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犯人探求編
53.星辰魔導議会②
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「アリオン、どうしたんだ?手洗いか?」
「うん。行ってくるね」
ロギルジョーは席を立つ私に話しかける。実際にはこれから、がら空きになっているドレイヴン教授の部屋の捜索に向かうのだ。本当はアウレリウスの二回戦以降も見たかったが、頑張って決勝戦までには帰って来よう。待っていてくれ、私はちゃんと子供の成長には立ち会いたいタイプなんだ。
「よし、俺もついていくわ」
ロギルジョーもまた席から立つ。これは、困った。私は実際には手洗いに向かうつもりはないのだ。しかし、目的地が一緒なのに、こいつを撒くのも不自然になる。まずいな。ここは一緒に行った後に、忘れ物を取りに行くと言って、こいつだけこの会場に戻すか。
「お前らもくるか?」
ロギルジョーはアバラとレオに話しかける。待て待て、王族が連れ立って手洗いに行くなんて、割と品のない行為を平然とやるな。アバラとレオは無言でじっとロギルジョーを見たのち、うなずく。
「まあ、正直会長さんくらいしか見どころなさそうやからな~。四人でトイレ行った方が楽しいよな~」
「うん、僕もそう思う」
正気かこいつら。しまった、もっと別のことを理由にすればよかった。先制で質問されたせいで、咄嗟に上手い返しが出来なかった。
私はロギルジョーに引っ張られ、後ろからアバラとレオもついてくる。そして会場から出た。
「それで?本当はもっと面白いところに行くんだろ?俺も混ぜろよ!!」
「やっぱお手洗いは嘘なんだね。うん、僕も同行するよ」
ロギルジョーは周囲に人がいないことを確認して私に詰め寄る。おそらくだが、私が何かしら調査に行くということを、こいつらは察しているのだ。それはそうだ、開始から少ししか経過していないのに、席を立つのはあまりにも不自然すぎる。
・・・どうする。ここでこいつらを連れていくか?しかし、こんなに人数がいれば、あまりにも目立つ。デメリットもないか?
「アリオン、俺は今、あの陰湿ドレイヴンの奴の部屋に向かおうと思うんだけどな。そこでお前をいじめた復讐しようと思っとるんや。お前もくるか?」
ロギルジョーは真剣な顔で切り出した。私のドレイヴン狙いが完全に読まれてるな。すると、答えは一つ。
「・・・・・・うん、皆で行こうか」
「よっしゃ!!そうこなくっちゃな!!」
付いてくるはずの面々が、逆に威勢よく私の腕をひぱってドレイヴン教授の私室の方向へと向かっていく。これは、予想外の展開だ。しかし、あの岩の破片の一件で、この三人はドレイヴン教授に対して怒ってくれた。故に、全面的に味方になって、私の手伝いをしてくれると思うと少しだけ嬉しい。
少しだけだからな。特にロギルジョー。ドレイヴン捜索が終わったら、再び私とお前は敵同士だからな!!勘違いするなよ!
星辰魔導議会から魔法実技学の教室棟へはそれほど遠くない。拡音魔法によって、会場で行われているアナウンスはここまで響いてくる。
教授たちは通いか住みかは選択制だが、住みの場合は教室の隣に居住空間がある。ドレイヴン教授は住みを選んでいる人間なので、おそらく彼の私室のどこかに、何かしら生徒の誘拐に繋がる証拠があるだろう。マラカイによってドレイヴンが怪しいという結論は得たが、しかしそれだけでは誘拐に繋がる証拠に持っていくのは難しい。
「うーん、当たり前だが施錠しているな。この中に鍵開け魔法を使える奴はいるか?」
レオは手を挙げるものの、しかし顔を顰める。
「使えるけれど、最終手段にしたいかな。痕跡が残るんだ。特に、魔法による開錠は、部屋主から痕跡探知されることもあるからね」
「なら俺の出番やな!いでよ、針金!!」
アバラは懐から針金を出す。そして鍵のタイプを確認し、穴に金属を差し込む。そしてうんうん唸りながら奥をつつくうちに、ガチャッという音がした。
「よっしゃ、開いたで!!」
「おお~」
