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後日談 片翼をもがれた不死鳥
A22.監禁二日目※
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痛む体に鞭を打ち、ベッドから身を起こす。
昨晩は散々だった。アウレリウスに何度も何度も揺さぶられた。しかし、大事なのはそこではない。
あの子は、性交の後に自分の身だしなみを整え、すぐ上の自室へと戻っていったのだ。
『・・・行くのか?』
『もう二度と、寝首を掻かれたくないから』
その先に続く言葉は、「だからこのベッドは性交専用で、自分は就寝の用途では使わない」だろう。完全に、性交の後にこっそり抜け出したあの件を根に持っている。そして唯一の扉から出ていった。
「・・・はあ・・・」
あの子から私への信頼が地に落ちたということだ。
睡眠も、食事も、性交も、人間の三大欲求において今の私に自由はなくなった。衣服はアウレリウスが用意した、艶のある綺麗な布地の服に身を包んでいる。外を歩くわけでもないのに、宝石がちりばめられている。自分が見て楽しむようにという目的であることをうかがわせる。
やがて再び現れて、朝食はアウレリウスが自ら運び、何も言わずに置いて再び去っていった。私はサンドイッチを手に持ち、眺める。
「過去にあの子が弁当で作ってくれたサンドイッチと違うな。多分、コックが作ったのだろう」
流石に王になったあの子に作っていられる時間はない。食事を運ぶ時間も元来であれば取りにくいだろうに、おそらくこの調子では三食全て持って来るつもりとみた。一緒に紅茶もトレーに乗せてある。私はジャムを乗せ、柔らかいパンをかじる。
「・・・ふむ。薄味だな」
隣の紅茶にも口を付けるが、色のわりに味は薄かった。不味くはないのだが、少し味気ない。貴族ほど薄くて繊細な味を好むというが、作ったコック自体が誰が食べるか分からないためにこうなったのかもしれない。
全てを食べ終え、トレーを入り口付近の机の上に置いておく。おそらくこれもアウレリウスが片付けに来るのだろう。
・・・私は本当に、監禁されているのだな。
不死鳥の羽根を返したのに、アウレリウスは私を殺さず、それどころかこのように閉じ込めた。つまりは、契約が解除出来ていないか、そもそも最初から契約などなかったのか。
私への洗脳がなかったとて、それでもあの子が私のことを想ってくれるという可能性は考えた。しかし、ここまで思いつめるのは流石に想定外だったのだ。
それを想うと、本当に申し訳ないことをした。私は良かれと思ってやったことがいつも悪い結果を生む。いつもそうだ。
けれど頑張ったおかげでジェルドの無事を確認できた。悪いことばかりではないのだろうと願いたい。
さて、このまま座って物思いに耽るのも流石に退屈だ。私は基本的に閉じこもることに嫌悪はないため、監禁も別にさほど苦痛ではない。しかし退屈は辛い。アウレリウスが暇をつぶせるようにと配慮してくれただろう本棚を見る。王国の歴史、地理、周辺諸国といった本が多く、魔法についての本は見当たらない。万が一逃亡のヒントになると困ると思ったのだろう。
・・・たとえこの部屋に大きな穴が空いたとて、私はもうどこかへ行ったりはしないのだがな。
あの子が満足するまで、付き合おう。1年でも、10年でも、それこそ一生ここで過ごすことになってもいい。私の命はアウレリウスの為にある。耐えたその果てに、私に対して一度でも笑顔を向けてくれれば。そのためだけに命を費やすことに、悔いはない。
本を取ってペラペラ捲る。普段だと速読をするが、今は逆に本のストックが尽きるほうが怖い。故に、じっくりと読み込むことにした。頭上は空を模しており、今は青空が広がっていた。それが更に明るくなった段階で、この部屋に誰かが近寄る音がした。
「昼食。食べて」
アウレリウスは昼食のトレーを持って入室する。それを丸い机の上に置く。
