって気持ちが全ての原動力となり、どんな形でも応援できればいいという所に着地したのだ。
会社の入るビルは都会の一等地で、オフィスもとても洗練されていた。
受付で名前を告げると、ガラス張りの会議室に通された。
座って待とうかと思った時に、こちらに向かって歩いてくるスーツ姿の男性がガラス越しに見えた。こちらを通り過ぎて違うところに行くかもしれないが、真美は一応立ったまま待っていた。
「お待たせして申し訳ありません。どうぞお座りください。」
座らずに待っていてよかった。彼が担当のスタッフさんだった。差し出された名刺には伊藤と書かれていた。
真美は名刺を持っていなかった。
「すみません、名刺持ってないんです。」
真美は素直にそう告げると、伊藤さんは気になさらないでと、フォローしてくれた。
伊藤さんの話によると、ルゼーフは生配信のいいシーンを切り取り編集で文字や音楽をつけた動画をこれからたくさん出していく予定なのだという。
「いいですね!すごく見たいです!楽しみです!」
真美は思わずファンとして反応してしまった。
他のルゼーフファンがまだ知らないことを先に知ってしまったなんて、やはり会社訪問はご褒美だ。
そして、伊藤さんが言うにはその動画の中で使う音楽を探していたそうだ。そんなとき、ルゼーフのオリジナルソングを作っている人がいると聞き、連絡をくれたそうだ。
37年間、真面目に生きてきてよかった。これはきっと天からのご褒美だ。真美にとっては1等の宝くじが当たるよりも嬉しかった。
真美は悩んでいた。
何を着たらいいのだろう。スーツが無難なのかなと考えたが、長い間着ていなかったスーツは、サイズが合わずパツパツだった。これではおかしい。かと言ってスーパーに行くような普段着でも違う気がする。
結局真美は、歌ってみた動画を撮っていたときと全く同じ格好をして行くことにした。
スタッフさんも動画を見てくれていたようだから、この格好で行けば本人が来たと分かってもらえるだろう。
それにしてもウキウキワクワクだ。推しの所属する会社に行ける日が来るなんて。
ファンがいるってどんな気持ちなのだろう、推しの気持ちが知りたい。そこから始まり、思わぬ方向に転がったことでつながった今回の会社訪問。結局、推しを推したいって気持ちが全ての原動力となり、どんな形でも応援できればいいという所に着地したのだ。
会社の入るビルは都会の一等地で、オフィスもとても洗練されていた。
受付で名前を告げると、ガラス張りの会議室に通された。
座って待とうかと思った時に、こちらに向かって歩いてくるスーツ姿の男性がガラス越しに見えた。こちらを通り過ぎて違うところに行くかもしれないが、真美は一応立ったまま待っていた。
「お待たせして申し訳ありません。どうぞお座りください。」
座らずに待っていてよかった。彼が担当のスタッフさんだった。差し出された名刺には伊藤と書かれていた。
真美は名刺を持っていなかった。
「すみません、名刺持ってないんです。」
真美は素直にそう告げると、伊藤さんは気になさらないでと、フォローしてくれた。
伊藤さんの話によると、ルゼーフは生配信のいいシーンを切り取り編集で文字や音楽をつけた動画をこれからたくさん出していく予定なのだという。
「いいですね!すごく見たいです!楽しみです!」
真美は思わずファンとして反応してしまった。
他のルゼーフファンがまだ知らないことを先に知ってしまったなんて、やはり会社訪問はご褒美だ。
そして、伊藤さんが言うにはその動画の中で使う音楽を探していたそうだ。そんなとき、ルゼーフのオリジナルソングを作っている人がいると聞き、連絡をくれたそうだ。
37年間、真面目に生きてきてよかった。これはきっと天からのご褒美だ。真美にとっては1等の宝くじが当たるよりも嬉しかった。
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