私含め他三人で拍手をする。この学園に来てから、なかなか目立った活躍が出来ていないのか、褒められると非常に嬉しそうな顔をしていた。
私たちは静かにドアを開け、体を滑り込ませる。まずは座学の教室。両手で数えられる程度しか授業で使っていないこの場所だが、私たちは言葉を交わさずにまっすぐ教授の部屋に向かう。狙いはここではないからだ。
窓をみると、紫紺の森の入り口がある。この魔法実技学の教室は演習のエリアと隣接しているが、その演習エリアが紫紺の森と面しているのだ。考えてみると、あの森で何か企むのなら、この魔法実技学の教授というのは、うってつけだ。
「よし、本命の自室も開けるで。全員、心の準備はええか?」
全員が静かにうなずく。ここから先は時間との勝負だ。おそらくだが、室内には感知魔法があると推定する。狭いエリア、かつ人通りの少ないエリアにしか張れない非常に難易度の高いものだが、ドレイヴンは以前に授業で自慢をしていた。現在、会場の結界を張るのに駆り出されているドレイヴン教授だが、室内の侵入者を感知次第、あちらを放棄してすぐにやってくるだろう。けれど、抜け出すには周囲の教授たちに何かしら言い含める必要がある。
転移は魔法使いの中でも上級者にしか使えない。この面々に私が転移を使えることを晒すのは正直嫌ではあるが、私のせいで命の危険に晒すことになる以上は、背に腹は代えられない。証拠を確保次第、この四人で転移で戻る。私は自分の巾着袋を握りしめた。
やがて、アバラは扉を開いた。
室内は本棚が周囲を埋めており、窓一つない空間だ。アバラは右、レオは真ん中、ロギルジョーは左というように、相談なしに各自が判断し、颯爽と怪しいものがないかを調べる。私も視線を巡らせるが、隠し部屋の類は感知に引っ掛からない。証拠があるとしたらこの部屋だろう。
木製の机がある。引き出しを開け、その奥に隠し引き出しがないかを探る。
ない。
次は机の上にある本を捲る。無い。
・・・すると、ドレイヴンは、証拠を周囲の本棚に紛れ込ませたという説が濃厚だ。私が三人に目をやると、レオが声を上げた。
「ねえ、ここ見て。この場所だけ埃がたまっていない」
アバラとロギルジョーは、自分たちは探すのを続行したほうがいいと判断したのだろう。私だけがレオに近づく。さすがは本に慣れ親しんだ貴族。家の中にも蔵書が多く、本を観察する目も鋭い。本棚から引き抜いて私に渡すと、引き続きレオは捜索を続行する。
確かに、新しい材質のわりに何度も触った跡がある。表紙には「魔法効率の手引き」と書かれているが、ダミーだろう。急いで表紙を捲ると、何かしらの研究の痕跡があった。
『スーザン=スミス 平民 失敗
ジョン・ブラウン 平民 失敗
ポール・テイラー 平民 失敗
リンダ・クラーク 平民 成功/友人
ココア・タチキ 平民 収容所3へ
モルト・ウィル 平民 収容所4へ
ヘレン=ムーア 平民 成功/父親
アリオン 平民 』
呼吸が止まった。平民の名前が列挙されている下に、私の名前が刻まれている。ざっと目を走らせると、立木心愛の名前もある。収容所3?なんだそれは。
他にも気になる名前が「ヘレン」。これは、前に女子生徒が似顔絵を持って捜索をしていた時に、出てきた名前だ。本来であれば今日、星辰魔導議会に出場しているはずだった少女。
「アバラ、消えたルームメイトの名前は何だった?」
「モルト。それがどうかしたん?」
「ううん、ありがとう。みんな、証拠は見つけた。早く撤退しよう!!」
これは、誘拐された面々がどうなったかを記す証拠だ。成功と失敗が何を指し示すのかはまた後でゆっくり考えよう。私の呼びかけに全員が振り返り、こちらに走り寄る。よし、このまま会場へ・・・
刹那。
強烈な横殴りの風が、この部屋を襲う。
窓に一番近かった私が背中から窓を突き破り、やがて吸い込まれるように三人も外へと追い出される。とっさのことで私は先ほど持っていた本を離してしまった。
紫紺の森へと飛ばされた私たちは、各々が幹にぶつかって、何とか身を起こす。
「まったく、こそこそとネズミが出入りしよって」
腕時計型の魔道具を触りながら、こちらに悠然と歩いてくる男がいた。
