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鉄道は走り続けた
5.
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「最後にちょっとだけ、遊び心を残しておきたい。
この物語とは、ほとんど関係のない話になるということだ。
私はあるクラシックの音楽を思い浮かべている。
フランツ・リストという人が書いたピアノのエチュード。
ラ・カンパネラ、鐘の響き、という名前もある。
これはニコロ・パガニーニという人が書いたヴァイオリン協奏曲第2番の一部をピアノ用にアレンジしたものだ。
この表現、クラシック音楽愛好家やクラシック音楽を生業にしている人は怒るかもしれない。しかし、今の私の表現はこんなものにしておきたい。徐々にこの点は磨かれるかもしれない。どうぞご容赦を。
私は、このフランツ・リストという人の作品が少し苦手だ。超絶技巧練習曲というものを幾つか聞いたが(ラ・カンパネラもその一部であるが)、ちょっと音が多すぎる。これらに関してのいい評価もあるのだから、作品としては素晴らしいのだろう。ただ、私は苦手というだけ。リストのゆっくりめの作品は好きなものもあるんだ。
もう一つ、ニコロ・パガニーニという人の作品も苦手だ。理由は同じようなものがある。音が多く細かい。とても複雑。何より音が高すぎる。聴いていて耳が痛くなってしまいそうになる。24のカプリースというものがある。旋律の美しさを感じるものもあるけど、ちょっと複雑すぎるかな。
しかし、ラ・カンパネラという名前のピアノ曲はとても好きなのである。理由の一つは、日本に縁のあるピアニストが演奏し、それを耳にしたことである。
こんな繋がりを探りながら、苦手なものの中に好きなものを見出したり、不思議な何かを探ったりするのも、時には好いだろうと思っている。
こんな置き土産は迷惑千万かもしれない。しかし、この物語はこの先もずっと残ることだろう。私の意見が間違っている場合、私の意見は時の狭間に残され、大きな流れから離れて行くだろう。
だから、この心を残して、今は自分の世界に帰ることにする。
帰る前にもう少しだけ、残させてもらいたい。
私はクラシック音楽の難曲が苦手と言う風に書いたが、これも私の趣味嗜好を考えるとおかしな話なのだ。私、というか、私のモデルとなった人のことであるのだが。
ロックンロールというジャンルは多くの枝分かれを経て、様々な形態を産み出した。私はその一部であるヘヴィメタルというものを愛好している(※他のジャンルが嫌いと言うわけではない)。ヘヴィメタルというのは技巧を重要視している。そして、その一部でさらに突出して技巧を極めたスラッシュ・メタルというものが好きなのだ。それが何故かと問われると、これも答えるのに困ってしまう。何時からか、何故か好きになった、としか言えない。
私の好みのことを考えると『技巧を極めつくそう』という発想が作り手から生まれるのは自然な流れであるように思うのだ。パガニーニやリストが生きていた時代の音楽界を想像するのは難しいが、私が生きている時代とは違っていたことは想像できる。私が生きている時代は、携帯音楽プレーヤーで沢山の音楽を持ち運ぶことが出来る。昔はそれが出来ない。想像できるのはこれくらいだけど。出来ないなら出来ないなりに、人々の心に残るものは何かを探っていたのではないだろうか? 個性を磨きつつ『自分らしさとは何か』を模索した結果なのかもしれない。
ただ、私が生きた時代では『技巧を極めつくす』という事態が反発を招いてしまったらしい。『らしい』というのは、私自身が詳しく知らないということだ。1990年代はロック界からギターソロや速弾きが姿を消してしまったようなのだ。これは恐らく『どこを見ても(聴いても?)速弾きばかりで飽きた』ということだと思う。ここについて予想の発言が多いのは、私がロックンロールに目覚めたのがやや遅いためだ。後から追いかけているものの、速弾き排除のバンドを避けているためである。もちろん興味はあるのだが、懐がやや心許ないため、より好きなものを追いかけようとしているのだ。
