誰が悪役(アリオン)を殺したか

ひまたろう

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後日談 片翼をもがれた不死鳥

A21.監禁※

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 鎖を引かれ、私は飛行生物が引く馬車に詰められる。アウレリウスもそのまま馬車に乗り込み、やがて全身が浮遊する感覚に包まれる。
 馬車は空へと昇ったのだ。元来であれば他国で飛馬車を使うのは許可がいるものだが、そこは強引にもぎ取ったのだろう。ただ私を運ぶためだけに。

 アウレリウスは私の前ではなく、隣に座った。まるで私が出口から逃げださないように、徹底的に監視するために。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

 乗ってからここまで会話はない。何を話せばいいのか分からない。しかし、アウレリウスは足を組み、窓枠に肘をついていて、以前と纏っている空気が全く異なっていることは分かる。左手は鎖から絶対に手を離さないことからも、明らかに私に友好的ではない。

 気まずい。

 あれだけ仲睦まじい関係だったのに、たった一年でここまで関係に亀裂が入るとは。

 私は元来自分のペースで生きている人間だが、ここまで他者の空気に押しつぶされそうになるのは初めてだ。耐えられず、気を紛らわせようと窓から景色を見ようと座り直し、数センチ奥にずれようとした。しかし、アウレリウスは眉をひそめて鎖を掴む。

「僕の隣に座っていられないほど、僕のことが嫌いなの?」
「へ・・・?いや、飛馬車が初めてだから外でも見ようかなと・・・」

 我ながら随分呑気な返事をしてしまった。アウレリウスはただじっと私を見た後、ため息をつく。・・・どうあれ折角会話が始まったんだ。いくつか、気になることを聞こう。

「これから私はどこに連行されるんだ?」
「連行。そう。アリオンは僕と行動することを連行って思ってるんだね」

 自嘲的に笑う。連行という言葉を私が使ったことに、不服そうである。しかし、実際にこうして拘束されているんだ。連行以外の言葉は不適切だと私は思うのだが・・・。まあいい。

「・・・その、裁きの日程を教えてくれないだろうか。それとも到着次第すぐになのか?」

 せめて処刑の日取りくらいは知っておきたい。故に、最終決定権を持っていそうなアウレリウスに、こうして質問を投げかける。馬車は宙に浮いており、時々風で揺れる。それが、不安な心をさらに掻き立てる。

「裁き?アリオンの処遇のこと?」
「ああ。お前は私のことを、どうしても許せないからこうして直々に捕らえに来たのは分かる。でも聞いてほしい。私は決してお前を騙そうなんて思ったつもりはないんだ。私の存在を恥じる気持ちも察するし、心から申し訳なく思っているよ」

 アウレリウスの表情は全く変わらない。ただ静かに私の発言に耳を貸している。

「だから、処刑を受け入れる。どうか私の命で納得してはくれないだろうか。他の面々には手を出さないでほしい」

 ロギルジョーとラークウィル。それだけではなくマラカイ、アバラ、イヴリン嬢。私と関わって、危ない目にあうだろう人々のことを考える。ジェルドも、今は隠れていても万が一見つかる可能性だってあるのだ。その際に、今のこの状態のアウレリウスが温情で見逃してくれるのは想像が難しい。

「アリオンは、僕が君を殺すと思っているんだね?だからいままで散々逃げ回っていたと」
「・・・・・・」
「そうか、
「・・・ッ!!ち、違・・・」

 そんなつもりで言ったわけではない。しかし、他者を守ろうとするあまりに言葉選びが杜撰になっていた。

「そっか。僕は君とあれだけ学園で親交を深められたと思っていたのに、やっと伴侶になれると思ってたのに、アリオンは僕のことをそんなやつだと思っていたんだね。僕だけが一方的にアリオンを愛していたっていうことだ」
「違う!!私はただ・・・」

 話は終わりとでも言うように、アウレリウスは足を組み直して視線を逸らした。そこから無言の時間が続き、やがて飛馬車は降下を始めた。着陸は王宮の屋上。王の住まう天鳥宮と近い地点だ。アウレリウスが王であるため、強引に建物に降りることが出来る。

 アウレリウスに促され降りると、周囲には誰もいなかった。・・・人払いをされているのだろう。そのまま導かれるままに室内に入り、天鳥宮に入る。
 一年前に壁に赤い文字が刻まれているとかなんとかで、踏み入れたことがある場所だ。あの時は自分で自分の目を覆っていたため、実際にこうしてはいるのは初めてになる。

 荘厳な装飾。白い彫像に囲まれた、天上人の住まう場所。ここに住めるのは、王と王妃のみ。私が入れるわけがない。しかし、アウレリウスはそんな私を察知して、絶対に逃げないように腕を回して私の腰を抱く。

「嬉しいよ。アリオンと一緒に、歩いてここに入るのが夢だったんだよ」

 ここまで密着してようやく気が付く。アウレリウスは更に体が大きくなっている。その強い力に抗えず、一歩、また一歩と白亜の階段を上る。

 ・・・どうして私がここに来る必要があるんだ?罪人であるなら、行くべきは牢ではないのか?