ドレイヴン教授。
「まあいい、アリオン。どのみちお前は近いうちに失踪してもらう予定だったからな」
「うん。行ってくるね」
ロギルジョーは席を立つ私に話しかける。実際にはこれから、がら空きになっているドレイヴン教授の部屋の捜索に向かうのだ。本当はアウレリウスの二回戦以降も見たかったが、頑張って決勝戦までには帰って来よう。待っていてくれ、私はちゃんと子供の成長には立ち会いたいタイプなんだ。
「よし、俺もついていくわ」
ロギルジョーもまた席から立つ。これは、困った。私は実際には手洗いに向かうつもりはないのだ。しかし、目的地が一緒なのに、こいつを撒くのも不自然になる。まずいな。ここは一緒に行った後に、忘れ物を取りに行くと言って、こいつだけこの会場に戻すか。
「お前らもくるか?」
ロギルジョーはアバラとレオに話しかける。待て待て、王族が連れ立って手洗いに行くなんて、割と品のない行為を平然とやるな。アバラとレオは無言でじっとロギルジョーを見たのち、うなずく。
「まあ、正直会長さんくらいしか見どころなさそうやからな~。四人でトイレ行った方が楽しいよな~」
「うん、僕もそう思う」
正気かこいつら。しまった、もっと別のことを理由にすればよかった。先制で質問されたせいで、咄嗟に上手い返しが出来なかった。
私はロギルジョーに引っ張られ、後ろからアバラとレオもついてくる。そして会場から出た。
「それで?本当はもっと面白いところに行くんだろ?俺も混ぜろよ!!」
「やっぱお手洗いは嘘なんだね。うん、僕も同行するよ」
ロギルジョーは周囲に人がいないことを確認して私に詰め寄る。おそらくだが、私が何かしら調査に行くということを、こいつらは察しているのだ。それはそうだ、開始から少ししか経過していないのに、席を立つのはあまりにも不自然すぎる。
・・・どうする。ここでこいつらを連れていくか?しかし、こんなに人数がいれば、あまりにも目立つ。デメリットもないか?
「アリオン、俺は今、あの陰湿ドレイヴンの奴の部屋に向かおうと思うんだけどな。そこでお前をいじめた復讐しようと思っとるんや。お前もくるか?」
ロギルジョーは真剣な顔で切り出した。私のドレイヴン狙いが完全に読まれてるな。すると、答えは一つ。
「・・・・・・うん、皆で行こうか」
「よっしゃ!!そうこなくっちゃな!!」
付いてくるはずの面々が、逆に威勢よく私の腕をひぱってドレイヴン教授の私室の方向へと向かっていく。これは、予想外の展開だ。しかし、あの岩の破片の一件で、この三人はドレイヴン教授に対して怒ってくれた。故に、全面的に味方になって、私の手伝いをしてくれると思うと少しだけ嬉しい。
少しだけだからな。特にロギルジョー。ドレイヴン捜索が終わったら、再び私とお前は敵同士だからな!!勘違いするなよ!
星辰魔導議会から魔法実技学の教室棟へはそれほど遠くない。拡音魔法によって、会場で行われているアナウンスはここまで響いてくる。
教授たちは通いか住みかは選択制だが、住みの場合は教室の隣に居住空間がある。ドレイヴン教授は住みを選んでいる人間なので、おそらく彼の私室のどこかに、何かしら生徒の誘拐に繋がる証拠があるだろう。マラカイによってドレイヴンが怪しいという結論は得たが、しかしそれだけでは誘拐に繋がる証拠に持っていくのは難しい。
「うーん、当たり前だが施錠しているな。この中に鍵開け魔法を使える奴はいるか?」
レオは手を挙げるものの、しかし顔を顰める。
「使えるけれど、最終手段にしたいかな。痕跡が残るんだ。特に、魔法による開錠は、部屋主から痕跡探知されることもあるからね」
「なら俺の出番やな!いでよ、針金!!」
アバラは懐から針金を出す。そして鍵のタイプを確認し、穴に金属を差し込む。そしてうんうん唸りながら奥をつつくうちに、ガチャッという音がした。
「よっしゃ、開いたで!!」
「おお~」
私含め他三人で拍手をする。この学園に来てから、なかなか目立った活躍が出来ていないのか、褒められると非常に嬉しそうな顔をしていた。
