誰が悪役(アリオン)を殺したか

ひまたろう

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プロローグ

1.魔塔の主の訃報

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 アークランド王国。それは、とある大陸に存在する、魔法が発達した国の名前。

 国の豊かさは、魔法とともにあるという王家の意向により、魔塔と呼ばれるものが国防の中枢を担っていた。魔塔では主に国防や、新規の魔法の開発を担っている。職員はうち半分が魔法学園から採用され、また、もう半分を軍部から採用されているという具合だ。

 その魔塔の主と呼ばれる座に就くことが、魔法使いたちの最大の夢の一つ。故に、魔塔への進路が開いている国内最高学府のアークランド魔法学園には、将来を担う選りすぐりの魔法使いたちが集まり、研鑽を積んでいるのだった。

 その魔法学園では今日、生徒たちは突然、広間に召集をかけられた。途方もなく高い天井、その宙に輝く秋桜の花が咲き乱れる。光は広間全体を照らし、乱反射しては幻想的な光景を作り上げていた。そして前方には発言者の注目を集めやすくするための壇があり、突然の招集の理由を訝しげに耳を傾ける。しんとした空気に壇上に立った男性の声が渡り、やがて生徒たちからは歓声あがった。

 ・・・才能の宝庫である魔法学園は、本日は様子がおかしかった。事故や事件があったからではない。生徒たちはみな、喜びに包まれていたのだ。

 生徒たちは、、互いに抱き合って喜びを露わにしていた。

「やったー!!魔塔の主がやっとくたばってくれたぜ!!」
「悪魔のローゼルアリオンめ、殺されるとはざまあみろ!!」

 そう、人が亡くなって、それに対して喜んでいたのだ。教師や生徒会の面々には、その喜びようを睨む者もいる一方で、笑みを隠し切れない者もいた。

 ローゼルアリオン。
 それは、今代の魔塔の主の名前。そして、支配者という恐怖のレッテルを貼られている男の名だ。

 魔塔の主というのは、言わばこの魔法学園の理事長という立場でもあり、ローゼルアリオンも当然この学園の運営に携わっていた。

 けれど、どうして学園の理事長がそれほどまでに嫌われていたのか。

「夜間、部屋からの外出禁止も、破ったら処分ってやっぱりおかしかったよな」
「実力主義から、学力重視になったのもクソだったからな」
「成績下位組も退学だもんな。死んでくれるのがあと少し遅かったら、俺もやばかったぜ」

 そう、原因は色々あるものの、厳しい校則を実施したため、生徒からは大変嫌われていたのだ。

 そしてそんな喜ぶ生徒たちを、憎々しげに見ている小柄な生徒がいた。黒縁の眼鏡をしており、髪は黒に近い藍色。ソバカスはあり、地味な容姿をした少年だ。

(必要があったから校則を作っただけで、そんなに死を喜ばれる程のことを私はした覚えがないのだが!?)

 何を隠そう、この少年こそが魔塔の主・ローゼルアリオン本人だったのだ。
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