「朝食、おいしかったよ。ありがとう」
「そう」
そして朝食分のトレーを持って下がっていった。一国の王であるはずなのに、私の使用人みたいなことになっていて逆に申し訳なく思う。
昼はビーフシチューだ。湯気が出ている。作って間もない中、冷めないうちにすぐに持ってきてくれたのだ。
心遣いを汲み、本より食事を先にしよう。正直まだ腹は減っていないが・・・。
スプーンを持ち、一掬い。そして口に運んだ。
「・・・?やはり薄いな」
なんだろう、コクがないような。いや、思えばこの世界に転生してからビーフシチューを食べたことは無い。すると、この国ではこのような味付けなのかもしれない。日本とは違い、材料だってあふれているわけではないのだから。
ひょっとしたら産後の体のホルモンバランスによる、味覚の変動の可能性もあるが。出来ればもう少し濃い味だった方が助かるが、しかし捕まってる身分でそのようなことを注文できるわけもないしな。働いていない身分なんだ。我慢しよう。
本を読み、何もせぬまま時間は過ぎる。
アウレリウスは夕食を持ってきて、今度は私の前に座った。一緒に食べると思いきや、トレーは一人前。
「ありがとう。お前は夕食はいいのか?」
「僕のことは気にしないでいいから」
静かに書類を取り出し、目を通し始めた。当然夜になれば、天井も夜になる。代わりに照明が灯り、字を見るには問題の無い明るさになっている。
部屋には私が食事をするために食器が擦れる音と、アウレリウスが紙を捲る音のみが響く。相手が仕事をしているのに会話を持ちかけるわけにもいかない。故にただ無言の空間だけが広がる。気まずい。これなら食事だけ置いていってくれた方がまだ食べやすい。
・・・なぜアウレリウスはここで書類仕事をしているのだろうか。トレーを置くだけ置いて、いつも通り去ればいいのに。相変わらず薄味の食事を食べ進め、ちらりと観察する。
つまりは、待っているのだろう。私が食べ終わるのを。
スープの容器を飲み干し、私は食器を置いた。するとアウレリウスはその音を聞いて、書類をトントンとまとめだす。そしてしまった。
「するから、服を脱いで」
本音を言うと食後すぐは辛いため、待ってほしい。しかし、アウレリウスも時間は貴重なのだろう。私は視線を感じる中、渋々服を脱ぎ始めることにした。
「・・・上は着ててもいいか?」
交わるだけなら下だけ脱げばいいだろう。
「駄目」
しかしアウレリウスは許さない。私の脱いだ服を受け取り、魔法で畳んでまとめる。私は一糸まとわぬ姿で寝具に上がった。
「今日は後ろからするから、四つん這いになって」
「・・・・・・」
粛々と従う。膝をつき、枕元に手を置いた。やがて私以外のベッドに乗り上げる音がする。尻を両手でつかまれ、好き放題に揉まれる。
「うぅ・・・・・・」
無言で吟味されるのが、本当に心に深く突き刺さる。学園時代もアウレリウスに後ろからされたことはあった。しかし、あの時は優しく声をかけてくれた。異物を受け入れる私のことを、いたわりながら触ってきた。
けれども今は違う。私は今、性欲の発散として触られ、卑猥な視線を向けられる。穴に入れてくる太い指も、主人がペットを調教するような横暴さだ。
「・・・ああ、アリオンの為にコックリングを用意してきたよ。長時間の使用はまずいから、交わるときだけつけるから」
性器になにか冷たい感触が走る。リングのそれを竿に通され、やがて根本につけられた。
「結婚指輪より先にこっちを渡すことになるとは思わなかったけど、似合うよ」
アウレリウスは嬉しそうに私の陰嚢をつついたあと、やがて自身を取り出す音がする。そして私の孔に誇示するように熱いそれをこすりつけ、やがて穴に自身の亀頭を押し付ける。
ぐぷぷ・・・
「あッ!!あッ!!」
力が抜け、頭からベッドに突っ伏す。そしてアウレリウスは私の腰を掴んで奥を執拗に攻め始めた。くちゅくちゅと卑猥な音が響き、呼吸も荒くなっていく。
パンッ!!パンッ!!パンッ!!