私たちは静かにドアを開け、体を滑り込ませる。まずは座学の教室。両手で数えられる程度しか授業で使っていないこの場所だが、私たちは言葉を交わさずにまっすぐ教授の部屋に向かう。狙いはここではないからだ。
窓をみると、紫紺の森の入り口がある。この魔法実技学の教室は演習のエリアと隣接しているが、その演習エリアが紫紺の森と面しているのだ。考えてみると、あの森で何か企むのなら、この魔法実技学の教授というのは、うってつけだ。
「よし、本命の自室も開けるで。全員、心の準備はええか?」
全員が静かにうなずく。ここから先は時間との勝負だ。おそらくだが、室内には感知魔法があると推定する。狭いエリア、かつ人通りの少ないエリアにしか張れない非常に難易度の高いものだが、ドレイヴンは以前に授業で自慢をしていた。現在、会場の結界を張るのに駆り出されているドレイヴン教授だが、室内の侵入者を感知次第、あちらを放棄してすぐにやってくるだろう。けれど、抜け出すには周囲の教授たちに何かしら言い含める必要がある。
転移は魔法使いの中でも上級者にしか使えない。この面々に私が転移を使えることを晒すのは正直嫌ではあるが、私のせいで命の危険に晒すことになる以上は、背に腹は代えられない。証拠を確保次第、この四人で転移で戻る。私は自分の巾着袋を握りしめた。
やがて、アバラは扉を開いた。
室内は本棚が周囲を埋めており、窓一つない空間だ。アバラは右、レオは真ん中、ロギルジョーは左というように、相談なしに各自が判断し、颯爽と怪しいものがないかを調べる。私も視線を巡らせるが、隠し部屋の類は感知に引っ掛からない。証拠があるとしたらこの部屋だろう。
木製の机がある。引き出しを開け、その奥に隠し引き出しがないかを探る。
ない。
次は机の上にある本を捲る。無い。
・・・すると、ドレイヴンは、証拠を周囲の本棚に紛れ込ませたという説が濃厚だ。私が三人に目をやると、レオが声を上げた。
「ねえ、ここ見て。この場所だけ埃がたまっていない」
アバラとロギルジョーは、自分たちは探すのを続行したほうがいいと判断したのだろう。私だけがレオに近づく。さすがは本に慣れ親しんだ貴族。家の中にも蔵書が多く、本を観察する目も鋭い。本棚から引き抜いて私に渡すと、引き続きレオは捜索を続行する。
確かに、新しい材質のわりに何度も触った跡がある。表紙には「魔法効率の手引き」と書かれているが、ダミーだろう。急いで表紙を捲ると、何かしらの研究の痕跡があった。
『スーザン=スミス 平民 失敗
ジョン・ブラウン 平民 失敗
ポール・テイラー 平民 失敗
リンダ・クラーク 平民 成功/友人
ココア・タチキ 平民 収容所3へ
モルト・ウィル 平民 収容所4へ
ヘレン=ムーア 平民 成功/父親
アリオン 平民 』
呼吸が止まった。平民の名前が列挙されている下に、私の名前が刻まれている。ざっと目を走らせると、立木心愛の名前もある。収容所3?なんだそれは。
他にも気になる名前が「ヘレン」。これは、前に女子生徒が似顔絵を持って捜索をしていた時に、出てきた名前だ。本来であれば今日、星辰魔導議会に出場しているはずだった少女。
「アバラ、消えたルームメイトの名前は何だった?」
「モルト。それがどうかしたん?」
「ううん、ありがとう。みんな、証拠は見つけた。早く撤退しよう!!」
これは、誘拐された面々がどうなったかを記す証拠だ。成功と失敗が何を指し示すのかはまた後でゆっくり考えよう。私の呼びかけに全員が振り返り、こちらに走り寄る。よし、このまま会場へ・・・
刹那。
強烈な横殴りの風が、この部屋を襲う。
窓に一番近かった私が背中から窓を突き破り、やがて吸い込まれるように三人も外へと追い出される。とっさのことで私は先ほど持っていた本を離してしまった。
紫紺の森へと飛ばされた私たちは、各々が幹にぶつかって、何とか身を起こす。
「まったく、こそこそとネズミが出入りしよって」
腕時計型の魔道具を触りながら、こちらに悠然と歩いてくる男がいた。
ドレイヴン教授。
「まあいい、アリオン。どのみちお前は近いうちに失踪してもらう予定だったからな」
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