 そのまま連れられ、やがて王の私室に到着した。つまりは、アウレリウスの現在の部屋である。

 主人を出迎えるように魔法の扉が開いた。何故だろうか。牢屋よりも、はるかに恐ろしい。得体の知れない恐怖を感じる。私の呼吸は知らぬ間に荒くなっていた。

「緊張しなくていいよ。僕はアリオンを傷つけることはしないから」

 アウレリウスはぐずる私を横抱きにし、やがて私室の床に向けて何やら呟く。すると、床から地下に続く階段があらわれた。

 ・・・そうだ。昔ロギルジョーが言っていた。王の部屋には、

 背筋が凍る。本当にそうであれば、牢屋よりも質が悪い。

「わ、私は牢屋でいいから。こんな場所に妃でもない奴を連れてくるのは・・・」
「うるさい。静かにしてて」

 取り付く島もない。そのまま階段を下りていく。そして15段ほどのそれを降りた先に、豪奢な扉があった。主人の到着を感じ取り、魔法の扉は勝手に開く。

 そこは広い空間だった。まるでプラネタリウムのようなドームの形状をした部屋で、天井は魔法で作られた空が広がっていた。そして、部屋の中央に天蓋付きのベッドが置いてある。人一人が住めるように風呂などの設備もあるのだろう。暇つぶしが出来るように本棚も置いてある。

 これはつまり、監禁部屋である。

 アウレリウスは中央のベッドに近づいて、私をそっと下ろす。そして覆いかぶさった。

「僕は決めたんだよ。アリオンはね。今日から僕の性奴隷にするって」

 綺麗な唇から、唐突なワードが飛び出て、私は戦慄した。

「何を驚いてるの?確か、紫紺の森の小屋を捜索したときだったかな。あの時も僕は言ったじゃないか。アリオンが僕から離れるのであれば、孕ませて僕から離れられないようにするって」
「私も・・・手紙に書いておいただろう。お前の元に絶対帰ってくるって」
「帰ってくるかどうか聞いてないよ。僕から離れるなって言ってるんだ。本当に、何度言ったら分かってくれるんだろうね。でも、もういいや」

 アウレリウスは私の服を脱がせていく。鎖は解かれたものの、首輪自体はそのままだった。

「性奴隷として調教して、アリオンが僕以外に心を開かなくなった時。その時一緒に外に出ようか。お妃として僕の隣に立とうね」

 ・・・それは本当に、強引な服の脱がし方だった。衣服を引きちぎる勢いで、あっという間に裸に剥かれた。
 これはまずい。本当にまずい。アウレリウスにこんなことをしてほしくない。

「落ち着いてくれ!性奴隷なんて、そんなお前に似合わないことを、無理してやる必要はないだろ!」
「僕はずっとアリオンのことを犯したいって思っていたよ。欲の思うまま、魅惑的な体を貪りたいって」

 アウレリウスは服を脱がずに、下を履いたまま局部を取り出す。私は裸で、アウレリウスは衣服を着ている。性奴隷に服を脱ぐ価値などないとでも言わんばかりに。

「でも両想いで仲良くしたいっていう想いの方が強いから、頑張って抑えていたんだ。だけど・・・」

 話しながらも、下を用意する手は止めない。そして私の孔に自身をあてがう。

「壊れるくらいに揺さぶってみたかったのも本音なんだ」

 あまりにも適当に魔法だけかけて、それで前戯のつもりだったのだろう。熱の塊が、ニチッニツッと肉をかき分けて入ってくる。
 久々の感触だ。十分慣らしていないそこは、悲鳴を上げて、異物を押し返そうと抵抗する。しかし、久々の行為で興奮しているのだろう。アウレリウスはただ嬉しそうに私の中を強引にかき分けていく。

「うぐっ・・・!!・・・ぁ、はッ・・・!!」
「怪我をするから。力を緩めて」

 ズズ、ズズズ・・・。
 痛みと熱さが交互に襲う。そして奥の弱いところにアウレリウスの先端があたる感覚がする。

「うん。気持ちいいね。やっぱりアリオンの体は最高に気持ちいいよ」

 そして私の腰を乱雑に掴み、ゆっくりと引き始める。しかし、すぐに押し込んだ。

 パン、パン、パン・・・!!

 乱雑な腰遣いだ。以前とは打って変わって、こちらに気遣うことのない性交。ただの性処理でもしているかの如く、荒く腰を打ち付ける。
 私を見る暗い目は、ただ私の痴態を目に焼き付けることだけを目的としていた。今行っているのは決して愛のある行為ではないと、そのことに重きを置いているようで、愛撫や抱擁、ましてや口づけは一切ない。

 あの日に別れてから、ここに至るまでの時間を埋めるかのように、アウレリウスはただ一心不乱に腰を振っていた。

「もうすぐアリオンと交われるって思って、溜めてたんだ。ドロドロしてると思うけれど、ちゃんと全部受け取るんだよ?」

 アウレリウスは、私の中に子種を吐き出した。

「ああ、アリオンの為にコックリングを作る約束してたっけ。次はちゃんと後ろだけで行けるように、この根元は縛るからね」

 そして私はひっくり返され、今度は後ろから挿入される。こうして私の監禁される日々が始まったのだ。
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