後ろからの性交特有の、腰と尻が当たる音が私の鼓膜を苛む。動物の交尾だ。互いの太ももも擦れ、ベッドが軋む音がまるで楽器のようにも感じる。
「はっ、はっ、アリオンの体は、本当に男を惑わす、みだらな体だよね・・・!!」
「ち、ちがう・・・ッ!!」
「何度抱いても、僕を絞ろうとしてくる。こんな卑猥な体で一年弱、なにをしてたの?」
責めるように腰を打ち付け、そのたびに嬌声が零れる。
そして熱いものが中に注がれる。一方で私の性器はコックリングに阻まれ、前での絶頂を封じられる。
「あれ、後ろでいけなかったんだ。じゃあ、もう一度頑張ってみようか」
後ろで行くまで、何度も何度も揺さぶられる。
そしてこの日もこうして終わった。
昨晩は散々だった。アウレリウスに何度も何度も揺さぶられた。しかし、大事なのはそこではない。
あの子は、性交の後に自分の身だしなみを整え、すぐ上の自室へと戻っていったのだ。
『・・・行くのか?』
『もう二度と、寝首を掻かれたくないから』
その先に続く言葉は、「だからこのベッドは性交専用で、自分は就寝の用途では使わない」だろう。完全に、性交の後にこっそり抜け出したあの件を根に持っている。そして唯一の扉から出ていった。
「・・・はあ・・・」
あの子から私への信頼が地に落ちたということだ。
睡眠も、食事も、性交も、人間の三大欲求において今の私に自由はなくなった。衣服はアウレリウスが用意した、艶のある綺麗な布地の服に身を包んでいる。外を歩くわけでもないのに、宝石がちりばめられている。自分が見て楽しむようにという目的であることをうかがわせる。
やがて再び現れて、朝食はアウレリウスが自ら運び、何も言わずに置いて再び去っていった。私はサンドイッチを手に持ち、眺める。
「過去にあの子が弁当で作ってくれたサンドイッチと違うな。多分、コックが作ったのだろう」
流石に王になったあの子に作っていられる時間はない。食事を運ぶ時間も元来であれば取りにくいだろうに、おそらくこの調子では三食全て持って来るつもりとみた。一緒に紅茶もトレーに乗せてある。私はジャムを乗せ、柔らかいパンをかじる。
「・・・ふむ。薄味だな」
隣の紅茶にも口を付けるが、色のわりに味は薄かった。不味くはないのだが、少し味気ない。貴族ほど薄くて繊細な味を好むというが、作ったコック自体が誰が食べるか分からないためにこうなったのかもしれない。
全てを食べ終え、トレーを入り口付近の机の上に置いておく。おそらくこれもアウレリウスが片付けに来るのだろう。
・・・私は本当に、監禁されているのだな。
不死鳥の羽根を返したのに、アウレリウスは私を殺さず、それどころかこのように閉じ込めた。つまりは、契約が解除出来ていないか、そもそも最初から契約などなかったのか。
私への洗脳がなかったとて、それでもあの子が私のことを想ってくれるという可能性は考えた。しかし、ここまで思いつめるのは流石に想定外だったのだ。
それを想うと、本当に申し訳ないことをした。私は良かれと思ってやったことがいつも悪い結果を生む。いつもそうだ。
けれど頑張ったおかげでジェルドの無事を確認できた。悪いことばかりではないのだろうと願いたい。
さて、このまま座って物思いに耽るのも流石に退屈だ。私は基本的に閉じこもることに嫌悪はないため、監禁も別にさほど苦痛ではない。しかし退屈は辛い。アウレリウスが暇をつぶせるようにと配慮してくれただろう本棚を見る。王国の歴史、地理、周辺諸国といった本が多く、魔法についての本は見当たらない。万が一逃亡のヒントになると困ると思ったのだろう。
・・・たとえこの部屋に大きな穴が空いたとて、私はもうどこかへ行ったりはしないのだがな。
あの子が満足するまで、付き合おう。1年でも、10年でも、それこそ一生ここで過ごすことになってもいい。私の命はアウレリウスの為にある。耐えたその果てに、私に対して一度でも笑顔を向けてくれれば。そのためだけに命を費やすことに、悔いはない。
本を取ってペラペラ捲る。普段だと速読をするが、今は逆に本のストックが尽きるほうが怖い。故に、じっくりと読み込むことにした。頭上は空を模しており、今は青空が広がっていた。それが更に明るくなった段階で、この部屋に誰かが近寄る音がした。
「昼食。食べて」
アウレリウスは昼食のトレーを持って入室する。それを丸い机の上に置く。
「朝食、おいしかったよ。ありがとう」
「そう」
そして朝食分のトレーを持って下がっていった。一国の王であるはずなのに、私の使用人みたいなことになっていて逆に申し訳なく思う。