それでは、またいつか。
さようなら」
(終わり)
この物語とは、ほとんど関係のない話になるということだ。
私はあるクラシックの音楽を思い浮かべている。
フランツ・リストという人が書いたピアノのエチュード。
ラ・カンパネラ、鐘の響き、という名前もある。
これはニコロ・パガニーニという人が書いたヴァイオリン協奏曲第2番の一部をピアノ用にアレンジしたものだ。
この表現、クラシック音楽愛好家やクラシック音楽を生業にしている人は怒るかもしれない。しかし、今の私の表現はこんなものにしておきたい。徐々にこの点は磨かれるかもしれない。どうぞご容赦を。
私は、このフランツ・リストという人の作品が少し苦手だ。超絶技巧練習曲というものを幾つか聞いたが(ラ・カンパネラもその一部であるが)、ちょっと音が多すぎる。これらに関してのいい評価もあるのだから、作品としては素晴らしいのだろう。ただ、私は苦手というだけ。リストのゆっくりめの作品は好きなものもあるんだ。
もう一つ、ニコロ・パガニーニという人の作品も苦手だ。理由は同じようなものがある。音が多く細かい。とても複雑。何より音が高すぎる。聴いていて耳が痛くなってしまいそうになる。24のカプリースというものがある。旋律の美しさを感じるものもあるけど、ちょっと複雑すぎるかな。
しかし、ラ・カンパネラという名前のピアノ曲はとても好きなのである。理由の一つは、日本に縁のあるピアニストが演奏し、それを耳にしたことである。
こんな繋がりを探りながら、苦手なものの中に好きなものを見出したり、不思議な何かを探ったりするのも、時には好いだろうと思っている。
こんな置き土産は迷惑千万かもしれない。しかし、この物語はこの先もずっと残ることだろう。私の意見が間違っている場合、私の意見は時の狭間に残され、大きな流れから離れて行くだろう。
だから、この心を残して、今は自分の世界に帰ることにする。
帰る前にもう少しだけ、残させてもらいたい。
私はクラシック音楽の難曲が苦手と言う風に書いたが、これも私の趣味嗜好を考えるとおかしな話なのだ。私、というか、私のモデルとなった人のことであるのだが。
ロックンロールというジャンルは多くの枝分かれを経て、様々な形態を産み出した。私はその一部であるヘヴィメタルというものを愛好している(※他のジャンルが嫌いと言うわけではない)。ヘヴィメタルというのは技巧を重要視している。そして、その一部でさらに突出して技巧を極めたスラッシュ・メタルというものが好きなのだ。それが何故かと問われると、これも答えるのに困ってしまう。何時からか、何故か好きになった、としか言えない。
私の好みのことを考えると『技巧を極めつくそう』という発想が作り手から生まれるのは自然な流れであるように思うのだ。パガニーニやリストが生きていた時代の音楽界を想像するのは難しいが、私が生きている時代とは違っていたことは想像できる。私が生きている時代は、携帯音楽プレーヤーで沢山の音楽を持ち運ぶことが出来る。昔はそれが出来ない。想像できるのはこれくらいだけど。出来ないなら出来ないなりに、人々の心に残るものは何かを探っていたのではないだろうか? 個性を磨きつつ『自分らしさとは何か』を模索した結果なのかもしれない。
ただ、私が生きた時代では『技巧を極めつくす』という事態が反発を招いてしまったらしい。『らしい』というのは、私自身が詳しく知らないということだ。1990年代はロック界からギターソロや速弾きが姿を消してしまったようなのだ。これは恐らく『どこを見ても(聴いても?)速弾きばかりで飽きた』ということだと思う。ここについて予想の発言が多いのは、私がロックンロールに目覚めたのがやや遅いためだ。後から追いかけているものの、速弾き排除のバンドを避けているためである。もちろん興味はあるのだが、懐がやや心許ないため、より好きなものを追いかけようとしているのだ。
それでは、またいつか。
さようなら」
(終わり)
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