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鉄道は走り続けた
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私は活版所という場所に居る。私の見る風景はぼやけている部分が多い。私の想像力の至らなさだろうか? 私は活版所がどんな仕事をしているところなのかがわからない。そんなぼやけた風景から見えるもの。それは恐らく、何らかの文書を印刷するために必要なものを集めているのだろう。その際に何かが囁かれ、冷たい笑いが響く。そして再び涙。
でも、あなたが涙を流している本当の理由は、友人たちの仲間に入れなかったことじゃない? 一番の友達は、みんなの人気者。その人と一緒にお祭りに行きたい。だけど、それを遠くから見ているしかなかった。自分に何故それが出来ないのか、それがわからない。活版所で囁かれた言葉も悲しかったけど、実際のところそれは悪口なのだろうか? それは、あなたにしかわからないよね。
頑張った後の報酬は嬉しい。私も見ていると嬉しくなる。一緒に歩く私も気分が上向いてくるよ。
私は家の中に居る。あなたはお母さんと話し、パンとトマトを食べている。あなたにはお姉さんとお父さんが居るんだ。お母さんはあなたの問いに答えている。あなたの辛さを感じているのだろうか? 答える言葉にも重さが感じられる。だけど、あなたの友達についての答えは少し気になる。
あなたのお父さんが、あなたくらい小さい時から友達だった。
こう言っているのだろうか? この答え、不思議な感じ。そして、その後のあなたの答え、それまでの答えに比べて口数が多いと感じる。友達の家に行った時の情景を話している。
もしかして……?
でも、ここは踏み込めない。今の私では踏み込めない。
私は町の坂を歩いている。
口笛を吹くような寂しい口つきってどういうものだろう。私にはあなたの口元が良く見えない。あなたは、口笛を吹くと寂しい気持ちが溢れるのだろうか? 今は口笛を吹いていないけど、寂しい気持ちが溢れている?
電燈の傍まで歩き、影の様子を見て、自分の動きでその影が動く。そこから機関車とコンパスを想像した。とても暖かいものを感じる。一人は寂しい。寂しい気持ちをどうにかしたくて、そんな想像をした? こういうことは私もよくやる。私は機関車から出る煙かな。あなたが歩いて巻き起こる風でゆらゆらと揺れる。あなたを走らせるエネルギーは何だろう? 石炭や炎はなんだろうか?
さて、誰かとすれ違い、その時にあなたの心が痛くなってしまった。一体何故こんな風になるのだろう? 人の心はわからない。子どもの心は、もっとわからない。私は、何処かで聴いた言葉、何かのメロディーを繰り返して呟くことはあった。何故そうしたいと思ったかはわからない。もしかしたら、私がそれを口にすることで誰かが傷ついたかもしれない。今、そんなことを思ったよ。
あなたは飾られた歩いて行く。つい口にしてしまった悪口も、今の私には愛おしく思える。時計の店に見とれてしまった。あなたの繊細な描写は素晴らしいけど、その店の情景を想像できない。でも、私の視界はぼやけていない。あなたの描写によって、さながら宇宙の如き光景が広がっているよ。本当に見えたものはどんなものだったのだろうね。
ふと、色々なことを思い出し、あなたは歩き出す。
本来の感想文なら、ここで私もあなたについて行く訳だけど、私はここであなたの背中を見送らせてもらう。あなたの行く道に幸せが訪れることを、心から祈ろう。
私は、時計の店に視線を移し、声を発した。
「ねえ、誰かいるの?」と。
でも、あなたが涙を流している本当の理由は、友人たちの仲間に入れなかったことじゃない? 一番の友達は、みんなの人気者。その人と一緒にお祭りに行きたい。だけど、それを遠くから見ているしかなかった。自分に何故それが出来ないのか、それがわからない。活版所で囁かれた言葉も悲しかったけど、実際のところそれは悪口なのだろうか? それは、あなたにしかわからないよね。
頑張った後の報酬は嬉しい。私も見ていると嬉しくなる。一緒に歩く私も気分が上向いてくるよ。
私は家の中に居る。あなたはお母さんと話し、パンとトマトを食べている。あなたにはお姉さんとお父さんが居るんだ。お母さんはあなたの問いに答えている。あなたの辛さを感じているのだろうか? 答える言葉にも重さが感じられる。だけど、あなたの友達についての答えは少し気になる。
あなたのお父さんが、あなたくらい小さい時から友達だった。
こう言っているのだろうか? この答え、不思議な感じ。そして、その後のあなたの答え、それまでの答えに比べて口数が多いと感じる。友達の家に行った時の情景を話している。
もしかして……?
でも、ここは踏み込めない。今の私では踏み込めない。
私は町の坂を歩いている。
口笛を吹くような寂しい口つきってどういうものだろう。私にはあなたの口元が良く見えない。あなたは、口笛を吹くと寂しい気持ちが溢れるのだろうか? 今は口笛を吹いていないけど、寂しい気持ちが溢れている?
電燈の傍まで歩き、影の様子を見て、自分の動きでその影が動く。そこから機関車とコンパスを想像した。とても暖かいものを感じる。一人は寂しい。寂しい気持ちをどうにかしたくて、そんな想像をした? こういうことは私もよくやる。私は機関車から出る煙かな。あなたが歩いて巻き起こる風でゆらゆらと揺れる。あなたを走らせるエネルギーは何だろう? 石炭や炎はなんだろうか?
さて、誰かとすれ違い、その時にあなたの心が痛くなってしまった。一体何故こんな風になるのだろう? 人の心はわからない。子どもの心は、もっとわからない。私は、何処かで聴いた言葉、何かのメロディーを繰り返して呟くことはあった。何故そうしたいと思ったかはわからない。もしかしたら、私がそれを口にすることで誰かが傷ついたかもしれない。今、そんなことを思ったよ。
あなたは飾られた歩いて行く。つい口にしてしまった悪口も、今の私には愛おしく思える。時計の店に見とれてしまった。あなたの繊細な描写は素晴らしいけど、その店の情景を想像できない。でも、私の視界はぼやけていない。あなたの描写によって、さながら宇宙の如き光景が広がっているよ。本当に見えたものはどんなものだったのだろうね。
ふと、色々なことを思い出し、あなたは歩き出す。
本来の感想文なら、ここで私もあなたについて行く訳だけど、私はここであなたの背中を見送らせてもらう。あなたの行く道に幸せが訪れることを、心から祈ろう。
私は、時計の店に視線を移し、声を発した。
「ねえ、誰かいるの?」と。
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