昼はビーフシチューだ。湯気が出ている。作って間もない中、冷めないうちにすぐに持ってきてくれたのだ。
心遣いを汲み、本より食事を先にしよう。正直まだ腹は減っていないが・・・。
スプーンを持ち、一掬い。そして口に運んだ。
「・・・?やはり薄いな」
なんだろう、コクがないような。いや、思えばこの世界に転生してからビーフシチューを食べたことは無い。すると、この国ではこのような味付けなのかもしれない。日本とは違い、材料だってあふれているわけではないのだから。
ひょっとしたら産後の体のホルモンバランスによる、味覚の変動の可能性もあるが。出来ればもう少し濃い味だった方が助かるが、しかし捕まってる身分でそのようなことを注文できるわけもないしな。働いていない身分なんだ。我慢しよう。
本を読み、何もせぬまま時間は過ぎる。
アウレリウスは夕食を持ってきて、今度は私の前に座った。一緒に食べると思いきや、トレーは一人前。
「ありがとう。お前は夕食はいいのか?」
「僕のことは気にしないでいいから」
静かに書類を取り出し、目を通し始めた。当然夜になれば、天井も夜になる。代わりに照明が灯り、字を見るには問題の無い明るさになっている。
部屋には私が食事をするために食器が擦れる音と、アウレリウスが紙を捲る音のみが響く。相手が仕事をしているのに会話を持ちかけるわけにもいかない。故にただ無言の空間だけが広がる。気まずい。これなら食事だけ置いていってくれた方がまだ食べやすい。
・・・なぜアウレリウスはここで書類仕事をしているのだろうか。トレーを置くだけ置いて、いつも通り去ればいいのに。相変わらず薄味の食事を食べ進め、ちらりと観察する。
つまりは、待っているのだろう。私が食べ終わるのを。
スープの容器を飲み干し、私は食器を置いた。するとアウレリウスはその音を聞いて、書類をトントンとまとめだす。そしてしまった。
「するから、服を脱いで」
本音を言うと食後すぐは辛いため、待ってほしい。しかし、アウレリウスも時間は貴重なのだろう。私は視線を感じる中、渋々服を脱ぎ始めることにした。
「・・・上は着ててもいいか?」
交わるだけなら下だけ脱げばいいだろう。
「駄目」
しかしアウレリウスは許さない。私の脱いだ服を受け取り、魔法で畳んでまとめる。私は一糸まとわぬ姿で寝具に上がった。
「今日は後ろからするから、四つん這いになって」
「・・・・・・」
粛々と従う。膝をつき、枕元に手を置いた。やがて私以外のベッドに乗り上げる音がする。尻を両手でつかまれ、好き放題に揉まれる。
「うぅ・・・・・・」
無言で吟味されるのが、本当に心に深く突き刺さる。学園時代もアウレリウスに後ろからされたことはあった。しかし、あの時は優しく声をかけてくれた。異物を受け入れる私のことを、いたわりながら触ってきた。
けれども今は違う。私は今、性欲の発散として触られ、卑猥な視線を向けられる。穴に入れてくる太い指も、主人がペットを調教するような横暴さだ。
「・・・ああ、アリオンの為にコックリングを用意してきたよ。長時間の使用はまずいから、交わるときだけつけるから」
性器になにか冷たい感触が走る。リングのそれを竿に通され、やがて根本につけられた。
「結婚指輪より先にこっちを渡すことになるとは思わなかったけど、似合うよ」
アウレリウスは嬉しそうに私の陰嚢をつついたあと、やがて自身を取り出す音がする。そして私の孔に誇示するように熱いそれをこすりつけ、やがて穴に自身の亀頭を押し付ける。
ぐぷぷ・・・
「あッ!!あッ!!」
力が抜け、頭からベッドに突っ伏す。そしてアウレリウスは私の腰を掴んで奥を執拗に攻め始めた。くちゅくちゅと卑猥な音が響き、呼吸も荒くなっていく。
パンッ!!パンッ!!パンッ!!
後ろからの性交特有の、腰と尻が当たる音が私の鼓膜を苛む。動物の交尾だ。互いの太ももも擦れ、ベッドが軋む音がまるで楽器のようにも感じる。
「はっ、はっ、アリオンの体は、本当に男を惑わす、みだらな体だよね・・・!!」
「ち、ちがう・・・ッ!!」
「何度抱いても、僕を絞ろうとしてくる。こんな卑猥な体で一年弱、なにをしてたの?」
責めるように腰を打ち付け、そのたびに嬌声が零れる。
そして熱いものが中に注がれる。一方で私の性器はコックリングに阻まれ、前での絶頂を封じられる。
「あれ、後ろでいけなかったんだ。じゃあ、もう一度頑張ってみようか」
後ろで行くまで、何度も何度も揺さぶられる。
そしてこの日もこうして終わった。
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